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夜会から帰宅したその足で、私は両親の私室へと飛び込んだ。まだドレスも脱いでいない私を見て、お父様とお母様は驚いて目を丸くしている。私はその場にパサリと膝をつき、深く頭を下げた。
「お父様、お母様。一生のお願いがございます。どうか、アスラン公爵閣下へ、私との婚約を申し込む書状を送ってください。」
静まり返る部屋に、お母様の短い悲鳴が響く。お父様は手にしていた書類を落とし、幽霊でも見たかのように目を見開いていた。
「ア、アリア、お前は何を言っているんだ! アスラン公爵といえば、あの『死神公爵』だろう! 強大すぎる魔力のせいで呪われ、じきに命を落とすると言われている恐ろしい男だぞ!?」
「分かっております。ですが、私はあの方でなければ嫌なのです。」
「正気になりなさい、アリア!」
お母様が私の肩を掴んで激しく揺さぶる。当然の反応だった。我が家はしがない子爵家。対する相手は、国を揺るがす力を持つ公爵家。おまけに不吉な噂の絶えない人物だ。愛娘をそんな命の危険がある場所へ送り込みたい親など、いるはずがない。
しかし、私には一歩も引けない理由がある。あの方の命の灯火が消えかけている今、一刻の猶予もないのだ。
「お父様、我が家は今、財政的に決して余裕があるわけではありません。このままでは数年後には立ち行かなくなります。」
私はタイムリープ前の記憶を交え、我が家が直面するであろう危機を語り、公爵家との繋がりがいかに家を救うかを必死に説得した。もちろん、それは両親を納得させるための建前。私の本音はただ一つ。「あの方を救いたい」、それだけだった。
「私には、あの方の呪いを解くような立派な魔法はありません。でも、あんなに孤独に病み疲れている方を、どうしても放っておけないのです。心を込めてお世話をし、温かい食事を作り、ただ寄り添うことなら、魔法のない私にだってできます。私のすべてを捧げて、あの方を看病します。だから、どうか私に賭けてください。必ず、公爵閣下も、我が家も、私が幸せにしてみせます!」
額を床に擦りつける私を見て、両親は言葉を失っていた。私のこれほどまでに頑なな姿を、今まで見たことがなかったのだろう。長い沈黙の後、お父様が深い、深い溜息をついた。
「……分かった。お前の覚悟は本物のようだな。だがアリア、我が家は子爵家だぞ。爵位が遥かに上の公爵家に、こちらから婚約を申し込むなど、本来なら無礼を通り越して不敬罪に問われかねん。」
それからの数日間、両親の涙ぐましい努力が始まった。机を囲んで頭を抱え、なんとか公爵家に不快感を与えずに書状を届ける方法を模索した。最終的にお父様は、昔の学友であり、公爵家と僅かに繋がりのある高位貴族の紹介を必死の思いで取り付け、なんとか一本の「婚約の打診」の書状を公爵邸へと送り届けることに成功したのだった。
アスラン公爵邸の執務室は、昼間だというのに厚いカーテンが閉め切られ、重苦しい静寂に包まれていた。
車椅子に深く身を沈めた俺の前で、家令のハンスと、執事のロマンが、困惑を隠しきれない顔で立っている。
「閣下……少々、妙な書状が届いておりまして。」
家令のハンスが、銀のトレイに乗せられた一通の書状を差し出してきた。上質な紙ではあるが、我が家に届くものとしては、いささか控えめな子爵家の紋章が押されている。
「シルフィード子爵家という、地方の小貴族からのものなのですが……。その、内容が、閣下への『婚約の申し込み』でして…。」
「子爵家、だと?」
執事のロマンが眉をひそめ、不快そうに声を低くした。
「馬鹿げている。閣下の命が長くないと知って、どさくさに紛れて公爵家の財産でも毟り取ろうという魂胆か。それとも、叔父上たち送り込んできた新たな刺客でしょうか。怪しすぎます、即刻送り返すべきです。」
二人の言い分はもっともだった。今の俺は、いつ魔力が暴走して死ぬかも分からない「死神」だ。そんな男に、まともな貴族が娘を嫁がせるはずがない。金の無心か、あるいは俺を監視しようとする親族の陰謀か、そのどちらかだろう。
だが、俺にとってはどうでもいいことだった。
俺の身体は、すでに内側からじわじわと蝕まれている。あいつら親族が裏で何を企んでいるのか、俺が気づいていないとでも思っているのだろうか。全ては分かっている。分かっていて、ただ、この終わっていく世界と己の命に、飽き飽きしているだけだ。
「ハンス、ロマン。」
俺は低く冷徹な声で、二人の議論を遮った。
「好きにしろ。」
「は? しかし閣下……。」
「断る労力すら惜しい。向こうがどうしても来たいと言うなら、勝手にさせておけ。どうせ、俺の命などあと数ヶ月だ。持参金でも何でも置いていけばいい。その前に、その娘が我が家の悪意に耐えかねて逃げ出すか、俺の魔力に怯えて狂うのが落ちだ。」
俺はトレイの上の書状を一瞥すらせず、興味を失って視線を窓の外へと向けた。
「放っておけ。どうなろうと、俺には関係のないことだ。」
そう言って、俺は差し出された婚約申込書を、机の端へと冷酷に投げ捨てた。
アスラン公爵邸の重厚な鉄門を見上げたとき、私は小さく息を吐き出した。
馬車から降り立った私を迎えたのは、歓迎のファンファーレでも、あたたかな灯火でもない。手入れの行き届いていない荒れた庭園と、不気味なほどに静まり返った巨大な石造りの館だった。
「……本当に、あの子爵家の令嬢が一人で来ちまったよ。」
「どうせすぐに泣いて逃げ出すさ。死神の館だぞ。」
遠巻きに私を見る使用人たちの視線は、信じられないほど冷ややかで、そして怠惰に濁っていた。
王国の至宝とまで謳われた公爵家でありながら、館の隅には埃が溜まり、調度品も薄汚れている。一見して分かった。この屋敷の人間たちは、主である閣下を敬っていない。それどころか、彼の死を静かに待っているかのようだった。案内された薄暗い執務室で、私は初めて、今世の彼と対峙した。
車椅子に深く身を沈めた閣下は、夜会で見かけたときよりもさらに青白く、痩せこけて見えた。窓を背にしているせいで、その美しい顔立ちは影に沈んでいる。けれど、その指に嵌められた「青い魔石の指輪」だけが、鈍く冷たい光を放っていた。
「……身の程知らずな小娘だと思ったが、本当に来るとはな。」
低く、地を這うような冷徹な声。前世の雪の中で私を包み込んでくれたあの温かさは、今の彼のどこにもなかった。当然だ。今の彼にとって、私は「勝手に押しかけてきた、怪しい子爵令嬢」でしかないのだから。
「シルフィード子爵家のアリアと申します。閣下、お会いできて光栄です」
「挨拶などどうでもいい。お前がどんな魂胆でここへ来たにせよ、俺が与えられるものなど何もないぞ。金か、地位か? どちらにせよ無駄だ。俺の命は冬を越せない。お前が公爵夫人を名乗れる期間など、ほんの数ヶ月だ。」
突き放すような言葉。それは周囲への拒絶であると同時に、彼自身が己の生を完全に諦めている証拠だった。
胸が、ぎゅっと締め付けられるように痛む。
「私は、何もいりません。」
私は一歩、彼へと歩み寄った。
「私はただ、閣下のお側でお世話をさせていただきたいのです。婚約者として、あるいは、ただの侍女としてでも構いません。」
彼は、侮蔑を孕んだ冷たい笑みを唇に浮かべた。
「勝手にしろ。ただし、俺の目の前をうろつくのなら、それなりの覚悟をしておくんだな。」
それが、私たちの始まりだった。
翌日から、私は公爵夫人の座に踏ん返るような真似は一切せず、自ら進んで白いエプロンを身につけ、屋敷の中を動き回った。
魔法の使えない私にできることは、地味で、泥臭いことばかりだ。けれど、前世の没落生活で培った「生きるための知恵」だけは、今の私には山ほどあった。
屋敷の使用人たちは、私を完全に無視していた。ギルバート閣下の食事や薬を運ぶ役目すら、面倒そうに押し付けられる始末だった。
だが、それが幸いした。
ある日の昼下がり、厨房から閣下の部屋へと運ばれるスープを受け取ったとき、私はその匂いに、わずかな違和感を覚えた。
……この匂い、どこかで……?
鼻を近づけ、そっと香りを吸い込む。ほんのりと甘く、けれど奥の方でツンと鼻を突くような、おかしな酸味。
記憶の引き出しが、カチリと音を立てて開いた。
前世、没落して極貧の路地裏を彷徨っていた頃、私たちは生き延びるために、野山に生えるあらゆる草やキノコを調べ尽くした。その中には、家畜を処分する際に使われる、強烈な毒草があった。じわじわと内臓を蝕み、数ヶ月かけて衰弱死させる、悪魔のような草だ。
間違いない。これ、あの毒草の成分だわ……!
全身の血が、すっと冷たくなるのを感じた。
彼の病弱さは、生まれつきの呪いなんかじゃない。この屋敷の誰かが、彼に毎日、少しずつ毒を盛り続けているんだ!
「アリア様、何をしておいでですか。早く閣下へお運びしなさい。」
後ろから、調理場のチーフである初老の使用人が、冷ややかな声で私を急かした。その目は、私の手元をじっと盗み見ている。
この男か、あるいはこの男に指示を出している親族が、黒幕だ。
「ええ、今お持ちしますわ。」
私は努めて平静を装い、スープの乗ったトレイを抱えて彼の部屋へと向かった。
心臓が、破裂しそうなほど激しく鳴っている。魔法のない私には、派手な大魔術で毒を消し去ることも、犯人を一瞬で気絶させることもできない。
けれど、彼を絶対に死なせないという「意志」がある。
扉を開けると、閣下はいつものように、車椅子の上で力なく目を閉じていた。
私はその枕元に歩み寄り、スープの器を静かに置いた。
「閣下。本日のスープですが……少し、冷めてしまっているようです。お身体に障りますので、本日はお下げしてもよろしいでしょうか。」
「……何?」
閣下が、怪訝そうに薄い極上の瞳を開いた。
「冷めているなら構わない。置いておけ。どうせ、何を食べても味など分からないのだから。」
彼がスープに手を伸ばそうとする。私は思わず、その大きな、けれど前世よりもずっと細くなってしまった手を、自分の両手でぎゅっと包み込んで止めていた。
「な、何をする……!」
「駄目です。これは、召し上がってはいけません。」
不敬だと罵られても構わない。私は彼の目を真っ直ぐに見つめ、ただ、必死にその手を握りしめ続けた。
今の私には、彼の疑いを晴らす証拠も、犯人を捕まえる力もない。
それでも、この手だけは、絶対に離さない。今度は私が、この手を絶望から引っ張り上げる番なのだから。
スープに毒が仕込まれていたあの事件を境に、私は本格的に屋敷の「掃除」を始めた。
魔法のない私にできることは、ただ地道に目を光らせることだけだ。けれど、前世の極貧生活で培った「生きるための五感」と「未来の記憶」が、何よりの武器になった。
どの使用人が仕事をサボり、誰が屋敷の財産を横流ししているか。そして、誰がギルバート閣下を害そうとするスパイなのか。前世の社交界の噂を繋ぎ合わせれば、答えは自ずと見えてきた。
「料理長、この隠し棚にある乾燥ハーブは何かしら? 確か、家畜の処分に使う毒草よね。それから侍女頭、あなたが昨日、街の質屋に持っていった公爵家の銀食器の伝票がこれよ。」
確たる証拠を叩きつけ、冷徹に言い放つ私に、悪徳使用人たちは青ざめて平伏した。彼らの後ろ盾である親族に連絡が行く前に、私は家令のハンスと執事のロマンを味方に引き入れ、彼らを一人残らず屋敷から叩き出した。
最初は私を「怪しい小娘」と警戒していたハンスたちも、屋敷がみるみる清潔になり、閣下の食事が安全になっていくのを見て、次第に私に頭を下げるようになっていった。
「なぜ、ここまでやる?」
ある日の夕暮れ。新しく雇った信頼できる料理人が作った、温かい滋養スープを閣下の口元へ運ぼうとした時、彼が低く掠れた声で私を拒んだ。長い睫毛の奥にある瞳が、ひどく深く、私を疑うように見つめている。
「俺に尽くしたところで、何も出ないと言ったはずだ。お前の目的は何だ? 叔父たちの差し金か? それとも、哀れな死に損ないを操って、公爵家の権力を握りたいのか?」
向けられる刃のような言葉。それでも、私は傷つかなかった。今の彼は、誰も信じられないほど孤独なのだ。
私はスープのスプーンを持ったまま、ふわりと微笑んだ。
「私の目的は、閣下に生きていただくことです。それ以外には何もありません。」
「嘘を言うな。そんな無償の愛など、この世にあるはずがない」
「ありますよ。ここに。」
私は空いた左手で、自分の胸元をそっと押さえた。あの時、私に差し出された手の様に。
「魔法のない私には、閣下の身体を今すぐ治すことはできません。でも、温かいものを食べて、綺麗な部屋で眠れば、人間は少しずつ元気になれるんです。私は、ただ閣下に笑ってほしい。……それだけです。」
閣下は息を呑み、気まずそうに視線を逸らした。けれど、差し出されたスープを、その日は拒まずにゆっくりと口にしてくれた。彼の頑なな心が、雪解けのようにほんの少しだけ、緩んだ様な気がした瞬間だった。
しかし、運命の夜は突然やってきた。
その日は、激しい雷雨だった。窓を叩く雨音の凄まじさに胸騒ぎがして、私が閣下の寝室へ向かうと、部屋の扉の隙間から、バチバチと紫色の不気味な火花が漏れ出していた。
「ひぃっ! 閣下の呪いが始まったぞ!」
「暴走だ! 巻き込まれたら死んでしまう、逃げろ!」
新入りの使用人たちが悲鳴を上げて廊下を走っていく。
私は構わず、重い扉を押し開けた。
「閣下……!」
部屋の中は、凄まじい暴風が吹き荒れていた。家具がガタガタと震え、空気そのものが肌を刺すように痛い。強大すぎる彼の魔力が、蓄積された毒とストレスによって、コントロールを失って暴走しかけているのだ。
車椅子から床に崩れ落ち、胸を押さえて苦しそうにあえぐ彼の姿が見えた。
「来るな……ッ! 離れろ、アリア!」
閣下は、血を吐き出すような声で叫んだ。彼の身体から放たれる魔力の圧力が、私の身体を押し返そうとする。
普通の令嬢なら、恐怖で逃げ出していたかもしれない。けれど、私の頭に過ったのは、あの前世の雪の日だった。あの時、ボロボロだった彼が、私に手を伸ばしてくれた。
今度は、絶対に掴む……!
私は一歩、また一歩と、嵐のような魔力の中を突き進んだ。風に髪を振り乱され、肌が擦れて血が滲んでも関係ない。床を這うようにして彼のもとへと辿り着き、私はその細い身体を、背後から力いっぱい抱きしめた。
「な、にを……死にたいのか! 俺の魔力に焼き尽くされるぞ!」
「死にません! 閣下、私を見てください、私の声を聞いて!」
私は彼の耳元で、何度も、執拗に叫び続けた。魔法のない私にできるのは、ただの体温を伝えることだけだ。
「一人にしません。あなたがどれほど苦しくても、どれほど世界を憎んでいても、私はここにいます! だから、心を落ち着けて……お願い、ギルバート様!」
初めて、彼の名を呼んだ。
私の必死の呼びかけと、背中から伝わる確かな温もりに、ギルバート閣下の身体がびくりと跳ね上がった。
彼はハァハァと荒い息を吐きながら、私の腕の中でじっと耐え始めた。嵐のような魔力が、彼の内側へと少しずつ収まっていく。バチバチと鳴っていた火花が消え、部屋に静寂が戻ったとき、彼は力尽きたように、私の肩にぐったりと頭を預けてきた。
「……なぜだ?」
暗闇の中、彼の小さな、震える声が聞こえた。
「なぜ、逃げない。俺は死神だぞ。いつお前を殺すか分からない、化け物なのに……!」
その声は、泣いているように聞こえた。周囲の悪意に晒され、誰も信じられず、ずっと一人で耐えてきた彼の、剥き出しの本音だと思った。私は彼の背中を、子供をあやすように優しく、何度もさすった。
「化け物なんかじゃありません。あなたは、とても優しくて、温かい人です。私は、そんなあなたをお救いしたい。ただ、それだけです。」
ギルバート様は、ゆっくりと私の方を振り返った。暗闇の中で、彼の手がそっと私の頬に触れる。その手は、あの雪の日のように大きくて、不器用で、驚くほど温かかった。
「……アリア。お前は、本当に奇妙な娘だ。」
彼の極上の瞳に、初めて私を映す「愛おしさ」の光が灯った様に感じる。向けられる眼差しは柔らかく、熱を帯びている。私の心臓が、トクンと甘い音を立てた。あの方を救いたいという義務感ではなく、一人の男性として、彼のことが愛しくてたまらない――そんな確かな恋の芽生えを、私は自覚した。
そして…彼もまた、私の手をそっと握り返してくれた。その時、私たちの距離は、確かに縮まったのだ。
「身体は大丈夫ですか、ギルバート様。……一体、誰があなたにこのような酷い真似を。」
落ち着きを取り戻した彼に、私がずっと抱いていた疑問をぶつけると、ギルバート様は自嘲気味に目を伏せた。
「……叔父の、バルドー侯爵だ。あの男は、俺の父上が亡くなってからずっと、アスラン公爵家の財産と権力を狙っている。俺の身体がこうなったのも、あの男が裏で使用人を抱き込み、少しずつ毒を盛っていたからだろう。証拠はないがな。」
「バルドー、侯爵……?」
その名を聞いた瞬間、私の頭の中で、前世のもう一つの記憶が鮮烈に弾けた。
嘘……。そんな、まさか!
バルドー侯爵。それは、前世で我がシルフィード子爵家に近づき、甘い投資話で騙して巨額の借金を背負わせ、私たちを没落の地獄へと突き落とした張本人の名前だった。
点と点が、一本の線で繋がっていく。
ギルバート様を社会的にも肉体的にも殺そうとしている黒幕と、私の家族を破滅に追い込んだ仇は――全く同一の人物だったのだ。
「アリア? 顔色が悪いが、どうした」
心配そうに私の顔を覗き込むギルバート様の手を、私は今度は、決意を込めて強く握りしめた。
「いいえ、なんでもありません。ギルバート様」
胸の奥で、激しい怒りと、それ以上の強い闘志が燃え上がるのを感じた。
共通の敵。私たちの未来を奪おうとした、許されざる黒幕。
「私たちの運命を弄んだこと、絶対に後悔させてみせますわ。」
私はギルバート様の温かい手を胸に抱きながら、今度こそ、その邪悪な影を二人で打ち破ることを、固く心に誓うのだった。




