俺は面倒が一番嫌いだ
学校の校門が見えてきた。そこにはいつものように教師が仁王立ちしている。―――が、今日は特別だ、悪い意味で。
陸上部の顧問である、鈴野が立っていた。
「おーアレだな。おまえを陸上に入れる気だ」
ソウジは悟ったように言い、レイは苦笑いを浮かべている。
鈴野は普段メガネをかけていて、爽やか系の20代後半の教師………だがしかし、陸上のことになると一変、熱血系に早変わり。
現在、体力あり、走力ありな元気っ子を探しているのだ。
元気っ子を見つけたら即座に捕まえ、部に入るよう声をかける。しつこいし、鈴野自体は知るスピードが速いため、とてもじゃないが逃げきれない。
俺はそんな鈴野に目を付けられてしまったのだ。いつも遅刻ギリギリで全力で走る姿を見ていたらしい。
「全力で走って撒くしかないな...」
「うん。あとで教室に行くよ」
俺は軽く数回ジャンプすると、右足を後ろに下げ、足に力を籠める。体を前に傾け走る体制を整える。そして、力を込めた足を全力で地面を蹴る。
「あ!待ちたまえ加々美君」
引き止める声を無視して玄関へ向かう。
俺は面倒事が一番嫌いだ。それを避けるためなら何でもしてやるッッ
声に出そうなこの気持ちを抑えながら教室へ向かった。
◆
午前中の長ったるい授業を聞き流し、昼食の時間が到来……休憩時間は寝るとしようか。
妹が作った弁当を持ち、屋上へ向かう。もちろん、レイとソウジも一緒だ。
屋上に着き、「待ってました」と言わんばかりに弁当のふたを開ける。
そこには、ハートマーク………若干__いや、ドン引きした。妹の破壊的なセンスに...
「これが俗に言う愛情弁当」
「あ~……こう言うの作ってくれる妹が俺にもほしいな」
二人とも見たことがないのか驚いている。兄として恥ずかしい。俺は愛情弁当から話題を変えるように夏休みの話を持ちかけた。
「夏休みどうすんの」
二人とも口をそろえて、「予定なし」と言うのだ。
《私が予定を作って差し上げます。夏こそ旅行に行きましょう!》
「いや、金がねぇよ」
《今なら……いいえ、ずぅっとタダの所ですよ》
こんな嘘みたいな話こそ一番危ない。それに、親になって説明すんだよ。無理に決まっているだろうに。
「行く行く!無料なら行く」
「僕も気になるし、行ってみたいなぁ」
《ならば、夏休み初日から出かけましょ》
そして、勝手に旅行することに決定。
嫌な予感しかしない___




