俺は今、夏休みが怖いと思っている
俺は部屋の隅に腰かけ、考えていた。夏休みの過ごし仕方についてだ。
夏休みを使って旅行なんて最高だと思う。だが、メアから提案された旅行には行きたくない。絶対に。幽霊の選ぶ旅行なんて墓場に行くくらいしか思いつかない。マシなもので廃墟...
《シロウ準備できましたか》
「できてない...」
夏休みまであと、5日ですよ!と荒々しく言い残し部屋の扉をすり抜けてどこかへ行ってしまった。まぁ、どこへ行こうが知ったこっちゃないのが……
―――プルルルル
部屋に響く携帯の着信音。電話をかけてきたのはソウジだった。電話の内容は大体わかる。旅行についての件だろう……あいつ浮かれてたし。
『俺だよ俺』
「ああ、はいはい俺俺詐欺の人ですね」
どんな反応をするか興味をもったのでふざけて言ってみた。
『俺俺詐欺って古くないか。まぁ俺はソウジだけどね』
反応なんて特になし、か……面白くねぇな
俺は「はいはい知ってますよ」と答えておく。単にふざけただけだと理解させるために。
内容は『ケータイ持っていいのか』とか『圏外かなぁ』など、例えるとしたら遠足に行く時「バナナっておやつに入りますか~」と同じようなものだ。俺ならバナナではなく「パフェ持っていってもいいですか~」と言うだろうが。ちなみに、コンビニにカップに入って売っているパフェの方。
『おい、聞いてるのか』
《はーい聞いていますよ、私なら!》
俺が出せないような高いトーンの声。爽やかアナウンサー女性風の音程でしゃべるのは幽霊のメアである。
《圏外ですから持っていかなくてもいいですよ~》
ひょうひょうとした声で返答。ソウジは「ありがとうな」と言って電話を切ってしまった。
《さあ、シロウも早く準備をして下さいねっ》
「私がここで見張っていますから」と言うように俺の目の前に立ち、早く準備しろという目で見ている。無理矢理でも連れて行かせる気か……
◆
俺は五日間、宿題という悪魔と旅行の準備を見張る幽霊に手を焼かされるのであった。
そして、瞬く間に期待のできない旅行の日を迎えた。




