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いずれ全能の大魔王へ至る暴食者〜喰らった相手のスキルを奪い、襲い来る敵達を返り討ちにして世界最強へ〜  作者: 無名
第1章 暴食の魔王

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第52話 狼王を超える上位種

 俺が鋭く長剣を振り下ろすと、オーガは石斧を掲げて防御体勢を取る。


 しかし『物理攻撃力』に大きな差があるためか、長剣によって石斧は真っ二つに両断された。


 「グォッ……!?」


 オーガは一瞬驚きの声を上げるも、咄嗟に飛び退いて距離を取る。直後、真っ二つに両断された石斧を俺に向かって投擲してきた。


 回転して飛来してきた石斧を長剣で弾き落とすと、オーガが牙を剥きながら拳を握り締め、素早く距離を詰めてきた。


 「グォオオオオオ!」


 武器を失った程度では、戦意は失われないらしい。


 鋭く突き出された右拳を回避すると、距離を詰めて懐に入り込む。しかしオーガは、即座に左拳を突き出して、俺の右脇腹を狙ってきた。


 能力値差と【物理攻撃耐性】があるため、俺は防御体勢を取ることなく、オーガを仕留めることを優先。


 長剣を振り上げ、袈裟懸けに斬りつける。


 そして、オーガの左拳が俺の右脇腹を強打する。


 俺は右脇腹に少し衝撃が走った程度で済んだが、オーガは左肩から右腰にかけて赤い斬線が浮かび、真っ二つに両断されて地面に倒れた。


 (格下で一体のみなら、被弾を覚悟で攻撃に注力した方がいいな。逃げられたり、仲間を呼ばれたりしたら、面倒だからな)


 俺はその場で屈み、地面に転がっているオーガの死体に口を近づけ、肉や内臓を貪り喰らう。


 これまでの魔物と違い、筋張った固い肉質で、とても噛み応えがあった。


 『【斧術】Lv.4を獲得しました』


 『【魔法攻撃耐性】Lv.2にUPしました』


 『【魔法攻撃耐性】Lv.3にUPしました』


 レベルは上昇しなかったが、新規スキル獲得と既存スキルのレベルが上昇したので、オーガは俺にとって美味しい魔物だ。


 確実な成長に喜んでいると、ドスンッドスンッという足音とともに、道の向こう側と岩塊の上に新たな気配が現れた。


 石斧を携えたオーガ達が、十匹ほど姿を現した。


 (戦闘音と血の匂いに釣られてきたか……)


 俺は口元についた血を手で拭い、長剣の切先をオーガ達に向ける。


 それに対してオーガ達も「グルル……」と低く唸り、殺意の籠った視線を向けてきた。


 お互いにバチバチと視線を交わした後、真正面のオーガが動き出す。


 巨体に見合わない速度で距離を詰めてくると、鋭く石斧を振り下ろしてきた。


 剣身で石斧の軌道を逸らして、オーガの体勢を崩すと、右腕を足場にして跳躍。


 オーガの首元に長剣を一閃。首筋に赤い斬線が浮かび上がり、オーガの頭部が地面に落下した。


 しかし息つく暇もなく、右前方の岩塊を蹴って跳躍した二体目のオーガが、落下の勢いを乗せて石斧を振り下ろしてきた。


 頭上から迫ってきた石斧を長剣で受け止めると、道の向こう側から三体目のオーガが駆け込んできた。


 俺と二体目のオーガが鍔迫り合いをしているところに、三体目のオーガが俺の胴体を薙ぎ払うように、石斧を振るってきた。


 咄嗟に二体目のオーガが振るってきた石斧の軌道を逸らす。そのまま飛び退き、距離を取った。


 (石斧が直撃したとしても、【物理攻撃耐性】があるから致命傷にはならないだろうが、複数を相手取る時は、念のため被弾はしない方がいいだろう)


 俺は改めて長剣の切先をオーガ達に向け、仕切り直す。


 (今度はこっちの番だ!)


 俺は真正面の三体目のオーガに狙いを定め、【突進】を発動して駆け出す。瞬く間に距離を詰めると、長剣を鋭く振り下ろす。


 三体目のオーガは、咄嗟に石斧を振るって攻撃を相殺してきた。しかし、石斧はなんの抵抗もなく真っ二つに両断された。


 驚いて隙を晒した三体目のオーガの首を跳躍して斬り落とすと、膝から崩れ落ちるオーガの右肩を足場にして跳躍し、右前方の岩塊の上に飛び乗る。


 「グォオオオオオ!」


 目の前にいるオーガ達の一体が大きく雄叫びを上げると、石斧を振り上げて突撃してきた。


 鋭く振り下ろされた石斧を剣身で受け流すと、その場で大きく跳躍して、オーガの顎を蹴り飛ばす。


 二メートルを超える巨体が空中で一回転し、地面に叩きつけられた。


 おそらく顎の骨が砕け、脳震盪を起こしたのだろう。蹴り飛ばされたオーガは、立ち上がってこなかった。


 倒れたままのオーガの頭を踏み潰し、完全に息の根を止める。


 仲間が目の前で殺されても、後続のオーガ達は怯むことなく、石斧を振り上げて迫ってきた。


 (早く決着をつけないと、向こう側にいるオーガ達が合流してくる。その前に片付けないと!)


 後続のオーガ達が振り下ろした石斧を咄嗟に飛び退いて躱すと、再び【突進】を発動して距離を詰める。


 そして、左側のオーガには【酸弾】を浴びせ、右側のオーガの左足を斬り飛ばし、体勢が崩れたところに飛びかかり、首元に長剣を突き刺した。


 長剣を引き抜くと同時に、左側から迫る石斧を長剣で受け止める。振り抜かれた石斧を強引に弾くと、袈裟懸けに斬り伏せる。


 直後、【危険察知】が背後からの危険を教えてくれる。前方に転がるように回避すると、すぐに体勢を立て直して、振り返る。


 そこには、酸液の弾丸を受けて焼け爛れる腹部を左手で押さえながら、石斧を振り下ろしたオーガの姿があった。


 俺が素早く距離を詰めると、オーガは地面に突き刺さった石斧を引き抜き、「グォオオオオオ!」と雄叫びを上げながら、薙ぎ払うように振るってくる。


 俺は跳躍して回避すると、長剣を奴の額に深く突き刺す。するとオーガは、突然力が抜けたように石斧を手放し、膝から崩れ落ちた。


 (これで岩塊の上にいたオーガ達は片付いた。あとは、反対側のオーガ達を━━)


 そう視線を向けた瞬間だった。


 反対側のオーガ達が岩塊の上から飛び降り、こちらの足場に飛び乗ってくる。


 俺はこちらに飛び乗ってきたオーガ達に視線を向け、長剣を構える。


 (あと、合わせて四体。少し時間がかかりそうだが、着実に一体ずつ倒していこう)


 その後、先程と同様に【酸弾】【突進】を駆使して、残るオーガ達を殲滅していく。


 繰り出される斧撃を受け流し、体勢を崩したところで足元を斬り裂き、機動力を削ぐ。


 さらに石斧を握る腕を斬り飛ばし、反撃手段を奪ったところで、一体ずつ首を斬り落としていった。


 戦いを終えた俺は、倒したオーガ達の死体に齧り付く。筋張った肉は噛み応えがあり、一体一体の肉の量も多い。


 本来なら満腹になる量だろう。


 だが【暴食】のおかげで、その感覚は存在しない。次々と肉と内臓を胃袋に収めていく。


 ━━10匹目。


 『【斧術】Lv.5にUPしました』


 『【魔法攻撃耐性】Lv.4にUPしました』


 『【魔法攻撃耐性】Lv.5にUPしました』


 全てを綺麗に腹に収めると、狩場の奥を目指して、再び歩き始める。


 (俺よりは格下だが、一体一体が力と技量を備えているから、どうしても倒すのに時間がかかる。ある程度倒したら、次に移動していかないとな)


 今までの狩場のように、50匹や100匹倒すのには時間がかかりすぎるため、どんどん奥を目指した方が効率的だ。


 そう考えて、岩塊が連なる狩場を奥に進んでいると、【気配察知】が新たな気配を捉えた。


 視線を向けると、そこには新たなオーガが立っていた。身体的特徴に違いは見られない。


 しかし━━


 「グォオオオオオ!」


 雄叫びとともに、オーガは地面を蹴って駆け出した。


 (速い!?)


 先程までの個体と比較にならない速度で距離を詰めてくると、鋭く石斧を振り下ろしてきた。


 ガキィィィン!


 長剣で受け止めた瞬間、これまでとは明らかに違う重い衝撃が全身を走った。


 (なんだコイツ……?)


 一度距離を取ってから、【看破】を発動して正体を探る。


━━━━━━━━━━

(簡略ステータス)

・ハイオーガ Lv.48

・平均能力値 161

・所持スキル 【格闘術】【斧術】【気配察知】【物理攻撃耐性】【魔法攻撃耐性】

━━━━━━━━━━


 (やはり、上位種だったか……)


 外見に違いは見られないが、纏う気配は鋭くなっていた。


 レベルは、かつて苦戦したコボルト・キングを上回り、【物理攻撃耐性】【魔法攻撃耐性】に至っては、スキルレベルが『5』。


 (強靭な皮膚に、物理攻撃と魔法攻撃に対する耐性まで……厄介な相手だ)


 だが同時に、胸の奥から高揚感が込み上げてくる。


 (コイツを楽に倒せるようになった時、俺はどれほど強くなっているんだろうな)


 自然と口元が吊り上がる。


 俺は長剣を構え、目の前の上位種を睨み据えた。

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