↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いずれ全能の大魔王へ至る暴食者〜喰らった相手のスキルを奪い、襲い来る敵達を返り討ちにして世界最強へ〜  作者: 無名
第1章 暴食の魔王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/53

第38話 森の奥の統率者

 一番近い気配のもとへ向かう。


 木の陰から少し顔を出して気配の正体を探ると、コボルト・ファイター、コボルト・シャーマン、コボルト・ハンターの三匹だった。


 (ハイコボルトと同じように、複数存在しているわけか)


 あの連携力を考えると相手するのは少し面倒だが、スキルレベルを上げられると考えると、どれだけ強くなれるのか楽しみでもある。


 (【魔力感知】と【魔法攻撃耐性】で対策済みだし、今度こそは余裕を持って倒せるだろう)


 俺は少しずつ距離を詰めると、【突進】を発動。


 三匹は【嗅覚強化】で俺の存在に気づくと、コボルト・ファイターが行く手を塞ぐように立ち塞がる。


 「グルルラァ!」


 コボルト・ファイターが右足を引いて深く腰を落とすと、俺の左側頭部に向かって鋭い蹴りを放ってきた。


 (チッ!)


 先にコボルト・シャーマンを倒そうと思っていたのだが、計画が狂った。


 しかし慌てることなく、放たれた蹴りに合わせるように長剣を振り抜き、コボルト・ファイターの右足を斬り飛ばす。


 「ガルル……」


 コボルト・ファイターは低い唸り声を上げながら、左足でトントンと後退る。


 そのまま追い討ちをかけようかと思ったが、【危険察知】が背後から迫る危険を教えてくれる。


 奇襲を仕掛けてくるのは間違いなくコボルト・ハンターだ。鋭い犬歯や爪で攻撃しようとしているのが、振り向かなくても分かる。


 (なら━━)


 一歩、二歩と踏み出し、右足を斬り飛ばされてもなお立ち塞がるコボルト・ファイターの頭上を、【跳躍】で飛び越える。


 これで、コボルト・ハンターの奇襲を回避しながらも攻撃に移れる。狙いは、コボルト・シャーマン。


 着地と同時に駆け出すと、コボルト・シャーマンが瞬時に魔法陣を展開。その中心から風が螺旋を描き、まるで風の弾丸のようなものが顔を覗かせる。


 今度は【魔力感知】があるため、はっきりと視認できた。先ほどの戦いで俺の胸や額を穿ったのは、風の弾丸だったようだ。


 風の弾丸は完全に姿を現すと、瞬時に加速。周囲の風を切り裂きながら進み、俺の胸に直撃━━する寸前で身体を捻るが、左肩を掠めていく。


 (完全には避けられないか……だが今度こそ、トドメだ!)


 俺は全力で駆け出す。


 コボルト・シャーマンは慌てて魔法を行使しようとするが間に合わず、俺が鋭く振り下ろした長剣によって真っ二つに両断された。


 (まずは一匹)


 即座に振り返り、コボルト・ファイターとコボルト・ハンターの様子を窺う。


 コボルト・ファイターは右足を斬り飛ばされているのでその場から動けていないが、五体満足のコボルト・ハンターも、距離を詰めてはいなかった。


 (だったら、このまま殲滅する!)


 俺が勢いよく駆け出すと、コボルト・ファイターは左足でなんとかバランスをとりながら両拳を構える。


 それに対してコボルト・ハンターは怯えた表情を浮かべ、一歩、二歩と後退ると、一目散に逃げ始めた。


 (クソッ、手間かけさせやがって!)


 俺は左手を拳銃の形にして、コボルト・ファイターに向けて【酸弾】を射出。


 無事に着弾したのを見届けると、頭上を飛び越えてコボルト・ハンターの後を追う。


 背中を捉えると【突進】を発動。瞬く間に距離を詰め、無防備な背中に向かって長剣を振り下ろす。


 「グルルラァ……」


 驚きと痛みの混じった声を上げながら、コボルト・ハンターはズサァーと地面に転がる。


 その隙を見逃さず馬乗りになり、後頭部へ長剣を突き刺した。


 (残り一匹)


 コボルト・ハンターの死体を引き摺りながら戻ると、コボルト・ファイターは右足からの出血と焼け爛れる痛みで瀕死の状態だった。


 背後から静かに近づき、「ガルル……」と苦しそうに呻くコボルト・ファイターの首に向かって長剣を振り抜く。


 断面から鮮血が舞い、身体が地面に沈む。


 (一戦目よりも安定して戦えたな。やはり【魔力感知】でコボルト・シャーマンの攻撃を視認できるのが大きい)


 「これなら問題なく戦えそうだな」と思っていると、【気配察知】が右前方と左前方から接近する気配を捉えた。


 暗闇の中から断片的に姿を現したのは、コボルト・ファイター、コボルト・シャーマン、コボルト・ハンターの二パーティー。


 (マジか! 二つのパーティーを同時に相手しないといけないのか!?)


 一つのパーティーだけなら余裕を持って戦えるが、二つのパーティーを同時にとなると……少し不安だ。


 (でも、やるしかない!)


 二つのパーティーはお互いに牽制し合うわけでもなく、全個体が俺に敵意を向けている。


 俺は長剣の切先を奴らに向け、戦闘体勢に移る。


 暫し睨み合った後、コボルト・シャーマン達が魔法陣を展開。左右から風の弾丸が勢いよく飛来する。


 俺は咄嗟に身体を捻って躱すが、右肩に風の弾丸が着弾する。


 (痛ッ……いけど、【魔法攻撃耐性】のおかげで我慢はできる!)


 そして全力で駆け出す。ただ真っ直ぐに走り、直前までどちらを狙うか分からないようにする。


 しかしここで、コボルト・ファイター達が「グルルラァ!」と雄叫びを上げながら、左右から迫ってきた。


 (パーティー同士でも連携ができるのか!?)


 いくら格下とはいえ、これだけの数を同時に相手取るとなると油断はできない。


 俺は「ブモォオオオオオ!」と雄叫びを上げ、【身体強化】を発動。五分間、『物理攻撃力』『物理防御力』『移動速度』が『×1.5倍』に強化。


 まずは右側から迫るコボルト・ファイターに対して、左手を拳銃の形にして【酸弾】を射出。しかし今度は、身体を捻って回避されてしまった。


 だが、問題はない。


 その隙を狙って駆け出すと、コボルト・ファイターは体勢も不十分なまま左拳を突き出してくる。


 それを長剣で斬り飛ばし、身体を捻りながら懐に入ると長剣を振り抜き、首を斬り落とす。


 このまま右側のパーティーを殲滅しようとした時、背後から迫る魔力を感知。そして【危険察知】が、真横から迫る危険を教えてくれる。


 (同時に対処するのは無理だ。物理攻撃には自信があるから、魔法を回避する!)


 即座に振り向き、目前に迫る風の弾丸を身体を捻って回避。


 直後、コボルト・ハンターに頭へ噛みつかれるが大してダメージはなく、長剣の切先を後ろに向けてコボルト・ハンターを突き刺す。


 「ガルル……」


 ドサっと膝から崩れ落ちる音がしたので、狙いをコボルト・シャーマンに定める。しかしまたしても、背後から迫る気配が。


 振り向くと、コボルト・ファイターとコボルト・ハンターが迫っていた。


 (上等だ!)


 「ブモォオオオオオ!」


 コボルト・ファイターが突き出した右拳を左手で掴み、首元に向かって長剣を突き刺す。


 口から大量の血を吐き出しながら崩れ落ちるのを見届け、左側から噛みつこうとしてきたコボルト・ハンターの首元を、【絞殺】を発動しながら鷲掴む。


 ミシミシと骨が軋む音が響き、ついにボキッとコボルト・ハンターの首の骨が折れた。


 (あとは、コボルト・シャーマン二匹!)


 前衛のいなくなった後衛は脆い。それをコボルト・シャーマン達も理解しているのか、それぞれがバラバラに逃げ始める。


 しかし、【身体強化】を発動中の俺から逃れられるわけもなく、背中から真っ二つに両断されて、二つのパーティーは全滅した。


 (ふぅ……余裕はなかったが、問題なく勝てた。これならどんどん戦いを仕掛けても問題はないな)


 それぞれの死体を一箇所に集め、肉や臓物を喰らっていく。喰らうたびに一瞬満足感が訪れるが、すぐに渇きが押し寄せる。


 喰らっても喰らっても同じ繰り返しで、最終的には食べる前と変わらず、満たされないままだった。


 (人間を喰らってから魔物では中々満たされなくなったけど、格下だと余計に”足りない”と感じるな)


 それに、理性が本能に呑み込まれていなくても食べることへの忌避感はなく、もう喰らうのが当たり前になっている。


 しかも、ほぼ無意識だ。


 (もしかして俺……普段から魔物になっているのか?)


 思わず、そんな考えが脳裏を過ぎる。


 (でも人間だって、見たことはないけど、ホーン・ラビットやオークを食べているはずだ。魔物として生きたくなければ、人間を喰わないことが大切だ)


 そう思うが、それが一番難しい。人間を見ると、魔物とは比較にならないほど【暴食】の衝動が強くなるからだ。


 徐々に緩和されてきているとはいえ、まだまだ人間との交流は望めない。


 (さて、【暴食】の衝動を軽減するためにも、もっと強くならないとな。そのためにもまずは、ファイター・シャーマン・ハンターのパーティーを狩っていこう)


 俺は全てを腹に収めると、【気配察知】と【夜目】を頼りにコボルト・ファイター、コボルト・シャーマン、コボルト・ハンターのパーティーを強襲していく。


 コボルト・シャーマンが放つ風の弾丸の速度に慣れ、余裕を持って回避できるようになってきた。


 ━━コボルト・ファイター、コボルト・シャーマン、コボルト・ハンター、それぞれ20匹目。


 『【格闘術】Lv.4にUPしました』


 コボルト・ハンターの奇襲も、【危険察知】のおかげもあるが、必ずと言っていいほど死角から襲ってくるため、だんだん読めるようになってきた。


 ━━それぞれ40匹目。


 『【格闘術】Lv.5にUPしました』


 『【風魔法】Lv.5にUPしました』


 『【魔力操作】Lv.4にUPしました』


 ━━それぞれ60匹目。


 『【隠密】Lv.5にUPしました』


 三種合わせて60匹ほど討伐したところで、かなりの範囲を探しても新たな気配を捉えられなくなった。


 (そろそろ奥へ進むタイミングかな)


 そう思って森の奥へ進むと、また新たな気配を捉えた。新種の可能性も考慮して、木の陰に隠れながら様子を窺う。


 すると、三匹は何度も戦ったコボルト・ファイター、コボルト・シャーマン、コボルト・ハンター。


 残りの一匹は、三種よりも頭一つ分大きく、鍛え抜かれた身体つきをした未知の魔物だった。


 コボルト・ファイターやコボルト・ハンターはまだ分かるが、本来守られるべき立場のコボルト・シャーマンさえも、その未知の魔物を守るように囲んでいる。


 (なんだアイツは?)


 正体を詳らかにするため、即座に【看破】を発動。


━━━━━━━━━━

(簡略ステータス)

・コボルト・ジェネラル Lv.35

・平均能力値 97

・所持スキル 【格闘術】【統率】【嗅覚強化】【咬合力強化】【逃走】

━━━━━━━━━━


 ━━その時、コボルト・ジェネラルと目が合った。


 「マズイ!」と感じた時には遅く、コボルト・ジェネラルは「グルルラァ!」と雄叫びを上げ、右腕を振り上げた。


 俺はコボルト・ジェネラルから目が離せなかった。


 理由は分からない。


 だが、あの個体だけは今までのコボルトとは何かが違った。


 コボルト・ファイター、コボルト・シャーマン、コボルト・ハンターが、それと同時に動き出す。


 しかし、指示を出したであろうコボルト・ジェネラルは、その場から一歩も動かなかった。


 (━━来る!)

 読了後、リアクション、ブックマークなど、是非よろしくお願いします。

 「面白い!」や「お疲れ様です」など一言でいいので、コメントを書いて頂けると、励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。