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いずれ全能の大魔王へ至る暴食者〜喰らった相手のスキルを奪い、襲い来る敵達を返り討ちにして世界最強へ〜  作者: 無名
第1章 暴食の魔王

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第37話 格下の牙

 木の陰から身を乗り出し、全力で駆け出した瞬間、三匹は【嗅覚強化】で俺の存在に気づく。


 俺を視認した三匹は、素早く陣形を組んだ。コボルト・シャーマンを守るように、コボルト・ファイターが前へ出る。


 コボルト・ハンターはシャーマンとファイターから少し距離を取り、俺の視界から逃れようとしている。


 (できれば、コボルト・ハンターから始末したいところだが、【突進】は〝直進限定〟だから急な方向転換はできない。ならこのまま、コボルト・ファイターを仕留めてしまおう)


 まずは攻撃役兼壁役のコボルト・ファイターを沈めるため、瞬く間に距離を詰めると――俺の胸に何かが直撃し、思わず蹌踉めく。


 (痛ッ! 何が起きた!?)


 一歩、二歩と後退したところで、「ガルルラァ!」と雄叫びを上げながら、コボルト・ファイターが鋭く右拳を突き出す。


 俺はモロに左頬へ拳撃を喰らうが、【物理攻撃耐性】のおかげで無傷。左頬で右拳を押し返すように前を向き、長剣を振り上げた。


 このまま真っ二つに両断しようとした瞬間――【危険察知】が、右後方から危険が迫っていると告げる。


 咄嗟に振り向くと、鋭い犬歯を覗かせながら飛びかかってくるコボルト・ハンターの姿があった。


 素早く身体を入れ替え、コボルト・ハンターを長剣で斬り伏せようとした瞬間、背中に痛みと衝撃が走る。


 一歩踏み出してなんとか堪えると、その隙にコボルト・ハンターが俺の左肩に噛みついた。


 【咬合力強化】も発動し、犬歯を突き立てて肉を食いちぎろうとしてくる。さらに背後からコボルト・ファイターが迫り、俺の後頭部を強く殴打した。


 (クソッ、鬱陶しい! 退け!)


 左腕を力任せに振るい、コボルト・ハンターの右脇腹へ裏拳を叩き込む。


 「ギャンッ!」


 バキッと骨が折れる感触が拳越しに伝わった。コボルト・ハンターは俺の左肩から口を離し、右脇腹を押さえながら後退する。


 それを見届けた後、即座に振り返る。顔面に鋭い拳撃を叩き込まれたが、衝撃だけで痛みはない。


 「ブモォオオオ!」


 雄叫びを上げ、素早く長剣を振り下ろす。コボルト・ファイターは咄嗟に飛び退くが、右腕をバッサリと斬られてしまった。


 そのまま距離を詰めて仕留めにかかろうとするが、再び胸の辺りに衝撃と痛みが走り、攻撃を中断させられる。


 (……攻撃を受ける直前、コボルト・シャーマンの目前に魔法陣が展開されているのは分かる。【風魔法】で攻撃されているのは明らかだが……どんな攻撃を受けているのか、全く視認できない)


 気づいたときには、ダメージを受けている。


 他の能力値に比べて『魔法防御力』は低いが、一発で行動不能になることはない。しかし、じわじわとダメージが蓄積していた。


 (コボルト・ファイターは片腕を失った。コボルト・ハンターは【気配察知】と【危険察知】があるから問題ない。となると、先に仕留めるべきはコボルト・シャーマンだな)


 優先順位が定まると、俺は即座に動き出した。再び【突進】を発動し、コボルト・シャーマンとの距離を詰める。


 途中でコボルト・ファイターが慌てて身を挺し、行く手を塞ごうとしてきたが、お構いなしに突き進む。


 コボルト・ファイターが左手で俺の足首を掴もうとするが、間一髪で間に合わない。俺が目前まで迫ると、コボルト・シャーマンは即座に魔法陣を展開した。


 直後、額に鋭い痛みが走る。


 皮膚が裂け、温かい血が目元へ流れ落ちた。


 (ぐっ……堪えろ! 致命傷じゃない。魔法発動直後で無防備な奴を、絶対に逃すな!)


 痛みに耐えながら距離を詰め、コボルト・シャーマンの目前で長剣を振り下ろした。


 コボルト・シャーマンは脳天から股下まで真っ二つに両断され、地面に崩れ落ちた。


 (あとは、ファイターとハンターだけ――ッ!)


 【危険察知】に従い、咄嗟に背後へ振り向くと、目前にコボルト・ハンター、その後ろからコボルト・ファイターが迫っていた。


 俺は長剣を素早く突き出し、コボルト・ハンターを刺し殺す。同時に左手を拳銃の形にして、コボルト・ファイター目掛けて【酸弾】を射出した。


 「グルルラァ……」


 胸の辺りに着弾した酸液の弾丸。焼け爛れる痛みに襲われたコボルト・ファイターが、その場に膝をつく。


 その隙にコボルト・ハンターから長剣を抜き取り、コボルト・ファイターへ向かって全力で駆け出す。


 コボルト・ファイターは咄嗟に両腕を交差させながら頭上に掲げ、防御体勢を取った。


 お構いなしに両手首を斬り落とし、最後は顔面に長剣を突き刺してトドメを刺した。


 (連携は見事だったけど、一匹一匹は俺より格下だから、勝てる算段はあった。でも、能力値が低かったり、〔耐性系〕のスキルがなければ、格下相手でも油断できないと分かった)


 しっかりと対策を講じる必要があるが、まずは三匹を喰らい、スキルを獲得して、伸ばせる能力値を伸ばしておく。


 まずは足元に転がる、コボルト・ファイターの死体から。


 『【格闘術】Lv.3にUPしました』


 次はコボルト・ハンター。


 『【気配隠蔽】Lv.5にUPしました』


 『【魔力隠蔽】Lv.5にUPしました』


 『【隠密】Lv.4を獲得しました』


 最後はコボルト・シャーマン。


 『【風魔法】Lv.4を獲得しました』


 『【魔力操作】Lv.3を獲得しました』


 三匹を喰らったことで、既得スキルのレベルが上昇したり、新規スキルを獲得したりと、着実に能力値が底上げされた。


 (よし。【風魔法】まで手に入った。これで戦いの選択肢が増える。だけど、まだ問題が残っている)


 課題は、コボルト・シャーマンの【風魔法】をどう防ぐかだ。


 方針としては、できる限り回避しつつ、直撃したとしても衝撃や痛みを軽減できるようにしたい。


 〝衝撃や痛みの軽減〟については、【魔法攻撃耐性】を獲得すれば解決できるはずだ。


 問題は、どうやって攻撃を回避するかだが……。


 スキルポイントの項目をタップし、獲得可能なスキル群を眺める。


 異世界転生モノの小説から得た知識をもとに、「これかな?」と当たりをつけて項目をタップすると、予想通りの内容が書かれていた。


 俺の現在のスキルポイントは『5』。まずはスキルポイントを『1』消費して、【魔力感知】を獲得する。


 『【魔力感知】Lv.1を獲得しました』


━━━━━━━━━━

・名称 【魔力感知】

・分類 常時発動型パッシブ

・効果

 生物が保有する魔力を感知可能。

 体内にある魔石の位置が分かり、魔法事象を視認できるようになる。

・有効範囲 半径5メートル

━━━━━━━━━━


 【気配察知】の魔力バージョンといったところか。


 ただ、有効範囲が狭すぎるのが欠点だ。これまでの戦闘を振り返ると、最低でも10メートルは欲しいところ。


 さらにスキルポイントを『2』消費して、スキルレベルを上げる。


 『【魔力感知】Lv.2にUPしました』


 これで、コボルト・シャーマンの【風魔法】を回避できるだろう。あとは保険として、【魔法攻撃耐性】も獲得しておく。


 『【魔法攻撃耐性】Lv.1を獲得しました』


 (やるべきことはやった。あとは数を倒して、スキルレベルを上げられるところまで上げていく)


 そうと決まった俺は、次なる獲物を求めて森の奥へ進む。すると、【気配察知】が新たな気配を捉えた。


 それも一つや二つじゃない。


 先程と同じような反応が、複数。


 (まさか……あの三匹だけが特別だったわけじゃないのか?)

 読了後、リアクション、ブックマークなど、是非よろしくお願いします。

 「面白い!」や「お疲れ様です」など一言でいいので、コメントを書いて頂けると、励みになります。

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