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いずれ全能の大魔王へ至る暴食者〜喰らった相手のスキルを奪い、襲い来る敵達を返り討ちにして世界最強へ〜  作者: 無名
第1章 暴食の魔王

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第35話 森の奥の異変

 湿地帯の狩場を後にした俺は、北へ向かって進んでいた。


 湿地帯は前後と右側を山林に、左側を街道に囲まれた地形だったため、俺は途中から山林の中を歩いていた。


 【気配察知】で周囲を警戒しながら進んでいるが、今のところ魔物の気配はない。ならば、今のうちに現状を確認しておこう。


 湿地帯でどれだけ成長したのか確認するため、ステータスウィンドウを表示する。


 一番突出しているのは『物理攻撃力』で『272』。他の能力値も100の大台を超えており、平均能力値は『168』。


 マッド・バイパーからは【気配隠蔽】や【魔力隠蔽】など奇襲に役立つスキルが手に入ったし、スワンプ・ホークからは視野を広げてくれる【遠視】が手に入った。


 着実に成長していることを実感できるし、レベルも40手前。


 レベル30で進化現象が発生したことから、レベル40到達で「進化するのでは?」と期待している。


 (早くレベルを上げないとな。次はどんな魔物に進化するんだろう?)


 期待感も相まって、歩くペースが速くなる。


 今はとても魔物を狩りたい気分だが、【気配察知】に反応はない。


 (こういう時に限って魔物がいないのか……物欲センサーでも働いているのか?)


 そんなことを思いながら、俺は山林を進んでいく。



 陽がだいぶ沈み、夜の帳が下り始めた頃。俺は遠目に聳え立つ巨大な壁を視認した。


 距離が離れていても、【遠視】と【夜目】でその様子がよく分かる。


 壁の上には火の灯された松明が等間隔で並び、金属鎧を着用した兵士と思われる人間が周囲に視線を巡らせている。


 そして壁の手前で街道が右側にも伸びており、その先を視線で辿ると、またしても遠くに巨大な壁が聳え立っていた。


 (ん? こんな近くに、街が二つもあるのか?)


 ふと疑問を抱くが、この世界の知識があまりない俺には、常識など分からない。しかも、巨大な壁よりもさらに高い建物が、天を貫く勢いで建っている。


 (目の前に聳え立つ壁は街を守るためのものだと思うが、あれは何か、施設を守るためのものなのか?)


 とても気になるが、あそこにも十中八九冒険者達がいると思うので、近づくのは危険だ。


 そうなると、俺が行ける場所はただ一つ。


 左側に生い茂る森林。


 ゴブリンの狩場と似た雰囲気を感じるが、果たして……。


 どんな魔物と出会えるかワクワクしながら、森の中へ足を踏み入れる。早速、【気配察知】が魔物の気配を捉えた。


 俺は木々の陰に隠れるように移動して、気配を捉えた場所へ向かう。


 (……いた!)


 身長は俺よりも小さい1メートル程度。


 犬や狼に似た長い吻、獣のように縦長の瞳孔、口元から覗く鋭い犬歯。


 身体は細身で、全身を灰色の体毛に覆われている。


 一目見て「あの魔物か?」と閃いたが、正体を確定させるべく【看破】を発動する。


━━━━━━━━━━

(簡略ステータス)

・コボルト Lv.5

・平均能力値 18

・所持スキル 【嗅覚強化】【咬合力強化】【逃走】

━━━━━━━━━━


 (なんだ、ゴブリンと同程度か)


 魔物の正体は予想通りコボルトだったが、強さはゴブリンと同等だった。


 以前ゴブリンと戦った時は初めての集団戦だったこともあり、とても苦戦した苦い思い出がある。


 ただ今となっては、この程度の相手に脅威を感じない。それは油断でも慢心でもなく、能力値とスキルがそれを証明してくれている。


 レベル40目前ということで大いに期待していた俺だったが、これは出鼻を挫かれてしまった。


 (せめて、未所持のスキルがあれば良かったんだが……)


 残念な気持ちになりながらも、上位種が出現するまで狩ろうと決めた。


 まぁ、上位種の強さもたかが知れているのだが、普段通り活動することにした。


 木の陰から出ると、一直線にコボルトへ向かって駆け出す。


 コボルトは【嗅覚強化】で俺の匂いを感じ取り、即座にこちらへ振り返って敵意の籠った視線を向ける。


 そして「グルル……」と唸った後、無手で突撃してきた。


 お互いの距離が縮まると、コボルトが噛みつこうと飛びかかってきた。俺は長剣を鋭く振り下ろし、コボルトを真っ二つに両断する。


 呆気ない決着。


 しかしそれが、お互いの実力差の証明。


 ゴブリンと大立ち回りを演じたあの時に比べれば、今の俺はとても強くなっている。


 戦いの物足りなさとは裏腹に、自身の成長を体験として実感でき、嬉しい気持ちになった。


 その時、どこかで遠吠えが響く。


 【気配察知】の有効範囲内に、多くの気配を捉えた。


 コボルトの死体から漂う血臭が風に吹かれて森の中を駆け抜け、それを他のコボルト達が感じ取ったのだろう。


 俺は改めて長剣を構え、続々と暗い森の中から姿を現したコボルト達に斬りかかっていった。



 グチャグチャ……バキボキッ……ゴクッ。


 真っ暗な森の中に、不快な音が響き渡る。


 俺の足元には血の池ができており、身体を真っ二つに両断されたコボルト達の死体が積み上がっていた。


 そしてその中で、俺は一人、肉や臓物を喰らっていた。


 ただ喰いながらも、疑問が残る。


 戦いには余裕があったので、しっかりと倒した数をカウントしながら戦っていたのだが、100匹ほど倒しても、一向に上位種が出現する気配がなかった。


 (上位種は必ず出現するわけじゃないのか? それとも、まだ俺が見つけていないだけなのか?)


 なら「もう少し狩ってみよう」と思い、コボルト達を綺麗に腹に収めた後、森の奥へ進んでいく。


 すると━━


 (えっ?)


 即座に視線の先へ【看破】を発動する。


━━━━━━━━━━

(簡略ステータス)

・ハイコボルト Lv.15

・平均能力値 35

・所持スキル 【嗅覚強化】【咬合力強化】【逃走】

━━━━━━━━━━


 ハイコボルト自体は脅威ではない。


 だが、その数が問題だった。


 (三匹……だと?)


 今まで遭遇した上位種は、どれも一匹だけだった。


 群れを率いる個体だからなのか、それとも縄張り意識が強いからなのか。


 少なくとも、同じ上位種が並んでいる光景など見たことがなかった。


 そして三匹の視線が、一斉にこちらへ向く。

 読了後、リアクション、ブックマークなど、是非よろしくお願いします。

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