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いずれ全能の大魔王へ至る暴食者〜喰らった相手のスキルを奪い、襲い来る敵達を返り討ちにして世界最強へ〜  作者: 無名
第1章 暴食の魔王

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第34話 湿地帯の三つ巴

 気配の質と自身の行動結果から、目の前の大蛇はマッド・バイパーの上位種であろうと予測できた。


 即座に【看破】を発動し、対象の情報を詳らかにする。


━━━━━━━━━━

(簡略ステータス)

・マッド・サーペント Lv.30

・平均能力値 78

・所持スキル 【毒牙】【絞殺】【温度差可視化】【気配隠蔽】【魔力隠蔽】

━━━━━━━━━━


 マッド・バイパーと比べると、体長も胴回りも二倍ほど大きくなったが、体皮の模様や所持スキルに変わりはない。


 レベルも上空を旋回するスワンプ・ホークと変わらないので、油断さえしなければ間違いなく勝てる相手だ。


 (背筋がゾワゾワする感覚に襲われたのは、単純に上位種だったからか。俺より強いかどうかは関係なさそうだな)


 長剣を構え、マッド・サーペントの出方を窺う。奴は舌をチロチロさせながら、左右に鎌首を振って俺の隙を窺う。


 お互いにしばし見つめ合っていると、両者の戦いに乱入する者達が現れた。


 上空を優雅に飛翔していたスワンプ・ホーク達が、急降下を始めたのだ。


 そして俺に襲いかかる――ではなく、目の前のマッド・サーペントに群がり始めた。


 マッド・サーペントは空から襲いかかってきたスワンプ・ホークの一匹に噛みついた。


 ギシッ。


 骨が軋む音が響く。


 噛みつかれたスワンプ・ホークは羽を羽ばたかせ、必死に逃れようと暴れていた。しかし次第に動きが小さくなり、最後は痙攣しながら地面に落下した。


 だが、上位種とはいえマッド・サーペントはスワンプ・ホークと同格。複数で襲われれば、ひとたまりもない。


 (クソッ! 俺の獲物を横取りするな!)


 獲物を横取りされる焦りから、俺は長剣を振り上げながらマッド・サーペントに群がるスワンプ・ホーク達に強襲する。


 奴らはマッド・サーペントに意識が向いているので、俺が二匹、三匹と斬り殺しても眼中になかった。


 しかし七匹、八匹と斬り殺すと、奴らは自分達の獲物を奪いにくる俺へと狙いを変え、鋭い嘴や爪で襲いかかってきた。


 真正面から突っ込んできた奴の嘴攻撃を長剣で受け止め、【絞殺】を発動しながら胴体を鷲掴みにして握り潰す。


 続いて左右から迫ってきた奴らが、直前で【裂爪】を発動しながら鋭い爪を振り下ろしてくる。


 咄嗟に飛び退いて躱し、再び距離を詰めると、身体を真っ二つに両断した。


 群がるスワンプ・ホーク達を迎撃していると、足元から接近する気配を捉えた。


 一時的に助けてやったはずのマッド・サーペントが、足元から身体に巻きついてきたのだ。


 (ぐっ……身体が、動かせ、ない)


 強く締めつけられるが、【物理攻撃耐性】のおかげで痛みはない。多少苦しい程度だ。


 ただ、俺が身動きできなくなると、スワンプ・ホーク達の狙いがマッド・サーペントへと変わる。


 すると、自ら拘束を振り解こうと暴れる必要もなく、マッド・サーペントの締めつける力が自然と弱まった。


 拘束から脱した俺は、すぐにスワンプ・ホーク達へ斬りかかる。


 (ったく、アイツは馬鹿なのか? 俺が身動き取れなくなったら、奴らの狙いが自分に向くくらい分かるだろ。手間かけさせやがって)


 多少苛つきながらも、俺も獲物を横取りされたくないので、確実にスワンプ・ホークの数を減らしていく。


 泥濘んだ地面に、真っ二つに両断された死体と飛び出した臓物が散乱する。


 気づけば、足の踏み場もないほどスワンプ・ホーク達の死体で埋め尽くされていた。


 これだけ同種を殺せば、スワンプ・ホークの上位種が現れてもおかしくない。


 空を見上げると、自由気ままに飛翔していたスワンプ・ホークの姿はすでに見当たらなかった。


 視線を前方へ向けると、胴体のあちこちにスワンプ・ホークの嘴や爪で傷つけられた跡が目立つ、マッド・サーペントの姿があった。


 (なんか三つ巴の状況になったが、最終的には俺に有利な展開になったな)


 マッド・サーペントも万全の状態ではない。


 手早く決着をつけることにした。


 マッド・サーペントが口を大きく開けて、ニョロニョロと加速しながら飛びかかってくる。


 俺は【突進】を発動し、一瞬で懐に入り込む。


 交差した瞬間、マッド・サーペントの太い胴体を真っ二つに斬り裂いた。


 湿地帯での三つ巴の戦いは、俺の勝利で幕を閉じた。


 しかし俺は、マッド・サーペントやスワンプ・ホークの死体を喰らうことなく、【気配察知】で周囲を探る。


 正確な数は数えていないが、足元に転がるスワンプ・ホーク達の死体を見れば、上位種が現れても不思議ではない。


 最大限警戒していたからか、背筋がゾワゾワする感覚を覚えた瞬間、即座に振り向いて長剣を構えた。


 しかしすでに、大きな影は目前に迫っていた。咄嗟に身体を捻って回避するが、高速で通り抜ける嘴が頬を掠める。


 大きな影は通り過ぎた後、再び上空へ舞い上がり、急降下を開始。少し離れた場所へ舞い降りたかと思うと、突然方向転換。


 弾丸のようにこちらへ迫り来る。なんとかタイミングを合わせて長剣を振り抜こうとするが間に合わず、鋭い爪で左肩を引っ掻かれた。


 またしても上空へ舞い上がる影を目で追いながら、俺は上位種の正体を探るべく【看破】を発動する。


━━━━━━━━━━

(簡略ステータス)

・スワンプ・イーグル Lv.40

・平均能力値 119

・所持スキル 【裂爪】【握力強化】【遠視】

━━━━━━━━━━


 胸がドクンッと高鳴る。


 ハイオークよりも格上の存在を前にして、鳴りを潜めていた【暴食】の衝動が沸々と湧き上がってくる。


 マッド・バイパーやスワンプ・ホークでは満たされなかった渇きがようやく満たされるかもと思い、俺は戦意を昂らせる。


 ……肉がヤワラカソウダ。


 ……血が新鮮でアタタカソウダ。


 ……早くクライタイ!


 鼻息を荒くし、口元から涎を垂らしながら長剣を構える。


 【状態異常耐性】を獲得した影響なのか、盗賊達と戦った時よりも理性は意外と残っていた。


 【遠視】でスワンプ・イーグルの鋭い瞳と視線を交わしながら、奴が降りてくるのをじっと待つ。


 すると奴は、俺と距離を取るように飛んでいく。助走をつけるためだったのか、やがて勢いよく降下しながら接近してきた。


 それを見た瞬間、俺は【身体強化】を発動。『物理攻撃力』『物理防御力』『移動速度』が『×1.5倍』に強化される。


 鋭く射抜かれた矢のように迫る奴に対して、俺は長剣を構えたまま迎撃体勢を取る。


 そして、奴が目前に迫った瞬間、長剣を振るうのではなく両手で鷲掴む。


 長剣ではまたタイミングを外すかもしれないし、一撃で仕留められない可能性もあったからだ。


 そのまま飛翔の勢いに抗うように地面へ叩きつけ、奴の頭部に向かって長剣を突き刺す。


 ピクピクと痙攣する奴に対して、何度も長剣を突き刺し続けた。


 二度も攻撃を成功させたことで、奴は俺を格下だと侮っていたのかもしれない。そうでなければ、あそこまで無防備に突っ込んでくるとは思えなかった。


 『Lv.35にUPしました』


 『Lv.36にUPしました』


 レベルの上昇を知らせる声が鳴り響く。


 『Lv.37にUPしました』


 『Lv.38にUPしました』


 まだ声は鳴り止まない。


 『Lv.39にUPしました』


 声が鳴り止むと、俺は我慢できずスワンプ・イーグルの死体を貪り喰らう。


 グチャグチャ……バキボキッ……グチャ。


 ……あぁ、満たされる。


 やはり人間ほどではない。


 だが、【暴食】の渇きを鎮めるには十分だった。


 それから、マッド・サーペントと散乱するスワンプ・ホークの死体を喰らい、量で残りの空腹を満たすことにした。


 『【裂爪】Lv.6にUPしました』


 『【握力強化】Lv.6にUPしました』


 『【遠視】Lv.6にUPしました』


 改めて、湿地帯を見渡す。


 【温度差可視化】でも、赤橙色の反応はほとんど見当たらない。


 マッド・バイパーも、スワンプ・ホークも。


 もう十分狩り尽くした。


 (そろそろ次の狩場を探すか)


 俺は新たな狩場を目指して、北へ向かって歩き出した。

 読了後、リアクション、ブックマークなど、是非よろしくお願いします。

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