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いずれ全能の大魔王へ至る暴食者〜喰らった相手のスキルを奪い、襲い来る敵達を返り討ちにして世界最強へ〜  作者: 無名
第1章 暴食の魔王

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第33話 空の略奪者と不穏な気配

 スキルレベルを上げるために、マッド・バイパーを大量に狩ろうと周囲に視線を向けた時、視界に変化があった。


 視界全体が、色彩豊かな世界へと変わる。


 木々は淡い緑、泥濘んだ地面は青く染まり、その中を移動する生物だけが赤橙色の光となって浮かび上がっていた。


 (……なんだか、サーモグラフィーみたいだな)


 ステータスウィンドウを表示し、マッド・バイパーから得たスキルの中で影響を与えているであろう項目をタップ。


 詳細説明を確認する。


━━━━━━━━━━

・名称 【温度差可視化】

・分類 任意発動型アクティブ

・効果

 生物や植物、周囲の温度差を色で識別できるようになる。

・有効範囲 前方15メートル

━━━━━━━━━━


 予想通りの効果。


 特にマッド・バイパーは体皮が迷彩柄に近く、地面を這うように移動するため、【嗅覚強化】や【気配察知】では気づくのに一瞬遅れる可能性がある。


 (この狩場では、【温度差可視化】の方が役立つか。今後、夜間の活動でも使えるだろうし、今のうちに慣れておくか)


 気持ちを切り替えて、改めて周囲を見渡す。すると、近くの草藪の中に赤橙色の反応を視認した。


 息を殺してゆっくりと近づいていくが、泥濘んだ地面に足を取られて歩きづらく、ヌチャヌチャと音が響くため、すぐに気づかれてしまう。


 「シャーー!」


 鎌首をもたげたと思ったら、ニョロニョロと加速してから大きく跳躍。


 毒液の滴る牙を剥き出しにして噛みつこうとしてくるので、長剣を横薙ぎに振るう。


 マッド・バイパーは身体を真っ二つに両断され、上半身が俺の胸に当たってから、地面にボトリと落ちた。


 本来マッド・バイパーは、【気配隠蔽】や【魔力隠蔽】で奇襲を仕掛け、【絞殺】で身体を締め上げ、【毒牙】でトドメを刺す――そんな戦い方をする魔物だと思われる。


 しかし、俺の【気配察知】のレベルが高く奇襲が通じないため、本領を発揮できずに倒されていく。


 “見つける力”と”毒に抗う力”がなければ、マッド・バイパーよりも格上のオークの狩場で活動する冒険者でも、簡単に命を落とすだろう。


 そんなことを考えていると、背後に二つの気配を捉えた。即座に振り返り、視線を下に向ける。


 二匹のマッド・バイパーが足元に接近しており、それぞれ両足に巻きつこうとしていた。


 すぐに左足へ近づく一匹の頭部に長剣を突き刺す。そして、右足に巻き付いてきた一匹の胴体を両手で鷲掴みにし、強引に引きちぎった。


 今度こそ喰らおうと口元に死体を近づけた時、高速で接近する気配を捉える。視線を前方へ向けると、一匹の鳥が間近に迫っていた。


 即座に身体を捻って躱すが、鳥の狙いは俺ではなかったようで、両手に持っていたマッド・バイパーの死体を持ち逃げされた。


 (クソッ! なんだアイツは!?)


 飛び去る奴に向けて、【看破】を発動。


━━━━━━━━━━

(簡略ステータス)

・スワンプ・ホーク Lv.30

・平均能力値 78

・所持スキル 【裂爪】【握力強化】【遠視】

━━━━━━━━━━


 マッド・バイパーよりも格上の鳥型魔物。レベルはオークよりも高いが、戦闘向きのスキル構成は単純だ。


 それよりも気になるのは、奴が【状態異常耐性】を所持していないこと。


 マッド・バイパーを持ち去ったということは、おそらく自分で食べるつもりだろう。


 (【状態異常耐性】がなければ、毒に侵されて死ぬんじゃないか?)


 俺自身がそうならないよう、スキルポイントを消費してまで【状態異常耐性】を獲得したのだ。


 当然、疑問に思う。


 (えっ? もしかして……)


 ある可能性が脳裏を過ぎった。


 もしかしたら、『状態異常抵抗力』がある程度高ければ、毒を中和できるのかもしれない。


 (うわぁ……そうだったら、スキルポイントを無駄遣いしたことになる。クソォ……)


 いや、まだそうと決まったわけじゃない。


 毒袋なのか毒腺なのかは分からないが、そこを避けて食べている可能性もある。


 まぁ、なんにせよ。


 横取りされた腹いせに、マッド・バイパーとスワンプ・ホークを絶滅させる勢いで狩り尽くし、憂さ晴らしをするつもりだが。


 ただ、スワンプ・ホークは遥か上空を旋回しているため、釣り出すにはマッド・バイパーの死体を量産しなければならない。


 (とりあえず、マッド・バイパーから得られるスキルのレベル上げを最優先にしつつ、釣られてきたスワンプ・ホークを狩る流れでいくか)


 一匹目と二匹目の死体を頬張るように貪ると、改めて周囲を見渡す。そして、ニョロニョロと動く赤橙色のもとへ駆け寄り、長剣で突き刺した。


 すぐに口へ放り込み、咀嚼しながら次の獲物を探す。


 ――10匹目。


 『【毒牙】Lv.4にUPしました』


 『【絞殺】Lv.4にUPしました』


 『【温度差可視化】Lv.4にUPしました』


 『【気配隠蔽】Lv.3にUPしました』


 『【魔力隠蔽】Lv.3にUPしました』


 連続してスキルレベルの上昇を知らせる声が響く。マッド・バイパー自体は弱く身体も小さいので、どんどん狩ることができる。


 ただ俺は、マッド・バイパーを倒すたびに上空を見上げ、スワンプ・ホークの動きを注視していた。


 ――50匹目。


 『【毒牙】Lv.5にUPしました』


 『【絞殺】Lv.5にUPしました』


 『【温度差可視化】Lv.5にUPしました』


 『【気配隠蔽】Lv.4にUPしました』


 『【魔力隠蔽】Lv.4にUPしました』


 これだけ大量に狩っていると、餌がなくなると思ったのか、スワンプ・ホークが強引に奪いにきた。


 マッド・バイパーの死体を拾い上げると、上空から急降下してきたスワンプ・ホークが急に方向転換し、鋭い眼光で一直線に迫ってくる。


 俺は手に持つ死体を目前に放り投げ、スワンプ・ホークがマッド・バイパーを掴んだ瞬間を狙い、長剣を鋭く振り下ろした。


 オークよりも格上だが、俺もあれから成長しているため、一撃で両断に成功。切断面から露わになった真っ赤な肉に齧り付き、喰らう。


 『【裂爪】Lv.4を獲得しました』


 『【握力強化】Lv.4を獲得しました』


 『【遠視】Lv.4を獲得しました』


 すると、遠くの湿地が鮮明に見えるようになり、遥か上空を旋回しているスワンプ・ホークの姿がはっきりと映った。


 羽毛の模様どころか、獲物を探して忙しなく動く瞳まで見える。


 (マッド・バイパーよりは食べ応えがあって美味いけど、やっぱり物足りないな……)


 【暴食】も「もっと美味いのを喰わせろ!」と主張してくるし、量を食べて誤魔化すしかない。


 『【裂爪】Lv.5にUPしました』


 『【握力強化】Lv.5にUPしました』


 『【遠視】Lv.5にUPしました』


 マッド・バイパーをおよそ70匹討伐。何度か横取りを仕掛けてきたスワンプ・ホークを倒し、スキルレベルを上げることができた。


 ただ、横取りに向かった仲間が次々と殺されるのを見て、上空を旋回する他の個体は慎重になったのか、それ以上襲ってくることはなかった。


 どうスワンプ・ホークを狩ろうかと思案していると、背筋がゾワゾワする感覚を覚えた。


 (……なんだこの感覚は?)


 そう思って周囲を見渡した直後、【気配察知】が背後に新たな気配を捉える。


 振り返ると、体長2〜3メートルほどの大蛇が鎌首をもたげ、俺を見下ろしていた。

 読了後、リアクション、ブックマークなど、是非よろしくお願いします。

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