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異世界行っても料理する ~料理して材料集めてまた料理~  作者: デビルぱんだ


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四十七話 城での食事

 広間のテーブルに並んだ料理を前に、王宮の空気は一変していた。目の前に並ぶのは、黄金色の山。 二色の唐揚げ、山盛りのフライドポテト、そして断面から真珠のような肉汁をたっぷり出す分厚いトンカツだ。


 エドワード王とリリアーヌ王女は、もう王族としての体面を維持することすら忘れていたようだ。まず王がフォークで塩の唐揚げを突き刺し豪快に口へ運ぶ。


「――っ!?なんだ、これは!衣は薄氷のように繊細でありながら、噛み締めた瞬間に肉の繊維が爆発する……!塩が肉の旨味を最も高い位置までもってくる。カケルよ、屋台の唐揚げとは違った味わい、これほどの昇華を生むとは!醤油のほうも好きだが塩もうまい!」


 王女のほうも塩唐揚げのほうを口へ運ぶ。


「……ッ!! あ、なんて清らかな、そして強欲な味っ!」


 彼女は咀嚼するたびに、その身に震わせました。


「まずはこの衣。当面、羽衣のように軽やかでありながら、歯を立てた瞬間に『ザクッ』という快い衝撃とともに砕け散りましたわ。そして中から出すのは、ココ鳥がその身に蓄えていた純粋で熱い黄金の雫……肉汁ですわね!塩というシンプルな味付けが余計な雑事をすべて省き落とし、肉本来の野生的な旨みだけを私の舌の上に突きつけてきます!」


 続いて、彼女は醤油唐揚げに手を伸ばした。


「そしてこちらの『醤油』……。ああ、その『塩』が清純な乙女なら、こちらは気高き騎士のような力強さですわ!」


 王女の頬は紅潮し、その瞳には恍惚とした涙が浮かんだ。


 唐揚げの合間にフライドポテトも口へ運ぶ。王女がその一本を口にし、前歯で小さく「カリッ」と音を立てた瞬間、彼女の肩が大きく跳ね上がりました。


「――っ! お父様、お聞きになって!?この頭蓋に響き渡るような心地よい断裂音を!外側はまるで薄焼きの硝子細工のように繊細に結晶化していますわ。ですがその薄氷を突き破った瞬間に現れて、この内側の……ああ、なんてこと!まるで雲を食べているみたいにふわふわと、そして滑らかに舌の上で解けていきますわ……!」


 王女は一本、また一本と、止まらない手つきでポテトを口へ運ぶ。


「芋という素朴な土の恵みが、油と熱、そしてカケル様の『揚げ』という魔法によって、これほどまで精錬された高貴な嗜好品に生まれ変わるなんて。岩塩の粒が舌の上で弾けるたびに、芋の奥深い瞳が引き見え、鼻から抜ける大地の香りに酔いしれてしまいます。ああ……このカリカリとした魔法の棒を食べるのをやめる方法を、教えてください!食べれば食べるほど、もっと、もっと欲しくなりますの!」


 王女の瞳は潤み、その指先はもはや王女としての優雅な動きを忘れ無我夢中で黄金の山を攻略し続けた。


 そして最後となったトンカツ。

 王はフォークでトンカツを刺してじっくり観察する。


「……なんという柔らかさだ。これほど分厚いボアの肉に、フォークが抵抗なく吸い込まれていく。そして中心部は薄っすらと赤みを残した真珠の色……。これこそが、カケルが言っていた『余熱』の魔法か」


 その一切れを口に運んだ瞬間、その威厳に満ちた顔がびっくりで歪んだ。


「――っ!? 噛み締めた瞬間、せき止めだったダムが決壊したように、熱い濃厚な肉汁が喉奥まで押し寄せてくる!パン粉という名の『鎧』が肉の旨味を一滴も逃さず閉じ込めていたのだな。このサクサクとした衣が肉の柔らかさを強調し、噛むほどにボアの野生的なエネルギーが全身を駆け巡る……!料理とはこれほどまでに力強く、そして緻密なものだったのか!」


 リリアーヌ王女はもう言葉を紡ぐことすら難しいほど、その一口に心酔していた。王女は目を閉じ、肉の繊維が溶ける感覚を全身で感じている。


「……ああ、神様。私は今、ボアという名前の『命』と、一つに溶け込んでいますわ……。このパン粉の鎧を突き破った瞬間にくる脂身の甘さと肉の旨味が、まるでお菓子のように上品でとても力が強い……。カケル様、あなたは罪深いお方です。こんなことを知ってしまったら私はもう、他の肉料理を『肉』と認識できなくなってしまいます!」


 彼女は肉汁で濡れた唇を震わせながら、熱い吐息を漏らした。


「衣が弾ける軽快なリズムと、肉が身につけてくるような柔らかさの二重奏デュエット……。そして、鼻を抜けるこの芳醇な香ばしさ。これはもう食事という枠を超えた魂の洗礼ですわ!この一切の中に、狩人の誇りと料理人の情熱、そして大自然の慈悲がすべて入っています……。幸せすぎて、意識が遠のいてしまいそうですわ……!」


 その後二人は、もう会話を交わすこともなくただひたすらに、そして敬虔に皿の上の「黄金の塊」を口へと進み続けた。広間に聞こえるのは衣が砕ける心地よい音と、二人が漏れる満足げな溜息だけ。

 俺が作った「トンカツ」という異世界の料理は、この国の最高権力者たちの理性を貫くまでに激潰し、その胃袋を完全に征服してしまったのだ。


 皿の上が空になった頃。エドワード王は満足感に満たされた溜息を楽しみながら、真剣な眼差しで俺を見た。


「カケル。すべてにおいてうまかったぞ。堪能させてもらった。そしてそなたの腕、もう屋台という狭い器に留まるものではないと思うのだ。どうだ、この王宮の『筆頭料理長』として仕える気はないか?爵位も、望むだけの予算も、最高級の厨房もすべて与えよう」


 平民がいきなり筆頭料理長、それは文字通り大出世だ。だが、俺は迷わず静かに頭を下げた。


「……身に余る光栄ですが、辞退させていただきます」

「……理由を教えてくれないか?」

「私は、自分の料理を誰もが気軽に楽しめるというのが好きなんです。そしていつかは自分の城――自分の店をこの街に持ちたいと思っています。王族の皆様だけでなく、街の子供も、仕事帰りの労働者も、誰もが笑顔になれる場所を、自分の手で作っていきたいのです」

「ははは!欲のない男だ。だが、その堅固さこそがこの味を生むのだな。……分かった、その夢、応援しよう」


 話が一段落ついたかと思ったその時だった。エドワード王の表情からその時までの美食の悦びが消え、一国の主としての、あるいは一人の夫としての切実な陰差があった。


「カケルよ。筆頭料理長の件は諦めよう。だが……個人的にもう一つだけ頼まれてはくれぬか」

「頼み、ですか?私にできることなら」


 王は重篤な意見を言い、側に控えていたアルフレッドと議論をした。

 


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