74 魔女の裁き(後編)
一方ではナインの狙撃がなく少し焦っている凛太郎は、何とか話を伸ばそうと無駄話を続けていた。
「あなた、何が言いたいの?」
今まで悠斗や他の仲間の一番後ろに隠れていて何もしていない凛太郎は諦めて一歩前に出た。
「まあいい、お前ら二人ぐらい俺一人で十分だ」
「情けないわね」
「澪さん、ここは俺がいきます」
陽翔は一歩前に出ると凛太郎は安心したように笑う。
さすがに3人がかりで来られたらヤバいと思っていたのだろう。
しかし1対1なら勝てると思って、また余裕を見せはじめた。
「ハハハ、お前一人で俺に勝てるとでも?さっさとかかってこい」
ここで一人倒せば残りは二人、しかも一人は女だ。
俺はついてる。
こいつを瞬殺してやるぜ!
ゆっくりと陽翔は近づくと、隠しもせずに両手を硬質化されて陽翔に殴りかかる。
「おい澪、大丈夫なのか?」
「問題ないわよ」
「でも、こっちは3人いて優位にあるんだから」
「人数が多いからといって優位とは限らないわよ。逆に個々の力が削がれる場合もあるのよ。見ていなさい」
海斗は黙って見守る。
凛太郎は陽翔に殴りかかるも一切当たらない。
そしてスピードが落ちてきた所にカウンターのパンチを一発だけ入れた。
「て、てめえ!」
また凛太郎は陽翔に向かい殴りかかるも当たらない。
それどころか殴られる回数も増え、終いには空振りしたあと倒れる始末だ。
「終わりだな」
陽翔は倒れている凛太郎を取り押さえようとした時、鞭が飛んできた。
鞭を躱すとすぐに距離を取り構えるとゆっくりと物陰からセブンが現れた。
「ニャハハハハ、またあったね」
澪と陽翔は少し後退りをした。
「今日は助けてくれる人はいないみたいねぇ」
セブンの鞭が陽翔を襲う。
「へぇー、上手く躱すようになったじゃん」
何とか躱す事は出来るようになったかが、少しでも集中力が切れるといつ鞭を喰らってもおかしくない状況だった。
その様子を見ていた澪は海斗に逃げるよう合図を出すが海斗は逃げようとしない。
刑事としてのプライドか、それとも男としてのプライドか、どっちにしても海斗はゼブンの強さも分かってはいない。
しかもこの中で自分が一番弱いとも思ってはいない。
手も足も出ず逃げ回る陽翔を見てチャンスと思った凛太郎はやられた借りを返す為、陽翔に襲いかかる。
「ハーッハハァ!てめえらもこれで終いだぁ!」
凛太郎の首が飛んだ!
「邪魔なんだよ!こんなザコ組織にはいらねぇ~よ」
セブンの鞭が凛太郎の首を飛ばすと、陽翔はすぐにゼブンの射程距離から逃れた。
「君たちなかなか成長したねぇ~。まさかこの短期間でここまで強くなるとは思わなかったよ。まぁザコにはかわんねぇ~が」
「今です。澪さん、海斗さん
、逃げて下さい!ここは何とか足止めします」
「しかし陽翔くん」
ゆっくりと歩を進めるセブン。
「ダーメダメ、逃がさないよ~」
更にスピードが上がった鞭が陽翔を襲う。
少しずつ躱しきれずに傷ついていく陽翔、遂に右足に喰らってしまった。
「はーい、一人終わりましたぁーーー」
陽翔の首に鞭が当たる瞬間、首ではなく氷が砕けた。
「待たせたわね」
「真希さん!」
今度は真希がセブンと対峙した。
その間に澪は陽翔を助ける。
「おい澪、あれってアイドルの氷川真希…だよな」
「いいから黙って陽翔くんを助けなさい!」
澪と海斗で陽翔に肩を貸し立たせる。
「あんた誰よ」
「そんな事は関係ないわ。あなたもお友達と一緒に氷漬けにしてあげるわ」
「お友達?あぁナインね。殺られちゃったんだぁ~。アイツ弱いししょうがないっかぁ~」
気温がどんどん下がっていく。
室内なのに雪が降る。
周りは凍りつき逃げ場がなくなる。
そしてセブンの鞭が真希を襲うと真希は余裕で躱し、間合いをゆっくりと詰めていく。
鞭のスピードはどんどんと早くなるが真希の足は止まらない。
そして真希の蹴りがセブンを襲う。
セブンは躱すのではなく左腕で防御と同時に鞭でカウンターを取ると、真希は鞭を左腕で防いだ。
防御したセブンの腕が凍り出すと鞭は凍り砕け散った。
即時、距離を取るが真希は間合いを詰める。
真希の攻撃を躱すが、徐々に躱すのが困難になってきた。
「もう終わりかしら?」
「くっ!どうやら場所と相性が悪いみたい。今回は引かせてもらうわ」
「逃がすと思う?」
すると建物が崩れて澪達を襲った。
真希はすぐに氷の壁を作ると、その隙にセブンは壁を柔らかくして脱出する。
「愉しかったわよ。次はゆっくりと殺りましょ」
そう言い残すと気配を消していなくなった。
「すいません真希さん。私達のせいで相手を逃してしまって」
「別にいいわ。悠斗の仇は打てたしね。さぁ帰りましょ」
真希は澪達3人を連れて池袋の事務所に戻る事にした。
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