65 隣の中華飯店
あれから小さい事件はあるが裏の仕事は無い。
もとから池袋を中心に活動している蓮達は一番仕事が来ない。
いつも通り探偵事務所の仕事といえば不倫調査やスニーカー被害の依頼ばかりで、澪と陽翔が忙しそうにしている。
たまに美姫が手伝っているが、蓮はいつも通り秋葉原に行って仕事をサボっている。
夕方になり事務所に戻ると、隣には遂にお店が完成したらしく表でビラを配っているチャイナ服を着た女の子がいた。
蓮は女の子からビラを貰ってから探偵事務所に戻った。
「ただいまぁ~~~」
「お帰りなさい、蓮さん」
「やっと戻りましたか。澪さんと陽翔さんが来てからサボり過ぎですよ!」
「まあまあ、これ見てよ」
それはさっき貰った隣の中華飯店のチラシだった。
「明日オープンだって!食べに行って見ようよ」
「そういえば蓮さん、隣の土地は蓮さんが買おうと思ったら先を越されたんですよね」
「まあそうだね」
「誰が買ったんでしょう。場所はそこまで良く無いですよねぇ」
「サンシャイン通りから少し離れているからね。余程美味しくないとこっちまで来ないかもしれないね」
そんな話をしていたら入口から女性の人が入ってきた。
その女性を見た陽翔は、すぐに構えをとった。
その女性はワン・ジュンシーの姉、ワン・ホンファだった。
「今度隣で中華飯店を出したオーナーのワン・ホンファです。よろしくね、蓮」
「やあ、君のお店だったのかぁ。明日早速食べに行こうと話していた所だよ」
するとホンファは近づき、みんなの前で胸を蓮に押し当てながら話した。
「将来はあなたのお店になるのよ、旦那様。明日は個室を用意して待ってるわ。来たらスタッフに声をかけてね、チュッ」
ホンファは蓮の頬にキスをして手を降りながら帰っていった。
「あ、あ、あ、陽翔く~~~~~ん!何ですかぁ~~~、あのエロい体の中国人はぁ~~~!」
「ちょっと前に色々ありましてぇ」
「いろいろぉ~~~?あ、あんな美人、彩水さんクラスですよ!勝てないですよ!もう!どうすんですか!私はもう!!」
その怒りまくっている澪を陽翔は宥めようとするが止まらない。
陽翔は美姫に助けを求めようとしたが、美姫もまた怒っている雰囲気だ。
「れ、蓮さん、俺、飲み物でも買いに行きましょうか」
「喉渇いてないから別にいいよ」
さすが空気の読めない男!
数分後には隣の中華飯店の店長が菓子折りを持って挨拶に来て帰っていった。
これもまた美人でスタイルのいい女性だった。
「美人さんだったねぇ、陽翔」
「れ、蓮さん、シーーーッ!」
美姫は席を外し、澪は仕事に戻る。
2人とも険しい顔になっている。
蓮も陽翔に言われ、ようやく理解した。
「澪ちゃん」
「なんですか!蓮さん!!」
「この後ヒマ?」
「どうせ私は独り身の暇人ですよ!」
「服買いに行きたいんだけど、一緒に付き合って欲しいな」
「なんで私が…」
「澪ちゃんに選んで欲しいんだよねぇ」
「そ、そんなこと言われても…」
「あっ、そうだ!澪ちゃんの服も買っちゃおう。澪ちゃん可愛いから服選ぶの楽しみだよ」
「わ、私、良いですよ。もうしょうがないなぁ蓮さんは」
ニヤニヤしながら澪は蓮に近づき、腕を組んで約束をした。
隣では陽翔が親指を立てている陽翔がいる。
「陽翔」
「はい」
「悪いけど今日は夕食はいらないから陽葵ちゃんに言っておいてくれる」
「分かりました」
「後、これね」
蓮は陽翔に帯つき100万円をポーンと渡した。
「な、何ですか?」
「特別ボーナス。これで今日は兄妹水入らずで食事でもしてきてね」
「いいんですか!」
「いいよ。陽翔も陽葵ちゃんも頑張っているし、たまにはゆっくりしてよ」
「ありがとうございます」
「余ったら2人とも欲しい物を買うといいよ。お釣りは要らないよ」
陽翔は深々と頭を下げた。
翌日、みんなで隣の中華飯店にランチに行った。
外に出てみるとビックリ!
行列で事務所の前に50人位いた。
「えっ?何時間待ちですかねぇ」
「俺、聞いてきます」
陽翔が人員整理をしている受付の娘に声をかけると受付の予約で名前を聞かれてた。
予約受付を終えて時間を聞こうとしたらすんなりと中に案内された。
「皆さん、中に入れるみたいです」
みんなが顔を見合わせて中に入ると、個室へと案内された。
「私、蓮さんとなりぃ~」
円卓の席で、蓮の左隣には澪が座り、右隣には美姫、そして陽翔と陽葵の順で座った。
するとホンファが来た。
「待っていたわ、蓮。それとファントムの皆さん」
澪、陽翔、陽葵は何の事かわからない。
裏の仕事は少し知っているが、グレイファントムというチームも蓮の裏の名がグレイという事も知らない。
「ホンファさん、余計な事は言わないでいただけますか」
「それは失礼。今日は私が奢らせて頂きますね」
するとどんどん料理が運ばれて来た。
「何か他に食べたい物や飲み物がありましたら、こちらの呼び鈴を鳴らしてお呼び下さいね」
そしてホンファは蓮の耳元で、
「今度ゆっくり二人きりで会いましょう」
そんな言葉をかけた後、部屋を出ていった。
「すいません皆さん。思っていた以上に忙しく、ゆっくりとお相手出来ずに。それでは失礼しますね」
ホンファが出た後も次々と料理がテーブルに並んで、気がつくと置ききれない位になった。
「さあ、皆さん食べましょう」
誰一人何も喋らないで畏まっているので、美姫がみんなに声をかけた。
「そうだね。早く食べないと料理が冷めちゃうよ。いただきま~す。うん旨い!ほら澪ちゃんも」
澪がいつまでも両手を膝の上に置いているので、蓮が食べさせてあげた。
恥ずかそうに蓮の箸から料理を食べる。
顔を赤くしながら笑顔をようやく出した。
「美味し~~~い」
ようやく火が着いたのかどんどん料理を食べていく。
「私だってねぇ~、あと数年すればボン、キュッ、ボーンになりますよ!」
澪はぶつぶつ言いながら食べていく。
「ほら、陽翔くんも陽葵ちゃんも早く食べないと澪に全部食べられますよ」
「陽葵ちゃん、エビチリ美味しいよ。陽翔も食べなよ」
「はい、頂きます」
「頂きます。ホント、エビチリ美味しい」
「でしょ!美姫ちゃんも…はい、あーん」
「ちょっと恥ずかしいです。止めて下さい」
「あーん」
諦めた美姫は顔を赤くしながら蓮の箸からエビチリを一口食べた。
「あは、美姫さんのそんな顔初めて見ました」
「俺もです」
「美姫さんでもそんな顔するんですね」
「もう!みんな怒るわよ」
なんだかんだでみんな楽しく昼食を満喫した。
結構、女性陣にとっては恋のライバルが増え、そして今後ホンファは蓮達と共闘する事にもなる。
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