60 裏切りのナンバーズ(前編)
澪がこっそりと監視していると現場では怪しい男がうろついていた。
しかし現場にいる人は皆気づいていない。
そして何やら葵と少年が話している奇妙な光景を見ていた。
「おかしい!絶対おかしい!!」
「どうしたんですか?」
「いや、あの、見てみてよ陽翔くん」
陽翔は澪に言われたまま見てみた。
「あれ?おかしくないですか?何であの人だけ?」
「でしょう!」
するとその男は少年に向かって銃弾を放った。
それを見た陽翔は澪に話して確認してもらった。
「陽翔くん、行きましょう!」
澪と陽翔はビルの屋上から降りて現場に向かおうとすると、一人の女性にその行動を見られていた。
「すいません。道をお聞きしたいのですが…」
一人の女性が近づいてきて、澪に道を訊ねてきた。
澪と陽翔は急いで現場に行かないといけないのに、なんてタイミングが悪いのかと思っていると、その女性は道に迷っているわりにはニヤニヤとしていた。
「ごめんなさい。今急いでいて…他の人に聞いて下さい」
「私も急いでいるんですよぉ」
陽翔は考えていた。
この女性、見た事がある!
思い出せ!
思い出せ!
このタイミングはおかしい!
思い出せ!
そして陽翔は澪の前に立った。
「おい!お前はあの時の女だな」
「あの時~?誰かと間違っていませんかぁ?」
「いや間違ってない!あの島で蓮さん達を案内していた女だ」
「ん?」
よくよく見ると1回戦で負け、グレイに買われた兄妹と気気付いた。
「思い出した思い出した、あの時の兄妹ね。どうも弱い相手には興味が無くてねぇ~」
「澪さん、下がって下さい。危険です」
すると女は蹴りをいれてきた。
辛うじて防御をした陽翔はその瞬間危険を感じた。
「澪さん、逃げて下さい。この女はヤバいです」
「先輩の私が陽翔を置いて逃げれる筈無いでしょ!」
澪は陽翔の隣に立ち、女に向かい構えをとった。
澪も元捜査官、それなりには戦える。
柔の澪に剛の陽翔、なかなか面白いコンビになった。
「2人がかりなら私に勝てると思っちゃっているわけぇ~。まぁいいわ、少しは楽しませてちょうだいね」
女は鞭を出した。
軽く鞭を振っただけでアスファルトの地面が削れた。
それを見た澪は念の為に用意していた警棒を腰から取り出した。
「陽翔くん、私が鞭を防ぐからそのスキを狙って!」
「任せて下さい」
女の鞭は2人を襲う。
澪は警棒で鞭を捌いていると、思った以上にスキが多い。
陽翔はわざとなのか?誘っているのか?と、いろいろ考えていると鞭のスピードが少し上がってきた。
考えている暇は無い!
陽翔はスキだらけの女に蹴りを入れた。
入る!
そう、蹴りが入ったと思ったら空を蹴る。
当たらない。
そして蹴りを連打すると鞭の動きが止まり、今度は澪も攻撃に参加する。
しかし2人がかりでも当たらない。
「つまんないつまんない」
女が楽しんでいる間に澪はしっかりと解析していた。
彼女は能力は相手の能力を見抜く事が出来る。
しかし相手が力を見せない限りは本質までは難しく、LEVEL3では現在の自分と相手の力量の差ぐらいしか解らない。
その間、油断している今を狙い、陽翔は能力を使った。
能力のレベルは低いが上手く相手の目を錯覚させる事が出来る陽翔の攻撃が当たった。
「くっ!」
「俺をあまりバカにすんじゃねぇ!」
しかし当たったのはその蹴り一発のみ、そして女の顔つきと言葉使いが変わった。
「てめぇ!ザコが調子に乗ってんじゃねぇ!」
澪は焦った。
彼女とのレベルの違いに!
その強さは澪と陽翔2人がかりでも刃物を持った大人が園児を相手にしている様なものだった。
鞭のスピードと動きが桁違いに変わる。
「陽翔くん!逃げて」
「えっ?」
「逃がすかよ!」
回りの塀が壊される。
辺り一面瓦礫だらけになる。
「ハッハー、楽しいなぁおい!」
澪を庇いながら少しずつ傷ついていく陽翔を笑いながらいたぶっている。
だんだんと陽翔の意識が無くなり反撃する事も出来なくなった。
「おいおい、もう終わりかよ。つまんねぇ、つまんねぇなぁおい!」
「陽翔くん!」
「み、澪さんだけでも逃げて下さい」
「逃がすかよ!バーーーカ」
遂に澪の足に鞭が当たり動けなくなった。
「そろそろ終わりにすっかぁ~」
陽翔の首めがけて鞭が狙う。
一貫の終わりと思ったその時!
一人の男が女の前に立ち塞がった。
ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。
これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。




