51 初仕事
蓮と陽葵がデートをしている間、探偵事務所では、いつも通り浮気調査やストーカー等の依頼しかなかった。
美姫は仕事を教える為、澪と陽翔に浮気調査に行くように指示を出した。
もちろん澪も現場に出るのは初めてだが、前職の経験を活かし尾行は得意だった。
美姫は2人に恋人のふりをするように勧めた。
澪と陽翔は依頼人から預かった奥さんの写真と今日の予定を聞き、既にいると思われるスポーツジムで張り込みをした。
「澪さん」
「何ですか?」
「俺、こういう事はしたことないのでコツを教えてもらえますか」
「私も初仕事よ。つい最近転職して入ったばかりなの。陽翔くんが来るまでは、電話対応しかしてなかったしね」
「それにしては慣れているというか…」
「まぁ前職が刑事だからね」
「そうなんですか!」
「まぁね」
「何で辞めてこの探偵事務所に入ったんですか?」
「シーーーーーッ」
すると依頼人の奥さん、ターゲットがスポーツジムから出てきた。
ターゲットはそのまま歩いて帰宅する。
陽翔が尾行をしようとすると澪は止めた。
「はい、ストーーーップ」
「えっ!追わないんですか?」
「本来尾行はしっかりとした相手の予定を入手して多数でするものなの。だけど依頼人からもらった予定と私達2人だけだと尾行するには足りなく、やり過ぎると気付かれる可能性が高くなる。ここは予想して行動します」
「もし予想が外れたら?」
「そしたら次回仕切り直し、バレるよりかはマシよ」
「もうターゲットが見えなくなりますよ」
するとターゲットは自宅のある右に曲がった。
「予想通り家に帰ったわ」
「予想通り?」
「もし浮気しているならスポーツジムで逸書になるか、それとも一度帰宅して着替えて待ち合わせをすると思うの」
「その予想が正しければ、ジムで知り合った人ではないと?」
「う~ん、そこまでは言い切れないけど、可能性は低いと思うわ。ここで一旦二手に分かれましょ」
「えっ!俺はどうすれば」
「陽翔くんは自宅の近くで張り込みをしてくれる。私はバイクでいつまでも対応出来る様に準備するわ」
「分かりました」
「ターゲットが出て来たら連絡して!」
「はい」
見事に澪の予想は当たった。
1時間後、ターゲットは家を出て、駅の方に向かうと陽翔は澪に伝えた。
澪はバイクで陽翔の所に行くと、後ろに乗せて駅まで先回りする。
駅に着くと早速澪は陽翔と恋人のふりをするが、陽翔は少しぎこちなく不安だったが、ターゲットは周りを気にすることなく駅に入る。
2人は一両隣の電車に乗り、尾行を続けると、降りた駅で男に手を振りながらターゲットは走った。
澪は走ろうとした陽翔を腕を組みながら押さえて、小型カメラで写真を撮り、そのまま改札の側で話しているターゲットを追い抜く。
やがてターゲットはどこも寄ることなく、いきなりラブホテルに向かい中に入っていった。
もちろん証拠写真も撮り、その後も2人が別れるまで尾行は続行した。
2人にとってとてもラッキーな初仕事になった。
まさか、たったの1日で証拠が押さえられる事はなく、証拠を掴むには何日もかかるし、1ヶ月以上かかる時もある。もしくは白の可能性もあるから決して1日で終わるような事はない。
しかし1日で終わってしまった。
早速事務所に戻り、美姫に報告すると、美姫は依頼人に連絡を入れた。
「2人ともお疲れ様、まさか1日で終わるとは思わなかったわ。これから依頼人が来るから、あなた達が依頼人に説明しなさい」
「「はい」」
やがて依頼人がきて、プリントした写真と今日1日のターゲットの行動を説明した。
依頼人に半分怒り、半分悲しみの感情を隠そうとしながら御礼状を言い、事務所を後にした。
もちろん依頼料の請求書も発行して渡して、後日支払いとなる。
「どう?2人とも、こんなに早く解決する事はないけど、今後は2人で依頼を遂行してもらいますのでお願いしますね」
「「はい、分かりました」」
「陽翔くん、澪に色々と聞くといいわ。2人でコミュニケーションをとり、上手く連携が取れるようになりなさい」
「はい!澪さん、美姫さん、これからも宜しくお願い致します」
こうして2人の初仕事は無事に成功した。
◆ ◆ ◆
名前 山下 陽翔 (やましたあきと)
能力 光
NA Level2
灰村探偵事務所で働いている。
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