50 初デート
朝、蓮が目を覚ますと焼いたパンとコーヒーの匂いがする。
ベッドから起きてリビングに行くと、陽葵は朝食の用意していた。
「おはようございます。蓮様、今朝食をお持ちします」
「あ、ありがとう」
蓮はメイド喫茶での軽い感じを想像していたが、少し堅苦しく戸惑っていた。
もちろん陽葵も言葉使いや態度はこれでいいのかと、自分なりに一生懸命やっている。
するとよく見る喫茶店のモーニングの様な朝食が蓮の前に並んだ。
「コーヒーは食後でよろしいでしょうか」
「あ、うん、それで良いよ」
蓮が朝食を食べようとすると、陽葵は蓮の視界に入らない斜め後ろにずっと立っている。
「あれ?一緒に食べないの?」
「私は蓮様に買われた身ですから、一緒に食事なんて…」
すると蓮は立ち上がり、陽葵の手を引っ張り向かいの椅子に座らせた。
そしてそこで座って待つ様にと指示をすると、蓮はキッチンに立ち陽葵の朝食を用意して持ってきた。
「さぁ一緒に食べよう」
「えっ?でも」
「慣れない事を無理にやってもお互い疲れるだけでしょ。それに一人で食べるより二人で食べた方が美味しいしね」
「でも」
「はい!もう何も言わない!いただきます」
「い、いただきます」
蓮は朝食を食べ終わると、コーヒーを飲みながら陽葵が食べ終わるのを待った。
食事が終わると少し気が緩んだ陽葵は蓮の顔を見て急いで立ち上がった。
「す、すいません!」
「いいよ、とりあえず座ろうか」
「はい」
「陽葵ちゃん、様は付けなくていいよ」
「でも…」
「じゃあ普通にさん付けでどう?」
「それでよろしいのであれば…」
「あまり気を使い過ぎるとお互い疲れるからさぁ、少しリラックスしよっか!」
「はい、頑張ります」
なかなか上手くいかないので、蓮は陽葵をデートに誘った。
「陽葵ちゃん、今日は仕事をしなくていいから遊びに行こう!」
「えっ?」
「遊びに行くよ」
「でも…」
「陽葵ちゃんはカレシはいないの?」
「はい、今までカレシは出来た事が無いです」
「えぇ~、そんなに可愛いのにぃ~?」
陽葵は蓮の言葉に少し照れながら話す。
「家の事や兄がいたので…」
「お兄ちゃんは関係ないんじゃない?」
「周りの友達は兄が怖くて近寄れないみたいです」
「ひょっとして陽翔ってシスコン?」
「周りから見たらそうみたいです」
陽葵は恥ずかしそうに話すが、少し笑顔も出てきた。
「じゃあ、今日はお兄ちゃんの邪魔も無いし、楽しんじゃおうよ」
「は、はい!」
「今から着替えて出かけようか」
「はい」
二人で着替えて外に出ると陽葵に初デートと思って腕を組んで出かけようと話した。
陽葵は恥ずかしそうに笑顔で返事をして腕を組み、そして二人で出かけた。
蓮は遊園地に連れていくと、乗り物を乗るわけでもなく二人で散歩をする。
散歩をしながら陽葵と話すと大分打ち解けてきた。
少し陽葵が疲れてきたみたいなので昼食にする。
「どう陽葵ちゃん、何か乗り物でも乗ってみる?」
「いいんですか!」
「もちろんだよ!これはデート、二人で彼女のワガママを聞いてあげるのもデートの1つだよ」
「じゃあ、あれ!」
陽葵が指差したのは絶叫系だった。
気がつくと色々な絶叫系を連発して乗っていた。
徐々に辺りは暗くなり、蓮は予約を入れていたホテルのレストランへと陽葵を連れていく。
途中で買い物をして着替える。
そして最上階にあるレストランに着くと、窓際の席へと案内された。
「楽しかった?」
「はい!まるで夢の時間を過ごしたみたいです」
蓮は笑顔で頷き、そして乾杯をした。
夜景を楽しみながら、次々と来る豪華な食事、陽葵は夢を見ている要な気分だった。
あっという間に12時を回り、自宅へと帰った。
まさにシンデレラになった気分で、陽葵はこのまま朝が来なければいいのにと思い、ゆっくりとベッドの中で眠りについた。
◆ ◆ ◆
名前 山下 陽葵 (やましたひまり)
灰村蓮のメイドをしている。
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