48 王家の誇り
ホンファとセブンが対峙しているとジュンシーが割り込んでくる。
「おい!俺にこんな事してただで済むと思うなよ」
ジュンシーは構えるとそのままセブンに向けて強化された指が襲いかかる。
しかしジュンシーの攻撃が当たる気配がない。
「あんたと戦っても面白く無いんだけど、殺したっていいのかな?」
セブンは全く相手にせずにホンファに話かける。
「死んだらそれまでの男、別に構わないわよ」
ニヤッと笑った後にジュンシーに話しかける。
「だってぇ~、いいのかなボクぅ~」
セブンはジュンシーに向かって鞭を放った。
「ば、バカにするな!さっさとかかってこい!」
「ちっぽけなプライドね」
セブンの鞭がジュンシーを襲う。
最初は簡単に避けていたがどんどんと早くなり、やがて無数の鞭が生き物の様にランダムに襲いかかる。
徐々にジュンシーの肉が裂け、血が吹き出すが、さすがに叫び一つあげない。
しかしジュンシーも自分が勝てないと悟ったのだろう、王家の者として逃げる訳にも助けてもらう訳にもいかない。
今いる場所は外、そして灯りも乏しい島の真夜中、暗殺一家としてはまさに水を得た魚、今日初めて自分の本来のスタイルに戻る。
「目が覚めたよ。あんたは強い、俺はあんたに勝つ事は出来ない。しかしそれは試合ならだ」
ジュンシーはゆっくりと歩を進めると姿が闇に融ける。
気配が消えた。
セブンもようやく真剣になった。
気が付くとセブンの服が切れる。
「なるほどね。飛び道具かな?さすが暗殺一家ね。地味だけど恐ろしいわ」
そしてセブンはまた笑った。
「本当に地味ね。じゃあ私は派手にいこうかしら」
鞭は周りの砂利を弾くと辺り一面に飛び散る。
これで接近は出来ないが飛び道具には関係無いと思った。
その時、キーンと金属がぶつかり合う音が聞こえた。
砂利に対して金属が当たってもこんな音は鳴らない筈と思い、ジュンシーは安全な距離を保ちながら再びセブンに向かい小さな金属を飛ばした。
しかし届かない!金属はまたキーンという音と共に弾かれた。
そしてその音でセブンはジュンシーの大体の位置を把握した。
今度はジュンシーのいると思われる辺りを集中して鞭を使い、砂利を飛ばしていくと、砂利の嵐がジュンシーを襲う。
ようやくジュンシーの姿を捉えた。
「くっ!どうやら勝てる要素は無くなったようだ」
血塗れの状態で現れた。
「それじゃあこれで終わりね。バイバーイ」
セブンの鞭がジュンシーの首を刈り取ろうとした瞬間、セブンの鞭が吹き飛ぶ。
「そこまでだ、セブン」
見えない暗闇の中、一人の男の影が見える。
「ちょっとテン、邪魔しないでよぉ」
「セブン、お前に任せると敵が増えて困るんだよ」
「ふん!」
今度はテンがホンファに話しかける。
「我々はあなたを仲間に招待するが、もちろん強制はしない。もし気が向いたら訪ねてくれ」
「…分かったわ。まぁ仲間にはならないけどね。そうだ、折角だから蓮って男について教えてくれない?」
「ちょっとぉ~仲間でも無いあなたに教えると思うのぉ」
「いいだろう」
「教えんのかよ!」
「彼の名前は灰村蓮、東京都豊島区の池袋で灰村探偵事務所をしている。あと裏家業の名前はグレイだ」
「礼を言います」
ホンファはジュンシーを叩き起こして島を離れた。
「いいのテン?」
「なにがだ?」
「あれ間違いなく敵になるよ」
「敵にしようとしたのはお前だろ!奴等は利益にならない事はしないだろう」
「ふ~ん、まぁいいけどね。そういえばあんた!真田昴にボコされたよね!笑っちゃうわ」
歯を食い縛りながらもテンは淡々と応えた。
「彼は条件付きでナンバーフォーとなった」
「条件付きぃ~」
「彼の目的は灰村蓮と戦う事らしい。どうやら過去に戦い彼に敗北したみたいだ」
「へぇー、あんなに強いのにねぇ~。やっぱ挑んでおけばよかったかな?」
「俺は向かいあった事があったが、正直1対1で勝てる気はしないな」
「それで条件って?」
「ああ、灰村蓮と戦う以外は協力は一切しないし、命令は受けないって事だ」
「なにそれぇ~」
「まぁこっちとしてはあの男と戦える者が欲しかった訳だから問題はない」
「ふ~ん、まいっか!」
「どっちみち、他にナンバーズに入れそうな奴はいない。ただ空きにするぐらいならいいんじゃないか」
「それもそっかぁ~、私には関係ないし」
そして二人は一旦アジトに戻った。
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