38 1回戦、第7試合
闘技場では2人の選手が睨み合っている。
「これはこれは、東城家のお坊ちゃんが何故このような場所に?ケケッ」
「お前に話す必要は無い」
「そうですか。ケケッ」
「その気持ち悪い笑いを止めてやるよ。サラマンダーよ」
すると明の隣にライオンより一回り大きい蜥蜴の形をした炎が現れた。
その炎はまるで意思があるように動き、三輪剛に向かって炎を吐いた。
しかし、目の前に見えない壁が炎を遮ると三輪剛の【ケケッ】っという笑い声と同時に明は吹き飛んだ。
「くっ!見えない小さな壁を飛ばして俺に当てたか。厄介だな」
そして明は立ち上がりサラマンダーと挟み撃ちで攻撃しようとした。
「ケケッ」
またしても見えない壁が今度は肩に当たる。
三輪剛の正面から飛んで来るのは分かった明は、三輪剛を中心に回り出した。
その間も見えない攻撃を喰らいながらも何とか耐え、サラマンダーの炎で逃げ場のない炎の檻を作った。
だが、その時!
「参った。降参だ。ケケッ」
「な、何!」
三輪剛の判断は早い。
長く闘い、そして勝っても傷だらけでは次で負ける。
下手に傷ついたら治療費の無駄だ。
だから降参した。
「おい!こんな勝利は望んでいないんだよぉ!」
「若いな。ケケッ」
その言葉を残して三輪剛は闘技場を後にした。
★ ★ ★
「何だよ!今の試合」
「まぁまぁ、棗さん落ち着いて下さい」
「ある意味、利口な引き際ね。もし、このまま闘っても三輪は勝てなかったと思うわ」
「そうなんですか響子さん」
「棗の気持ちも分かるけど、負けると分かっていて闘う奴は馬鹿よ。どうしても逃げられない闘いもあるけど…今はその時じゃないわ」
「だからといってこんなにアッサリと諦めていいんですかね」
「悠斗、もし判断が遅くなった場合、自分だけでなく仲間もいた場合、それにより自分の仲間を危険に晒す事もあるのよ。それは取り返しのきかない失態になるわ」
「そ、そうですね。そう考えると三輪剛はリーダーとしての決断力があるって事ですかね?」
「そこの決断力だけはね。棗!あんたもそこは見習わないと駄目よ」
「分かったよぉ~。響子はホントあたしを子供扱いするよなぁ!」
「子供なのよ」
「ハハッ」
「ゆ、悠斗ぉぉぉぉぉぉ」
「ご、ごめんなさ~~~いっ」
棗は悠斗にヘッドロックして振り回すと響子が2人を止める。
そして次の試合について響子は蓮に訊ねた。
「次の試合でしょ」
「何が?」
「私達が賭けた選手は」
「ああ、彼ね。彼は強いよ~~~、本当に強い!」
そう、1回戦の最終試合は蓮が賭けた真田昴が登場する。
そして昴の相手は武田直人である。
武田直人、彼もまた有名人である。
この裏試合で桐生大和が王座に君臨する前は彼が王座に就いていた。
そして直人が裏試合に出なくなったと同時に大和が現れ王座に就いた。
彼の能力は空気と言われているが光と言う説と風と言う説もある。
何故なら彼は姿を消し、見えない攻撃をすることが出来るからである。
見えない攻撃は空気の塊を出しているが風の能力と言う人もいる。
姿を消すのは光の屈折と言う人もいるが、ただ言えるのは彼は能力の使い方が上手く、そして無敗という事実だけが真実という事だ。
ただ知らない人もいる為、3番人気にいる。
だから観客の中では今回の裏試合はこの人気トップ3が別格と言われている。
それに対して昴は全く人気がないほとんど最下位とほぼ変わらない人気である。
「蓮、何が強いんだい?能力?」
「彼の能力もそうだけど、体術がスゴいよ。たぶん能力はそう簡単には見せないと思うし、能力が無くてもその辺の能力者に勝てると思うよ」
「何だよ!あたしがそいつと闘いたいよ、蓮」
「蓮は闘った事があるんだね」
「そうなんですか!」
「まぁ、一度ね」
「で、彼に勝ったと」
「まあね」
「キャーーッ!さすが蓮」
棗は蓮に抱きつくと、蓮は棗にアドバイスする。
「棗は彼には勝てないと思うから、彼の闘い方が盗むといいよ」
「あたしじゃあ何で勝てないの、蓮」
「彼の柔は棗の剛でも捌かれるからだよ。だから捌く事が出来ない程の剛を磨くか、もしくは柔も取り入れるか、棗がこの先強くなるにはこの選択が立ちはだかる。その為にしっかりと見ておいた方がいい」
「分かったわ」
そして真剣な顔をして棗は闘技場に目を向けた。
「面白い試合になりそうね」
「何か僕も興奮してきました」
「そろそろ試合が始まるから見よっか」
4人は今まさに始まろうとしている試合に目を向けた。
ここまで読んで「面白かった」「続きを読みたい」と思われた方は、ブクマ・評価・ご感想という形で応援して頂けますと、とても嬉しいです!
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございます。
これからもご愛読してもらえる様、頑張っていきたいと思います。




