33 1回戦、第2試合
リング中央には五十嵐直也と山田拓海のにらみ合いが始まった。
「アイツ…」
「棗、どうした?」
「蓮、あの拓海ってガキ、前にシックスと一緒にいたフードのガキだ」
「あの風花ちゃんが倒したって子?」
「そうだよ蓮」
五十嵐直也は過去にレスリングでオリンピックに出て、金メダルを取った実績がある。
現在ではオリンピックそのものが無くなったが、まだ五十嵐直也を知っている人は多い。
山田拓海は16才の未成年でここにいる観客は誰も知らないので能力も知られていない。
五十嵐直也は8番人気、山田拓海は16番人気である。
そして第2試合が始まった。
★ ★ ★
「おいガキ!死にたくなければ降参しろ」
「オッサン、見た目で判断しないでほしいな」
「そうか」
その瞬間、直也の蹴りが拓海の脇腹に直撃した。
吹っ飛ばされた拓海は何とか立ち上がってきた。
風花と戦った時もそうだった。
拓海は自分のレベルの高さに過信して相手を見下してきて、同等もしくは格上と戦ってきた事がないので、常に相手を小バカにしてきた。
「(グフ)、チッ!油断した」
立ち上がった拓海は全身に風を纏った。
「どうですか、これで手も足も出ないでしょ」
「・・・?」
「僕に打撃もしくは触れようとすれば、あなたの肉体はミンチになりますよ」
余裕の笑みを浮かべる拓海に対して直也はゆっくりと近づく。
すると直也は拓海を羽交い締めにした。
触れた部分は皮が裂け流血するが、無表情のまま拓海を投げる。
そして拓海は受け身の取れない状態で頭から落とされた。
拓海は叫ぶが頭から落ちた瞬間に首の骨は折れた。
すぐにレフェリーが駆け寄るがどうやら即死だったみたいだ。
「勝者、五十嵐直也!」
人が死んだというのに歓声が湧く。
★ ★ ★
「悠斗、あなた平気?」
「はい………」
「いい、これが裏試合よ。死んでも誰が悪い訳でもなく、試合に出た、もしくは弱い自分が悪いのよ。あなたもこの世界で生きようとするなら慣れなさい」
「はい」
「もういいじゃん響子」
「そうよ、あまり言うと悠斗泣いちゃうよ」
「泣きません!棗さん、僕も20才になりましたし、ブラッドプリズンのリーダーなんですよ」
「そうだよ二人とも」
すると遺体はすぐに片付けられ、次の試合の準備に入った。
次の試合は注目が高い。
なぜなら前回のトーナメント優勝者、桐生大和が出るからである。
大和は1番人気、そして能力はありふれた身体強化系だか、LEVEL5で全体的に肉体の硬質化である。
鉄とまではいかないが眼球のような柔らかい所から髪の毛まで硬質化させて全てが武器と化す。
そして対戦相手は大会初出場の王俊熙である。
彼は暗殺一家の王家の次期当主で、セコンドには姉の紅花が見守っている。
王一族の名は裏では有名でその名だけで能力関係なく5番人気まで上げた。
★ ★ ★
「姉さん、この大会に優勝すれば俺は晴れて王家の当主でいいんだな」
「そうよ。ただあなたが勝てるとは思わないわ」
「ハッ、こんな素人どもの大会に俺が負けるとでも?」
「暗殺しかしていないあなたにはいい試練ね。父上もよく考えたわ。まぁ死なないように」
「誰に言っているんだい。父上の目も曇ったもんだよ」
「そうそうジュンシー、父上が跡取りはまだいる。お前が死んでも気にしないって言っていたわよ」
「クソが!バカにしやがって!!まあ姉貴は寛いで見ててくれ」
「はいはい、死なないでよ。運ぶの面倒くさいから」
「ふん!」
そしてジュンシーは闘技場の中央に向かった。
大歓声が上がった。
大和はゆっくりと歩き、闘技場中央に向かう。
その姿はまるでキラーマシン、どこを見ても隙一つない。
おそらく観客の三割以上が彼に賭けているだろう。
そしてついに二人は向かい合った。
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