32 悠斗の質問
自室に戻った蓮達は次の試合まで酒を飲みながら寛ぐと響子が口を開く。
「蓮、あんた少し優しすぎない」
するといつも通りの空気になり、棗は蓮に抱きつく。
「やっぱ蓮はカッコいいわ。他の男とは比べ物にならない!もう大好き!!」
あれからずっと無言だった悠斗が蓮に質問した。
「蓮さん、何であんな言い方をしたんですか?」
すると響子が代わりに答えた。
「悠斗、彼等がこの世界に足を踏み入れたのは何故と思う?」
「親の借金の返済でしょうか」
「だろうね。普通の人が8億なんて大金を簡単に返せると思う」
「…無理と思います」
「彼等は博打をしたんだよ。一攫千金を狙った。そして結果があれだ。あんなのは自業自得、ギャンブルして借金増えました、助けて下さいが通用すると思う?」
「・・・」
「それを蓮が助けた。しかも金銭だけでなく、人としてもだよ」
「人としても?」
「ただ助けただけなら、この先もきっと甘えた考えで生き、ただ人として腐って逝くだろう。だが蓮は枷を付けることで生きるってことを教えた。人間としてやり直すチャンスを与えたんだよ」
悠斗は浅はかな考えをようやく恥じた。
「すいません!蓮さん、何も知らず言いたい事ばかり言って」
「まあ気にしなくていいよ。悠斗が何も言わなければ助けなかったよ。自業自得、見捨てる存在だよ。俺は悠斗の為にあの兄妹を助けたんだ」
「蓮さん・・・」
「まっ、探偵事務所にバイトも欲しかったしね」
蓮は笑いながら答えると悠斗は少し涙ぐみ笑顔を出す。
「さっ次の試合でも見るか」
「はい!」
まだ第2試合まで少し時間があり、悠斗は蓮に質問した。
「ところで蓮さん」
「何だ?」
「さっきの試合で選手が何の能力使っていたか分かりますか?」
「たぶんマイケルは身体強化だな」
「えっ?どこですか?」
「眼…だな」
「眼…ですか?」
「LEVEL3っとこかな?相手の動きを見て躱したり、先読みしたりして相手の攻撃を避ける。だから陽翔の攻撃は当たらない」
「しかし後半は当たってましたよ」
「彼の能力だろうね。たぶん光だ」
「光?どう使ったんですか?目眩ましもしてませんし」
「LEVELが低いんだろう。少ない光で屈折を使い、目の錯覚を利用して攻撃を当てたって所だろう。相手の能力を逆手に取ったいい攻撃だったが、試合なれしていたマイケルが結局は勝った」
「陽翔が油断せずにあのまま打撃のみで闘っていたら勝てたんですか?」
「可能性は高いがそう上手くはいかなかっただろうね」
そんな話をしながら時間は過ぎ、そして第2試合の準備が整った。
中央にはレフェリーが立ち、左右から選手が入場してきた。
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