18 新たなナンバーズ(前編)
時間を少し遡り、棗達から50メートル離れた屋根の上では仮面を被った彩水と美姫が様子を伺っていた。
そして風花が離れて、棗達の前に男が現れた瞬間、そうだな後ろから一人の男が声をかけた。
「動くな!」
今まで全く気配が無かった筈なのに今度は殺意が彩水と美姫に向けられている。
その男も顔を隠して銃を両手に持ち、彩水と美姫に向けていた。
「そのままゆっくり手を上げて振り向け」
二人はゆっくり振り向く。
そして彩水は話しかけてみた。
「あなたがナインかしら」
「・・・」
ナインの気が逸れると美姫はほんの数ミリ身体をずらした。
すると、まるで糸でも付いているように銃口も微かに動く。
どうやら一度決めた標的はロックオンされた状態で躱すには撃った瞬間に動くしかないようだ。
しかし近距離で、人間の身体能力で撃ち出された弾を躱す事など無理である。
そして今度は美姫がナインに話しかけた。
「あなた達の目的は何かしら?」
「・・・」
「さすがにナンバーズとなると、口が堅いようね。確かに今の状況で私達二人ではあなたに勝つのは難しいわ。でも三人ならどうかしら」
「!!!」
するとナインの後ろに蓮が立っていて銃を向けている。
焦ったナインは彩水に向けていた銃を蓮に向けると、彩水は美姫に向いていた銃に撃ち弾いた。
彩水はオリジナルの銃を持っていて、自分の能力の水を超高圧水として撃ち出す事が出来る。
今度は美姫がナインに向かって銃を向けた。
美姫もまた、オリジナルの銃を持っていて、一言で言うと超電磁砲である。
「ここまでよ!彩水、ここは任せて棗の所に早く行ってあげて」
「分かったわ」
そして彩水は棗の所に行った。
「さてナインさん、あなた達の目的は何かしら」
ゆっくり近づくといきなり美姫が吹き飛んだ。
「キャーッ」
「美姫!」
その瞬間、ナインは蓮の両足を撃ち抜いた。
そして蓮は倒れると同時に蓮の影がナインを縛り動けなくした。
「な、何!」
「ようやく口を開いたな」
蓮は立ち上がる。
確かにナインは蓮の両足を撃ち抜いた筈だった。
しかしカラクリはこうだ。
蓮は未来視で撃つ場所と時間を確認した。
そして撃たれる所にアイテムボックスで異空間を広げる。
銃弾がアイテムボックスに入った瞬間、撃たれたふりをしてシャドウでナインの身体を縛った。
「さて、隠れてる奴出てこい!」
すると声だけが聞こえた。
「悪いがナインを離してくれないか。代わりにアンタの相棒に向けている空砲を解除する。こっちにはアンタ達とやり合うつもりは無い」
すると美姫が立ち上がる。
「私は大丈夫です」
今度は後ろから美姫の肩に空気の球が当たる。
続いて前から右足に空気の球が当たり、美姫は膝を付いた。
視えない相手に視えない攻撃でなす術が無かった。
「分かった。その代わりもう一つ、お前の名前を教えてくれ!」
「俺の名はⅩ(テン)だ」
「そうか」
蓮は名を聞くと、すぐにナインを開放して影移動で美姫の所に行く。
そして今度はナインの姿が消えた。
「俺達はお前達に敵意はない!ただ国家につくと言うのであればいずれ戦う事になるだろう。今度はゆっくりと話がしたいものだな」
その言葉と同時にナインとテンの気配が完全に無くなった。
「美姫、大丈夫か」
蓮は美姫を抱き上げると美姫の頬が少し赤くなる。
「もう、普段からそういう風にしていればかっこいいんですけどね………蓮さん大丈夫です。一人で立って歩けます」
そして小声で美姫は呟く。
「(蓮さんは女性にみんなに優しすぎます。少しは気付いてほしいです)」
「ん?何か言った」
「何も言ってません!さぁ棗達の所に行きますよ」
そして二人は棗達と合流する事にした。
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