村の重鎮との対面
前回:森を彷徨っていたセージは、村の柵の前で行き倒れ、猟師ドーランに助けられた。
「森から来たって? お前、どこの生まれだ」
猟師の男は、村の中央にある広場のような場所まで誠二を連れていくと、次々に質問を投げてきた。
「言葉が、わからなくて」
「ああ? 言葉が分からんのか。 そうか、そりゃ困ったな……」
男はしばし考え込んだあと、自分の胸を指差した。
「俺は、ドーラン。お前は?」
「セージ、です」
「セージか。よし覚えた」
単純だが、それでよかった。誠二はドーランの後について村長の家へ向かった。
「村長。森の方から、これが」
「ほう」
村長ガレンは、白いものの混じった髭をしごきながら、誠二を上から下まで眺めた。
「若いな。……装備もなしに、よく森を抜けてきたもんだ」
「運が良かったんだと思います」
「言葉、なんて言ったんだ? 大陸共用語じゃないな……まあいい。行くところがないなら、しばらく村にいろ。働ける手はいくらあっても足りん」
「ありがとうございます」
(話が早い。お辞儀は感謝で合っているようだ。 前世の会社の面接より、よっぽど話が早いな……)
誠二は内心で苦笑した。
「あたしにも紹介しときな、ガレン」
割って入ってきたのは、腰の曲がった老婆だった。
「薬師のメイベルだよ。何かあったら来な」
「よろしくお願いします」
「……お前さん、目の色がちょっと変わってるね。まあいいさ、追い追いだ」
メイベルはそう言うと、興味を失ったようにさっさと踵を返した。
(食えない婆さんだな。……嫌いじゃないけど)
こうして誠二は、ドーラン、ガレン、メイベルという、後の付き合いの深い三人と、村に足を踏み入れた初日にすべて顔を合わせることになった。




