二度目の村の祭り
二年目の秋、村では毎年恒例の収穫祭が開かれた。村の広場には篝火が焚かれ、燻製肉と、収穫したばかりの野菜を使った料理が並んだ。
「セージ、お前も飲め」
ドーランに木製の杯を押し付けられ、誠二は素直に受け取った。
「……美味いです」
「だろう。今年は本当にいい年だった」
「そうですね」
「……お前が来てからだな、この村が変わったのは」
ガレンが、篝火に照らされた顔でそう言った。
「私一人でできたことなんて、何もありません。皆さんが動いてくれたから、うまくいっただけです」
「またそれか。まあいい、それがお前らしさだ」
メイベルは少し離れた場所で、子どもたちに囲まれながら、改良した薬の効能を面白おかしく語って聞かせていた。
「セージ! こっちおいで!」
子どもの一人が誠二の袖を引っ張った。
「はいはい」
誠二は苦笑しながら、子どもたちの輪に加わった。
(……ああ、これだ。これでいいんだ)
篝火を眺めながら、誠二は前世で最後に迎えた誕生日を思い出していた。誰からも祝われず、コンビニのケーキを一人で食べた夜。
(あの夜と、今この瞬間との差、なんだよ、これ)
誠二は思わず目頭が熱くなるのを感じて、慌てて杯を呷った。
「セージ、泣いてるのか?」
「……いえ、煙が目に沁みただけです」
「篝火は向こうだぞ」
「うるさいですよ、ドーランさん」
誠二がそう言い返すと、周囲でどっと笑いが起こった。




