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お疲れ女神の無茶振り世直し転生 不老不死おじさんの苦悩  作者: mojito
第1章 セリオン村編

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燻製小屋と、失敗の日々

「セージ、また煙たいことしてるのか」


 ドーランが呆れ顔で燻製小屋を覗き込んだ。


「すみません、また焦がしました」


「今日で何回目だ、それ」


「……五回目、です」


 誠二は黒く焦げた肉を前に、ため息をついた。


(前世のプレゼン資料の作り直しより、地道な作業だな、これ)


「塩漬けだけじゃなくて、煙で燻す工程を加えるんです。煙には殺菌効果と、肉の表面を乾かして水分を減らす効果があります」


「煙で肉が腐らなくなるのかい? 妙な話だね」


「香草を一緒に使うと、臭みも消えて日持ちもよくなります」


「理屈はわかったが、焦がしてちゃ意味ないだろう」


「否定できません……」


 種火の生活魔法は、火加減の微調整に驚くほど便利だった。強すぎる火は肉を焦がし、弱すぎる火は煙が足りず腐敗を招く。誠二は毎日火の番をしながら、温度と煙の量を細かく調整し、最適な燻し時間を見つけ出していった。


「今日はどうだ」


「……いい匂いです」


「本当か?」


「食べてみてください」


 ドーランは半信半疑で一口かじると、目を見開いた。


「……これは香ばしくて旨い! それに表面は乾燥していて前のより日持ちしそうだ」


「でしょう?」


 半年ほど試行錯誤を重ねた末、村独自の燻製肉が完成した。


「セージ、あんたのおかげで、今年の冬は肉に困らずに済みそうだよ」


「セージ、これ、うちの分も頼めるかい」


「今度は俺の家のぶんも」


 村人たちが次々と声をかけてくる。誠二はその一つ一つに頭を下げながら、心の中でこっそり呟いていた。


(……こんなに感謝の声、浴びたことないな。会社じゃ、成果出しても『来月も頼むぞ』の一言で終わってたのに)

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