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デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


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借りている自分のロッジに戻って、買い込んだ食糧の中から冷凍ピザを備え付けの電子レンジへ入れて加熱し、生野菜を簡単に混ぜただけのサラダという食事の準備を済ませて500ミリリットル入りの缶ビールと共に夕食を摂り、後片付けを終えたところでナイロン製ソフトケースに収納しているTFMボルトアクション・ライフル銃を取り出して、簡易ではあるがメンテナンスを行うことにした。

最も、メンテナンスと言っても大した道具類が用意してあるわけではないのでバレル内のクリーニングや機関部へのオイルを注すくらいなのだが、あくまでも道具である銃器も些細なメンテナンスを施すだけで実際に使用する際には、結果が全く違ってくるので手を抜くわけにはいかない。

特にライフル銃の場合は、命中精度にバレルの状態が大きく関わってくるので弾薬に使用されている装薬がノンスモークレスで、黒色火薬とは違って発砲後の錆が発生し難いとはいっても油断して手を抜けば、発砲しようとした瞬間にトラブルが発生しないとも限らないのだから、小まめなメンテナンスは必要となる。

ボルトハンドを右手で握って、一度持ち上げてから後方へ引くがボルトがストップしたところで慎重にボルトを更に若干回転させてからボルトをライフル銃本体から抜き出す。

ライフル銃本体から抜き出したボルトは、余計なゴミや異物が付着しないように綺麗な布を敷いたテーブルの上に置いておく。

ソフトケースに入れてある組み立て式のクリーニング・ロッドを組み立ててから、発砲によって弾丸表面をコーティングしている銅や鉛等がバレル内のライフリングに食い込んでいる関係でライフリングに多少とも付着しているので、それを溶かす有機溶剤のクリーニング・ソルベントをクリーニング・ロッドのブラシ部分に付着させてからバレル内側をクリーニングするのだが、ボルトアクション・ライフル銃のバレル内にクリーニング・ロッドを差し込む場合は、バレル方向からではなくチャンバー側から差し込むのでブラシ部に付着させたクリーニング・ソルベントが機関部に垂れてしまうと機関部のパーツが損傷するのを考慮して、チャンバー部にプラスチック製のソルベント受けを装着してからクリーニング・ロッドをバレル内へ差し込む。

差し込んだクリーニング・ロッドは、付着した銅や鉛等を掻き出すようなつもりでバレルの途中等で往復させるような事はせずに、一気にマズルまで押し込んだら迷うことなく一気にチャンバーへ引き戻して行う。

なお、クリーニング・ロッドのブラシはブロンズ製なので、必要以上に何度もブラシを往復させると1ミリメートルにも満たないライフリングの山部分を削ることにもなり形状を変えてしまうので、ブラシによって掻き出すのではなくバレル内にソルベントを行き渡らせるイメージで行うのだ。

この動作を数回繰り返してから、クリーニング・ロッドをチャンバー方向から慎重に抜き出し、プラスチック製のソルベント受けもチャンバーから外したところで、クリーニング・ロッドを洗面所の流しへ持って行き流水でクリーニング・ロッドのブラシ部を洗う。

クリーニング・ソルベントは、銅や鉛等を溶かす作用を利用してバレル内のクリーニングに利用しているくらいなので、クリーニング・ロッドのブラシもブロンズ製であるためにソルベントが付着したままで放置しているとブラシの毛が全て溶解してしまいボロボロになって使い物にならなくなる。

クリーニング・ロッドのブラシ部から付着させていたソルベント溶液を洗い流し終え、TFMボルトアクション・ライフル銃を置いているテーブルへ戻ると、細長く若干幅広で長さのある布製のクリーニング・パッチをバレル内部に通すのだが、一度使用したクリーニング・パッチは二度とバレル内へ通すことなく捨ててしまう。

結構、贅沢な使い方に見えるが一度バレルを通したクリーニング・パッチにはソルベント溶液が付着した状態なので、そのクリーニング・パッチを使用したのではバレル内にクリーニング・ソルベントが残ってしまってライフルリングを溶かしてしまい射撃精度に重大な悪影響を与えることに繋がり、綺麗な状態のクリーニング・パッチを何枚も使ってパッチにデブリやソルベントの汚れが付着しなくなるまでバレル内を拭き上げておく必要がある。

その後、クリーニング・パッチをガン・オイルで浸した状態にしてからバレル内を通してバレル内部の表面にガン・オイルでコーティングされたような状態にしてナイロン製のソフトケースに仕舞う。

TFMボルトアクション・ライフル銃を収納したソフトケースは、極力バレルが上方に向くように立て掛けて置き、左腰のホルスターからニュースーパー・ブラックホーク・44マグナム拳銃を取り出してから、ローディング・ゲートを右側へ倒してからシリンダーに装填している44マグナム弾薬を全て取り出す。

それから、マイナスドライバーを使ってフレーム側でシリンダーを固定するためのロング・ベース・ピンを固定しているネジを緩めてロング・ベース・ピンを抜くとシリンダーが拳銃本体から外せる。

シリンダーを外したことで、バレル内部のクリーニングを行う際にシリンダーが邪魔にならなくなるので、多少はバレル内部のクリーニングがスムーズに行えるようになるが、フレームからシリンダーが外れただけなのでバレル後端が狭い空間しかない事に変わりはない。

ニュースーパー・ブラック・44マグナム拳銃の場合は、マズル方向からでなければクリーニング・ロッドを通し難いので、バレル前端側からクリーニング・ロッドを差し込むがフレーム側にソルベントの溶液が垂れてしまうと厄介なので、クリーニング・ロッドを持っていない方の手にはペーパータオルを持ってバレル後端のバレル・エンドに添えて拳銃を固定して、クリーニング・ロッドでバレル内のデブリを除去してやる。

こちらもソルベントでバレル内に付着した銅等が除去できたのなら、クリーニング・パッチを数枚ほど使ってバレル内の汚れとソルベントを拭き取るようにし、最後にTFMボルトアクション・ライフル銃のバレルにも使ったガン・オイルが染み込んでいるクリーニング・パッチを通してバレル内をオイルでコーティングしてやり、バレルのメンテナンスが終了となるが、俺はテーブルの上に置いているシリンダーを右手で持って6か所のチャンバー部を1つず丁寧にクリーニングする。

シリンダーのチャンバー部は、使用する弾薬の直径よりも僅かに広くなってはいるが、そのクリアランスは1ミリメートル以下の僅かな空間しかないので、発砲等によって生じる残渣が堆積すれば、確実に弾薬とチャンバーのクリアランスがなくなり発砲後に空薬莢を排出する際に抵抗となって容易に空薬莢が摂り出せなくなる。

確かに、ニュースーパー・ブラック・44マグナム拳銃のバレル右側4時くらいの箇所に出っ張った部分があり、そこにはエジェクター・ロッドという細長い金属の棒があって、そのエジェクター・ロッドを使用して空薬莢を押し出すことは可能なのだが、少しでも抵抗がない方が早く排出と装填が行えることに繋がる。

ただでさえ、シングル・アクション・リボルバー拳銃は弾薬の排出と再装填に時間が掛かるデメリットがあるので、少しでも余計な時間を掛けないためにはクリーニングを行ってクリアランスを確保しておけば、僅かでも短い時間でリロードが可能となって自分の命を助けることにも繋がる。

チャンバー部のクリーニングが終わったところで、シリンダーの前面も発砲に伴って付着している煤を取り除き、更にはバレル後端のフォーシング・コーン部にも付着している煤を拭き取っておく。

このシリンダーとバレル後端の隙間も5/1000インチ(0.127ミリメートル)という僅かな空間しかなく、そこに堆積物が溜まってしまえばシリンダーの回転運動に抵抗となってスムーズな可動が得られなくなり、拳銃の発砲に支障を来たすことになってしまう。

これらは、別にボルトアクション・ライフル銃やシングル・アクション・リボルバー拳銃だから生じるデメリットというわけではなく、どんなタイプの銃器であっても道具である以上は必要なメンテナンスを施さなければ充分に活用することができないという点で一緒なのだ。

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