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デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


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支給装備品を受領したからと言って直ぐにアラスカへ移動できるわけもなく、少なくともクリステンセンアームズのTFMボルトアクション・ライフル銃に装着されているスコープのゼロインを済ましておかなければ安心して確実な精度のある射撃には使えない。

備品管理係のカウンターから渡されたクリステンセンアームズのTFMボルトアクション・ライフル銃が収納されているナイロン製のソフトケースのサイドポケットに支給された338ラプアマグナム弾薬と44マグナム弾薬の弾箱を入れて、ホルスターに入れられているニュースーパー・ブラックホーク・44マグナム拳銃を腰のベルトへ装着する。

その時になって気が付いたのだが、ニュースーパー・ブラックホーク・44マグナム拳銃はシングル・アクション・リバルバーという事で形状的には映画やテレビドラマの西部劇等で目にするコルト・シングル・アクション・アーミーのような外観をしているが、一部分だけ特徴があってトリガー・ガードというトリガー部を囲うような状態になっている部分で、その後部で丁度利き手でグリップを握った際に中指の辺りがラウンド形状ではなくスクェア形状となって角張っている。

そのため、俺は過去にニュースーパー・ブラックホーク・44マグナム拳銃を発砲した経験がないので詳細は分からないのだが、ニュースーパー・ブラックホーク・44マグナム拳銃から44マグナム弾薬を発砲した経験のある射撃仲間からの話では、この拳銃から44マグナム弾薬を発砲した場合に、マグナム弾薬特有の激しい反動の影響を受けてトリガー・ガード後部のスクェア形状部分にグリップを握っている利き手の中指へ強烈に当たってしまうので、中指を痛める可能性が高いと聞いた事があったため多少なりとも気にはなっていたのだが、支給されたニュースーパー・ブラックホーク・44マグナム拳銃のグリップにはスターム・ルガー社が出荷時に装着している木製グリップではなく、トリガー・ガードのスクェア形状部分を覆うような木製のオーバー・サイズ・グリップが取付けられているので、44マグナム弾薬を発砲したとしても利き手の中指を痛める心配はなさそうである。

左腰にニュースーパー・ブラックホーク・44マグナム拳銃をホルスターに挿入した状態でベルトに装着してから、軍で管理している銃器のメンテナンス等を行っている銃器管理係のカウンターへ向かい、そこでレーザー・ボア・サイターを1個借りてからフォート・ブラック基地の屋外射場へ赴く。

屋外射場の教官に、100ヤード(約91.44メートル)射程の射場を利用できるように依頼すると教官は俺を見るなりペーパーターゲット1枚を寄越してから

「丁度、今なら100ヤードの射座は空いているから好きな場所を使え」

と言ってくれるので、俺は教官に敬礼してから

「ありがとうございます」

と礼を述べてペーパーターゲットを持って射座へ向かう。

射座に着くとナイロン製ソフトケースを木製のテーブルに置いてから、歩いてターゲットを設置する標的板へ行って、教官から渡されたペーパーターゲットを貼り付ける。

それから射座へ戻り、ナイロン製ソフトケースからTFMボルトアクション・ライフル銃を取り出すと、スコープは受領した時点で据え付けられているので銃器管理係のライフル・スミスが作業したのだろうからスコープの取付けに当たって不備はないと判断しても良いだろうから、ボルト・ハンドのノブを右手で握ってからボルト・ハンドを一旦上方へ持ち上げてから後方へ引くと、ライフル銃本体右側のエジェクション・ポートがボルトによって塞がれていたのが、ボルトの後退によってチャンバー部や弾薬が装填されていないマガジンのフォロアー部が見えてくる。

そこで、俺は銃器管理係から借り出したレーザー・ボア・サイターを右手に持ってTFMボルトアクション・ライフル銃のチャンバーへ装填してから右手をボルト・ハンドのノブへ移動させて握ると、ボルトを前進させてエジェクション・ポートがボルトによって完全に見えなくなったところでボルト・ハンドのノブを下方へ押し下げる。

TFMボルトアクション・ライフル銃のマズルから、日中なので見え難いのだが細い赤色のレーザー光線が発射されているので、それを100ヤード先に設置したペーパーターゲットのセンターに合わせるようにTFMボルトアクション・ライフル銃のハンドガード先端に装着されているバイポッドの脚の長さ等を調整してTFMボルトアクション・ライフル銃を固定してから、取付けられているスコープの対物レンズと接眼レンズのプラスチック製保護キャップを跳ね上げて、接眼レンズを覗いてみると当然だがスコープのレティクル・センターとレーザー・ボア・サイターから発射されている赤色の光点は一致していないので、スコープ本体中央にあるエレベーション・ダイヤルとヴィンテージ・ダイヤルを操作して、スコープのレティクル・センターがレーザー・ボア・サイターから発射されている光点と重なるようにする。

スコープのレティクル・センターがペーパーターゲットの中央で光っている光点と重なったところで、TFMボルトアクション・ライフル銃を動かさないよう細心の注意を払ってナイロン製ソフトケースのサイドポケットに収納していた338ラプアマグナム弾薬の弾箱1つを取り出して、再びTFMボルトアクション・ライフル銃のボルト・ハンドのノブを右手で握ってから上方へ跳ね上げてから後方へ引き、エジェクション・ポートからフォロアーが上がり切ってているマガジンが見えたところで、弾箱から1発ずつ338ラプアマグナム弾薬を取り出してマガジンに5発の弾薬を装填する。

マガジンに338ラプアマグナム弾薬5発の装填が終わると再びボルト・ハンドのノブを右手で握り前方へ押し込むとボルト先端のボルト・ファイスがマガジン最上部にある338ラプアマグナム弾薬のヘッド部を前方へ押し出してチャンバーへ送り込む。

ボルトが完全に押し込まれた所で、右手で握っていたボルト・ハンドのノブを引き下げて完全にロックした状態にして発砲可能な状態にするが、改めてスコープのレティクル・センターが100ヤード先のペーパーターゲットのセンターにあることを確認する必要から、TFMボルトアクション・ライフル銃のマニュアル・セーフティ・レバーを動かして安全装置をオンにする。

俺の利き目である左目でスコープを覗き、レティクル・センターがペーパーターゲットのセンターに位置していることを確認したところで、マニュアル・セーフティ・レバーを逆の方向へ動かして安全装置をオフしてから、左手の人差し指をトリガーに添えて引き始める。

「ドォーン」という発砲音と共に左脇へ押し付けているバットストックが、プロのボクサーが放つストレート・パンチのように勢い良く衝突してくる。

その反動を全身で受け止めから、右手をボルト・ハンドのノブへ移動させて握り上方へ跳ね上げた後に後方へ引くと、エジェクション・ポートから338ラプアマグナム弾薬の空薬莢が4時の方向へ飛び出して、木製テーブルの上で一度バウンドしてから地面に落下していく。

空の薬莢が排出されたところで、ボルトを前進させて2発目の338ラプアマグナム弾薬をチャンバーへ送り込み次弾の発砲に備える。

初弾の発砲によってズレたレティクル・センターをペーパーターゲットのセンターへ合わせてから2発目を発砲し、発砲し終えたところで初弾の時と同じような操作を繰り返して合計3発の338ラプアマグナム弾薬を発砲した。

右手でボルト・ハンドを操作して、エジェクション・ポートがホールド・オープンの状態として、空となった338ラプアマグナム弾薬の薬莢を弾き出してから、ライフル銃本体を冷却する意味でボルトを後退させたままにして、俺は射座から離れてペーパーターゲットの着弾状態を確認しに行く。

3発の着弾痕は、2インチ以下の状態で集弾しているが、全体的にはペーパーターゲットのセンターから3時の方向に3インチくらい逸れている。

これは、スコープ調整の誤差というよりも風の状況が7時から1時の方へ少し強めに吹いているためかもしれない。

3時方向に逸れた着弾の状態をスコープのヴィンテージ・ダイヤルで修正するのは後にして、再びスコープのレティクル・センターとペーパーターゲットのセンターを合わせて3発を連続で発砲する。

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