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翌朝、ベンジャミン二等兵は後ろ手に手錠を掛けられ拘束された状態で、C‐2グレイハウンド輸送機へ警備兵2名に連行される形で搭乗させられ本国へ強制送還となった。
如何なる理由があるにせよ、軍の極秘出撃情報を敵側へ情報漏洩したのであれば軍法会議によって裁かれて軍籍を抹消されたうえで、スパイ防止法違反に加えて国家に対する反逆罪や作戦に従事した海兵隊遠征隊員に対する殺人罪等によって刑事裁判の法廷で裁かれ、長期の刑務所暮らしとなり順調に刑期を過ごしたとしても出所できるのは奴が老人となって寿命を迎える間際になるのは間違いなく、これで奴の一生は棒に振ったことになる。
ベンジャミンが、C‐2グレイハウンド輸送機に搭乗するのを飛行甲板から俺達3人は見ていたが、ベンジャミンが俺達3人に気付いてマイクの姿を目にすると物凄い形相をして睨んできたが、そもそもは奴が敵に情報漏洩した事が発端なのだからマイクを恨むのは見当違いも甚だしい。
しかし、隣で佇むマイクを横目で見ると悲しそうな表情をして目を逸らすことなくベンジャミンを見送っている。
マイクとしては、未だ若く苦労しているベンジャミンが内通者でないことを祈ってブラフを仕掛けたのだろうが、結果はマイクの思惑通りにはならずベンジャミンが内通者であったことが炙り出されてしまったのだが、それでもマイクとしては若いうちに苦労をしているベンジャミンに、過去の自分を重ね合わせて応援してやりたいと思っていたのかもしれない。
カタパルトによって射出されたC‐2グレイハウンドが、犯罪者となったベンジャミンを乗せて飛行甲板を飛び立ち本国へ向かって行った。
ゆっくりと高度を上げていくC‐2グレイハンドを見送り、踵を返してブリッジへ向かうマイクの表情からは、ほんの少し前までの寂しそうな表情はすっかりと消え去り、何時も通りのデルタ・オペレーターとしての顔に戻っている。
日頃、厳しい訓練を受けて道理に合わぬ数々の現場を経験したとしても俺達デルタ・フォースのオペレーターも1人の人間なので、時には感傷に浸りたい時もある。
しかし、それを許されるのは任務から解放されていた休暇の時くらいで、今まさにミッションを遂行中の身であるならば、何時までも個人の感傷に浸っていられる時間等はなく、直ぐにでも冷酷な殺人マシーンとしての顔を取り戻さなければ戦場という過酷な環境に対処することができない。
与えられた部屋へ戻って支給された銃器のメンテナンスを行っていると、南米系のゴンザレスという伍長が来て
「副長が、司令部でお待ちですので至急出頭せよとの伝言であります」
と伝えてくる。
今度こそ本物の海兵隊遠征隊チームへ出撃の命令が下されたものと判断して、3人でブリッジ1階の司令部へ赴く。
司令部のドアの前でマイクがノックをして
「マイク准尉、以下2名入ります」
と司令部内に声を掛ける。
司令部室内から副長の声で
「入って良し」
という入室を許可する声が聞こえてきたので
「失礼します」
とマイクが断りを言ってから、司令部のドアを開けて入室するのに続いて俺とスティーブも司令部内へ入る。
司令部室内で俺達3人は直ぐに副長に対して敬礼をすると
「こちらのテーブルに集まって貰えるか?」
副長が目の前のテーブルを指し示してくる。
俺達3人が、テーブルの空いているスペースへ近付くと副長は壁に埋め込まれて設置されている金庫の扉を開けると、ダイヤル錠を廻して金庫を開錠して中から1通の封筒を取り出すと封筒の中から1枚のメモを出して
「今回はブラフじゃなく本物の作戦指令となっている」
と副長が言って手にしたメモを開いて内容を見せてくれる。
メモには、本日17時00分にイラク領内にあるイスラム武装組織の拠点施設を襲撃して、保管されている飛行タイプの爆弾ドーンの破壊及び施設内に居る戦闘��鮖Τ欧垢襪茲ΦⅥ椶気譟△修硫爾砲肋貊蠅鮗┐靴臣録泙罰亮造幣貊蠅���襪茲Δ飽淌戮鳩佚戮�正④気譴討い襦�
メモの内容を充分に俺達に見せた副長は、司令部内の隅に置いていた小さな金属製の容器をテーブルに置いて蓋を外すと、手にしたメモに左手でズボンのポケットから出したライターを取り出して火を点けると右手のメモに点火する。
燃え上がったメモは、テーブルに置いた容器へ入れると暫く炎を挙げていたメモは灰となって白い煙を立ち上げるだけとなったところで、外した蓋を容器に被せる。
「諸君等も確認した通り、前回の失敗を踏まえて作戦指令が記載されたメモは完全に焼却して処分したので、この内容を後から見ることができる者はいなくなった。ちなみに、艦長から私が受領した後は海兵隊遠征隊チームのリーダーに見せた後で、私が厳重に管理した状態で諸君等に見せたので事前にメモを見た人間は艦長、私、海兵隊遠征隊のチームリーダーと諸君等しかいない」
そこまで説明を終えた副長は
「それでは、3人とも下がってよろしい」
と告げたので、俺達3人は司令部を退出して割り当てからた部屋へと戻り出撃の準備を始める。
部屋へ戻って一通りの準備が整った時点で
「前回と同じく、混まないうちに食堂で夕飯を食べることにしよう」
とマイクが提案してくる。
俺とスティーブは前回の失敗もあるので若干なりとも気にはなっていたが、出撃準備にしても後は戦闘服等を着用するくらいしかないので気掛かりながらもマイクの提案に賛同して食堂へ向かった。
調理場以外に人気のない食堂に入室すると、俺達3人の姿を目にした調理長が黙って頷き給仕を担当する隊員に3人分の夕食を準備するよう指示を出す。
指示を受けた給仕係は、黙って3人分のトレーを並べると次々に調理が終わったばかりの料理を大皿の上へ盛り付けて給仕カウンターで待っている俺達へ手渡してくるのを受け取り、近くのテーブルへ着席して出された料理を頬張り始める。
暫くすれば、海兵隊遠征隊のメンバーが夕食を摂りに食堂へ来るはずなので、それまでには夕食を食べ終えられるように俺達は殆ど会話をすることなく黙々と大皿の料理を平らげる。
俺達が丁度、夕食を食べ終わった頃に海兵隊遠征隊のメンバーが食堂へ現れたので、俺達は擦れ違う海兵隊遠征隊のメンバーと目で合図をするくらいで直接の会話をすることはない。
部屋へ戻った俺達は直ぐに戦闘服に着替え、更に上半身にはチェストリグを装着して弾薬を装填した予備弾倉をチェストリグに差し込み、その後は首筋に咽頭マイクを装着して片方の耳にイヤフォンを差し込んでから、3人でマイクチェックを行い無線機が正常に作動しているのを確認する。
その後は、メインアームのボルトを手動で動かしてみて銃器の作動に問題がないかを確認しておく、前回の出撃では問題なく作動していたが空母エイブラハム・リンカーンに帰還してくる途中で銃器の機関部に異物が入り込んでいる可能性もあるので、そこは入念にチェックをして問題なく作動することを確認しておくのはマストである。
必要となる装備品を装着し終えて、銃器のチェックも完了し3人がそれぞれ意識を集中させていると、スティーブが右手首に着けているデジタル腕時計のアラームが鳴り出した。
俺とマイクは、ハッと我に返ってアラームの音がするスティーブへ視線を向けるとスティーブは右手首の腕時計を確認した後でアラームのストップボタンを押しながら
「出撃30分前ですので、そろそろ飛行甲板へ向かった方が良いですね」
と俺とマイクに顔を向けて話してくる。
それを聞いた俺とマイクは、スティーブに頷いて見せてから腰を上げて部屋のドアへ向かい、ドアを開けて廊下へ出ると飛行甲板を目指して移動を始める。




