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デルタのスナイパー  作者: 二条路恭平


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俺達3人で登っていた岩山は、思っていた以上に高くはなく登り始めて15分くらいで頂上に辿り着けて、スティーブはSR‐25M110アサルトライフル銃を取り出して装着しているスコープの前方に暗視カメラをハンドガード上面でアッパーレシーバーとの取り付け近くに装着して狙撃の準備を整え、マイクも手にしているSCAR‐Hアサルトライフル銃のショートスコープ前方に暗視カメラを備え付けると

「おい、ジョージ」

と俺を呼び、暗視カメラを装着したばかりのSCAR‐Hアサルトライフル銃を俺へ寄越してくる。

「なんのつもりだ?」

マイクの行動を理解できない俺が怪訝な表情で問い掛ける。

「お前とスティーブの方が、俺よりも狙撃のスキルがあるんだから成功率の高い奴が必要な銃器を使うのは当然だろう?ただ、ジョージに支給されているライフル銃には暗視装置が支給されていないので夜間に使えないなら、俺のSCAR‐Hアサルトライフル銃を使えよ。ショートスコープは、俺がゼロインしているからジョージが照準した狙点に着弾しないかもしれないが、今回のミッションは後方支援だから必ずしもワン・ショット・ワン・キルである必要はないんだから、この状態でもジョージなら充分に使いこなせるだろう」

と説明し、自らはバックパックから暗視モード機能が付加されている双眼鏡を取り出してから、右腰のホルスターに収納しているスプリングフィールド・アーモリー社製をベースにフォートブラック基地のガンスミスにカスタムされた1911拳銃を抜くと

「俺は、ジョージとスティーブのスポッター役と周囲の警戒に専念する」

と言ってニヤリと笑顔を見せる。

マイクの説明を聞いたおれは、マイクが寄越したSCAR‐Hアサルトライフル銃を受け取り

「分かったよ、それじゃ、マイクの銃を借りることにするなぁ」

と言ってSCAR‐Hアサルトライフル銃のセレクターレバーが「SAFE」の位置にあることを確かめてから、SCAR‐Hアサルトライフル銃を構えてショートスコープの前に装着されている暗視カメラのスイッチをオンにして、ショートスコープを覗いてみる。

確かに、このショートスコープはマイクがゼロインを行っているので、俺がSCAR‐Hアサルトライフル銃をショートスコープで照準しても俺が狙点とした箇所へ確実に命中することがないのは事実ではあるが、それは使用する銃器に対する精度の問題で精密な狙撃を念頭にした場合であれば問題となる場合であっても、軍用銃として見た場合には100メートルで3インチ(7.62センチメートル)くらいに集弾しているようなら実用上の精度としては充分であると言える。

しかも、マイクの照準は独特な癖があるわけではないので精度としての差が生じるとすれば、俺とマイクの体格差からくる違いによって着弾位置にズレが生じるくらいなので、狙点から大きく外れることはないとはないだろうから必ずしも使えぬわけではない。

それに、後方支援となる狙撃用の銃器はSCAR‐Hアサルトライフル銃だけはなく、スティーブに支給されているSR‐25M110アサルトライフル銃が狙撃用セミオートマチック・ライフル銃もあり、装着されているスコープは使用するスティーブ自身がゼロインを行っているので、いざとなればスティーブの狙撃によって後方支援としての役割は充分に果たせることにはなる。

その辺りから、海兵隊遠征隊のメンバーも襲撃ポイント近くまで迫ってきたのか耳のイヤフォンからメンバー同士の無線の遣り取りが頻繁に聞こえてくるようになり、斥候として敵の施設を確認にいったメンバーへ爆弾ドローンの有無についての執拗なくらいに確認をしている。

斥候のメンバーが確実にドローンの存在を確認したとの無線連絡があり、海兵隊遠征隊メンバーのリーダーが全員に攻撃の合図を送った瞬間、無線に海兵隊遠征隊のメンバー1人が「あっ」という声を発したのが聞こえてくるが、咽頭マイクのため直後に何が起こったのか無線を通して音が聞こえてこないので認識しようがない。

そこからは、数人の海兵隊遠征隊のメンバーが「うわッ」という声を発しているのが無線から流れた後に、微かだが数発の銃声が微かに聞こえてきたので海兵隊遠征隊のメンバーが行軍を行った方向へ視線を送ってみると、一か所だけ何かが燃焼しているのか照明弾が起爆したような光が確認できる。

そこへ、海兵隊遠征隊のリーダーから

「待ち伏せを受けた。デルタ、至急支援を始めてくれ」

と無線連絡が入ってきた。

恐らく俺達が砂浜に上陸してから、何処かの時点で襲撃してくるのを察知されていたのに違いなく、連中は海兵隊遠征隊のメンバーを充分に引き付けて施設内への襲撃前に暗視ゴーグルを装着したタイミングで、照明弾か閃光弾等を起爆させたのだろう。

暗がりの中で、暗視ゴーグルを装着した状態で至近距離から照明弾か閃光弾を起爆されたのでは、強力な閃光が発せられたことによって一時的にしても視界が奪われて襲撃どころではなくなる。

案の定、施設内からはAK47等を発砲した銃声が連続で響いているのが聞こえ、海兵隊遠征隊のメンバーも反撃をしているようだが所詮盲撃ちの状態では、敵を捉えることはできず同士討ちとなっていないことがせめてもの救いと言える。

俺とスティーブは、発砲されているAK47のマズルから時折見えるマズルフラッシュを目安にして、SCAR‐Hアサルトライフル銃とSR‐25M110アサルトライフル銃をセミオートで発砲を開始する。

タイミングを図ってマイクが風向や風速の情報を知らせてくれるので、その情報だけで着弾修正を加えていくが、とにかく暗い闇状態なので風の状態等を把握しようにも手掛かりとする周囲が見えないので、マイクからの情報だけが頼りとなる。

俺とスティーブで何人かのイスラム武装組織の戦闘員を狙撃して戦闘不能な状態にはしているが、爆弾ドローンを保管している拠点施設ということで警戒している人間が多数いるためか簡単に施設の戦力低下といった状態にはならず、次々と戦闘員が出現してAK47等の銃器を発砲してくるので、如何にセミオートマチックのライフル銃で素早い連射を行っても容易に敵を殲滅するまでには至らない。

だが、閃光弾か照明弾の起爆によって瞬間的な閃光によって一時的に視力を奪われていた海兵隊遠征隊のメンバーのうち、数人は幾らか視力が回復してきてきたのか敵の施設内へ手榴弾を投擲できたようで、銃器の発砲音とは異質の炸裂音が断続的に聞こえてくる。

そこへ海兵隊遠征隊のリーダーから

「作戦は失敗したが、後方支援によって敵に隙が生まれたタイミングで小隊のメンバー数人が手榴弾を投擲したことで敵のドローンを破壊することには成功したから、これから撤退行動に移行するのでデルタのメンバーも岩山を下山して我々が合流してくるのを待っていて欲しい」

と無線連絡が飛び込んでくる。

確かに、このまま交戦状態を継続していても敵の援軍が来てしまえば戦局は圧倒的に俺達が不利になるのは目に見えているだけでなく、そこへイランの革命防衛隊等が合流しようものなら、革命防衛隊が保有する重火器等を使用されたならば、俺達は確実に壊滅する運命になるので、一刻も早く撤退した方が無難なのは間違いない。

無線を聞いたマイクは俺に向かって

「ジョージ、預けたアサルトライフル銃は、お前が持ったまま下山しろ、もし下山した後で海兵隊遠征隊を待っている間に敵の襲撃を受けた場合は、そのSCARーHアサルトライフル銃で対応してくれ」

と言ってスティーブのSRー25M110アサルトライフル銃の専用ケースを持ち

「スティーブも、銃の専用ケースは俺が持つから、お前もSRー25M110アサルトライフル銃を持って下山して、敵の襲撃に備えろ」

と言って岩山を降り始める。

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