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ミニャのオモチャ箱 ~ネコミミ少女交流記~  作者: 生咲日月
第8章

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302/317

8-2 出発の朝

本日もよろしくお願いします。


 ミニャンジャ村では現在、2つの建設が始まっていた。


 1つは、フォルガのパーティメンバーである元騎士団長ガロードの家の建設。フォルガ関連の仕事は非常にお金になるため、賢者も村民さんもやる気十分。


 もう1つは、竪穴式住居の増設。

 これは夏の終わり頃にグルコサの領主からお願いされたことだった。


 どうやら、冬は女神の森で活動していた冒険者たちがダンジョンを求めて王都へ行きがちなのだとか。さすがの女神の森も、冬は採取率が落ちるのだ。

 この冒険者たちから、ミニャンジャ村のダンジョンの使用や村の周辺の探索を行ないたいという要望があるらしい。


 もちろん、ミニャと賢者たちに否はなかった。

 というわけで、せっせと宿泊所になる竪穴式住居を建設しているのだ。


 建てるのが竪穴式住居なので、ミニャたち子供大工さんも大活躍だ。午後になると遊び感覚でせっせとお手伝いして、お賃金をゲットする。


 さて、そんなグルコサの領主とだが、つい先日に秋の会談がミニャンジャ村のミニャちゃんハウスで行なわれた。


 議題は、出稼ぎに来る冒険者たちが得た物品の買い取り価格や輸送手段のすり合わせなど。特に薪となるダンジョン産の木材と、冬の間の二次産業を活性化させるスライムゼリー、肉、イコーンの根菜などが欲しいらしい。

 これらの実際の取引は商人が主に行なうことだが、ベースとなる価格を設定することで話は円滑になる。


 あとは、12月と1月の間にある女神の月に、ダンジョンを使わせてほしいという要請もあった。王都まで船旅をする金と時間がない人たちにミニャンジャ村のダンジョンで女神詣をさせて、魔法を覚えさせたいのだ。その使用料として結構な大金を提示してきたので、ミニャと賢者たちはウハウハして承諾した。

 冬の女神の月は3日間あり、初日は村の中でお祝いし、2日目と3日目に合計500人を参拝させることで合意した。もちろん、この時に来る人たちは日帰りだ。


 そして、もう間もなくやってくる王子様の誕生日パーティの最終チェック。

 これはその時のやりとりである。


「時に、ミニャ殿は王子への贈り物はもう用意したかな?」


 領主が問うた。

 それまでに難しいお話をしていたので足をプラプラさせて頑張って聞いていたミニャだが、自分でもわかる質問がされたのでネコミミをぴょこんとさせた。


「うん、準備しました! 賢者様、教えていーい?」


『ニーテスト:ああ、もう構わんぞ』


「じゃあ領主様、ちょっと待っててください!」


 ミニャはててぇと走って板の間から出ていく。賢者に持ってこさせるという選択肢はなかった様子。これが俺たち私たちのボスである。そして、元気にててぇと戻ってきた。


「ミニャのプレゼントはこれです!」


 バーンと会談用のテーブルに置いたのは、リバーシだった。


「ほう、これは?」


「これはリバーシです! んっ!」


 ミニャはえっへんと胸を張った。


「ああ、これがアメリアの言っていた遊戯盤か。どのような物かは教えてくれなかったのだが、どういったものなんだい?」


 ちょくちょく遊びに来るアメリアもリバーシをやったことがあった。その際には、領主にも秘密にするように言っておいたので、遊戯盤で遊んだことしか言わないでくれたようだ。


 そう、賢者たちが村の子供たちにも秘密にするようにお願いした理由は、王子様のプレゼントとして使うためだった。この辺りの国には特許法がないため、情報規制したわけである。


「じゃあ領主様は赤ね。ミニャ、青」


「え。ああ、やるのか。ではお願いしようか」


 ミニャンジャ村で作られたリバーシは、最初は黒と白だったが、とある理由で青と赤に塗り替えられていた。


「こうやってねぇ、挟むとねー、挟まれちゃったのがひっくり返るの」


 とミニャが教え、領主は全部理解した。


「ミニャ40個、ミニャの勝ち!」


 理解したうえで普通に負けた。


「……ミニャ殿、もう一度やろうか」


「いいよー!」


 領主は負けず嫌いだった。

しかし、次も7歳児に負けた。まあ、初めてやるゲームなので仕方がない。


「ミニャ殿、誕生会が終わったら私にも一式売ってくれまいか? これならアメリアたちも楽しく遊べるだろう」


「うん、いいよー! 王子様のはこの板が立派なヤツなの。領主様のも立派なヤツを作ってもらいます! んっ!」


 ミニャが巧みなる戦術で商談を結び、賢者たちは大盛り上がり。生産賢者はミニャに恥をかかさないために、緊急会議を始めそうな勢いだ。


 そんなこんなで、いよいよ王都へ向かう日がやってきた。




「ぴぇえええんえんえんえんえん!」


「ほら、泣くなって!」


 大好きなミニャお姉ちゃんが旅行に行っちゃうので、ルミーが今生の別れのように大泣きした。それをあやすスノーは困り顔。


 前回のグルコサ訪問の際は、子供たちがまだ賢者の言葉を読めなかったので村に残しておくと不安だったため連れて行ったが、今回はそういった問題もなくなったからお留守番である。


「ほら、泣かないの。ちゃんと10日くらいで帰ってくるからね。お土産もいーっぱい買ってくるから」


 ミニャがお姉さんモードでルミーの頭をよしよしと撫でるが、ルミーは『連れて行ってくれないお姉ちゃんなんて知らないもん』とばかりに、スノーのお腹に顔を埋める。


 拗ねキッズはルミーだけではない。

 年少組のパインやクレアは特にミニャに懐いているので、しょんぼりとテンション低め。


 そんな様子に近衛賢者たちが可哀そうに思いつつも、激写を欠かさない。お姉ちゃんが旅行に行くので泣いちゃうなんて、最高にきゅんきゅんする。


「もぐぅ……」


 一方、ミニャと一緒に暮らすモグもお留守番で寂しげ。

 モグはマールとレネイアに預けられ、現在もマールに抱っこされていた。


「モグちゃん、美味しいものをいっぱい買ってきてあげるからね。しっかりお留守番していてね」


「もぐぅ……もぐ!」


「マールちゃんもよろしくね」


「うん、気をつけてね」


 まあ賢者たちもいるので、モグも暇はしないだろう。


「モグちゃん、必ず帰ってくるからね」


「もぐ!」


 そう言ったのはコーネリアだった。

 今回の旅には、王都で活動していた冒険者のコーネリアとルカルカも同行する。

 コーネリアはモグを可愛がっていたので、そんな宣言をしていた。


「それではファフよ、家の管理を頼むぞ」


「かしこまりました。どうか道中お気をつけて」


 フォルガとそのパーティメンバーも同行する。

 元国王だけあって、孫の誕生日会に誘われているのだ。ミニャは王都に知り合いがいないので、大変に心強い存在だ。その代わりに執事妻のファフが村に残って、他のメンバーの家の管理をするようである。


「はははっ、ほら、泣くなって。たかが10日やそこらだぞ」


 そう言ってルミーを抱っこしたのは、アマゾネスエルフお姉さんのメリアラン。

 ルミーが泣いているのは、ミニャだけでなく、よく懐いているメリアランやコーネリアがミニャと一緒に行っちゃうからである。

 ルミーはメリアランにひしぃと抱き着き、肩に顔を埋めた。


【333、名無し:っぱメリアランネキよ】


【334、名無し:カッコイイ人ですよね。女のあたしでも憧れます】


【335、名無し:ルミーちゃんのギャン泣き可愛すぎて辛い】


【336、名無し:俺が子供の頃にこんなお姉ちゃんに懐いてしまったら、絶対に女の好みが確定すると思う】


【337、名無し:褐色腹筋巨乳アマゾネスエルフ美女とか、どこを探せばええねん】


【338、名無し:個人的にコーネリアさんが自分も子供を抱っこしたくて、右往左往しているのが好き】


【339、名無し:わかるwww】


【340、名無し:あっ、パインちゃんを抱っこした!】


【341、名無し:ニコニコしてて別れる顔じゃないんだよなぁ】


 そんなシーンを賢者たちはほっこりした気分で見物する。


「賢者様のいうことをよく聞くようにな」


「はい、お任せください」


 そして、エルフのシゲン。

 シゲンは非常に有能な人物なので、ミニャの執事役兼ボディガードとして同行してもらう。

 普段はシゲンが村民のまとめ役をやっているが、今回はクレアの両親であるフェザーとシルビアが代行することになっていた。まあ賢者もたくさんいるので、問題ないだろう。


 最後に、賢者たちだ。

 グルコサ訪問の時は手の内を晒さないためにも数人しか表に出さなかったが、今回はもっとたくさん引き連れていく。

 さらに、大量の人形をミニャの『人形倉庫』に入れ、有事の備えはばっちり。


 出発前に、みんなで女神像にお祈り。


「女神様、ミニャ、今日から王都に行ってきます。無事に帰ってこられるように、見守っていてください!」


 ミニャがそうお祈りすることで、賢者たちも村民さんや同行者たちも、本当にご利益があるような気がした。


 同行者が船に乗り込み、最後にミニャはグズグズしているルミーの頭を撫でた。


「ミニャがいない間、村をよろしくね」


「きゅーん……」


 ルミーは服の裾をギュッと握り、コクンと頷いた。いつも元気にブンブン振るわれているシッポは股の下に潜り込んでしまいそうなほどへんにょり。


「……ルミー、ちゃんと毎日、ミニャお姉ちゃたちが無事に帰ってこれるように女神様にお祈りしゅる」


「うん!」


 そう言ってくれたルミーの頭をゴシゴシと撫で、ミニャは船に乗り込んだ。


『乙女騎士:それではミニャちゃん、お願いします』


 賢者から促され、ミニャはキリリとした。


「よーし、それじゃあ、しゅっぱーつ!」


 ミニャの元気な声で高速船が動き出す。

 ミニャは離れていく桟橋を追いかけるようにして甲板を移動した。


「行ってきまーす!」


「「「行ってらっしゃーい!」」」


 ミニャもお見送りしてくれた子供たちも、お互いに大きく手を振った。


 こうして、ミニャの初めての船旅が始まった。


読んでくださりありがとうございます。


6月20日に書籍が発売されます。Web版から大量加筆し、ネタ的な小さなエピソードから、大きなエピソードまでかなり増やしたので、ぜひぜひ手に取っていただけると幸いです。


さて、発売一か月前ということで、本日から少し更新頻度を上げたいと思います。1日置きくらいかな?

ただ、ストックがなくなったらご容赦を。


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― 新着の感想 ―
女性的なラインを維持しつつ、限界まで筋肉を付けようとする賢者が現れる日も近い
更新お疲れ様です。 「更新頻度を上げたい」ですと!?なんて甘美な響き。足を向けて寝れません。 どうやったらランキングにのぞかせることができるのですかね。 盛り上げてみたい。
更新お疲れ様です。OVERLAP STOREで書き下ろしSSペーパー付き書籍の予約ができましたので予約しました!
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