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少女達が銃で戦う世界で男の娘は剣を振るう  作者: 鳥抹茶
第3章 Memory -真愛-
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第14話 encounter -運命-

 炉級ろしなとむら

 当時6歳の小学1年生。

 父親は研究者で勤務先の研究所に泊まり込みで常人には理解し難い研究を将来何かしらの役に立つ事を信じて日々研究三昧。

 母親は休日問わずの夜勤社会人で、稼ぎは良いものの凄くケチな女で、息子の弔にはほぼと言っても過言ではない程に何も買い与えていない。



 小学校の入学式、クラスが決まった。

 とはいえ、知っている人など殆ど居なかった。

 弔の通う学校は家から少し遠く、もちろん自転車通学は許可されていないので歩くにはとても大変な距離だった。

 ちなみにこの学校の近くには幼稚園があるらしく、この小学校の生徒の殆どがその幼稚園の園児なんだそう。それゆえに弔以外の生徒は殆どが顔見知りだったらしい。

 そんな事もあり、案の定弔はクラスでいつも1人だった。いじめられる事も無く、話しかけられる事も無く、サッカーやドッジボールなどの人数稼ぎとして遊びに誘われる事すら無かった。


「…またひとりかぁ…」


 弔は独り言を呟いた。

 弔は基本的にいつも1人だった。

 幼稚園児の頃はよく友達と遊んでいたのだが、不慮の事故で仲の良い友達に大怪我をさせてしまった時から友達が弔を避けるようになり、独りとなった。

 家に帰ってきても、母親は夜勤で家を出ており、父親は研究所に泊まっているのでいつも1人だった。

 たまに父親がいる時がある。その時の父親の研究の話を聞いたりするのが弔の唯一の楽しみでもあった。正直何を話しているのかはよくわからないが、誰かと話せているその状況が、常に孤独である弔にとってはとても温かく、楽しい事だった。

 そんな弔は学校にて、休み時間であろうとただひたすらに勉強をしていた。

 それしか、暇を潰す手段が無かったからだ。


 入学してから3ヶ月が経過し、季節は夏と化していた。

 クラスのみんなが暑い暑いと汗だくになっている中、弔はいつものようにただひたすら勉強をしていた。


「炉級君はいつも偉いですね」

「…ありがとうございます」


 この3ヶ月間、学校でする会話はこれだけだった。

 先生に褒められ、それに返答する。かと言って他の生徒に勉強を教えてと言われる事もなかった。別に弔自身もそれを狙ってずっと勉強をしている訳ではないので何とも思わなかった。


 気がつけば夏休み、というものになっていた。

 どうやら1ヶ月半くらい学校に行かなくても良いらしい。

 クラスのみんなは喜んでいたが、弔は嬉しくも何ともなかった。


 弔は夏休みというものに入ってすぐに宿題をほぼ終わらせた。

 残る宿題は自由研究という何をすれば良いのかわからないものだった。

 

「母さん、自由研究ってなにすればいいの」

「知らないわよそんなの。虫の解剖でもすれば?」


 母親は煙草を吸いながら自身の息子に対し適当に返した。弔はそれを間に受け、虫を捕まえに外へ出た。

 出たはいいが、何を捕まえて何を解剖すれば良いのかわからなかった。

 それにどうやって捕まえる?

 どうやって解剖する?

 捕まえようと必死になって身体中泥んこになって帰ると怒られる。解剖の為にと勝手に包丁などを使ったら怒られる。

 誰かから借りようとしても、弔は独りで友達は1人も作れていないので借りるなどできなかった。

 そう考えながらも山の中へと入ってきてしまった。

 山の中へ入って、真っ先に目に入ったのは、袖無しの可愛い柄の服を着て、麦わら帽子を被り、シンプルなショートパンツを履き、虫籠を肩に掛け、手には虫網を持った1人の少女がいた。

 そんな肌を曝け出し、一心不乱に虫を捕まえようとする少女を弔は虫を捕まえようとせずただ見惚れていた。

 そんな少女から逃げ惑う一匹の虫はこちらへと向かってきて、弔の頭に引っ付いた。

 こちらへ向かってくる少女に、弔はドキドキしてしまった。自分のところへ向かってくる理由は自身の頭についている虫だとわかっているのに。


「キミ、だいじょうぶ?あたまに虫ついてるよ?」

「う、うん、わかってるよ」

「とってあげるからそっとしててね」


 そう言うと少女は弔の頭に付いている虫を取ろうと弔の頭に手を伸ばした。

 弔は言われた通りそっとしていたが少女が、というより親以外の、自分と同じくらいの歳の女の子が目の前にいる事に驚きとドキドキが混ざり合い、よくわからない感情になっていた。

 直後、頭に付いていた虫が飛んでいってしまった。


「あっ!とんでいっちゃった…」

「…なんかごめん」

「ううん、キミはなにも悪くないよ。ところでキミ、なんていうの?」

「えっ?…炉級弔…だけど…」

「とむらっていうのね!かっこいいなまえだね!」

「オレは嫌いだよ…こんな名前…」

「どうして?かっこいいのにな」


 弔は嫌いだとはいえ、名前を褒められ少し嬉しくなり顔を赤らめる。

 少女は何故弔が自分自身の名前が嫌いなのかをせがんできた。

 弔は近くの公園に少女と共に移動し、その理由を話した。


 事は遡る事、2年前。

 幼稚園児の頃、弔は友達といつものように鬼ごっこをして遊んでいた。

 ある時、弔が鬼となり友達を追いかけ、捕まえようとタッチしようとした。

 すると、その友達をタッチした時に走りながらタッチした事もあり勢いがついてしまい、その捕まえた友達がバランスを崩し、転んでしまった。


「大丈夫!?」


 弔がその友達に駆け寄ると、その友達は頭から血を流していた。辺りを見渡すと、血のついた角ばった石が目に入った。

 どうやら転んだ際にたまたま足元に角ばった石が転がっており、そこに頭を直撃したようだった。

 その後はもちろん先生が駆けつけ、その友達は病院へと搬送された。

 この件は不慮の事故として収まったが、友達には頭を打った際に一部の記憶が紛失してしまい、弔等の幼稚園の友達の事が思い出せないのだという。

 その後、弔の母親が慰謝料などを払って、弔と共に自宅へと帰宅した。

 帰宅した途端、母親は弔の顔を殴り、罵詈雑言という名の八つ当たりをした。


「お前はどうしてそうやっていつも金がかかるのよ!お前のせいでこっちはどんどん金が無くなっていくんだよ!」

「…ごめん…なさい…」

「ごめんなさいで済む話じゃないんだよこのクソガキ!!」


 弔はまたしても殴られた。

 謝ったのに、殴られた。

 でも恐らく謝らなくても殴られていただろう。


「お前が生まれる前まではウチらは金がいーっぱいあったんだよ…でもお前が生まれてから一気に金が無くなってったのよ!お陰でウチは貧乏人みたいな暮らしをしなきゃいけなくなったの!ただでさえ貧乏なのにお前を養えって…?ウチらが貧乏になったのはお前のせいなんだ…よ!!」


 今度は意味もなく殴られた。

 弔は涙は流していながらも、声を上げなかった。

 声を上げられたら怒られると思ったから。

 母親の迷惑に、母親の耳に障ると思ったから。


「なんでお前の名前を弔にしたと思う…?それはねぇ…さっさと死んで欲しいからだよ…!」

「…!」


 弔いとは、葬式などと言った意味がある。

 母親は、自身の息子に死んで欲しかったのだ。

 だが、自身が殺すと、殺人罪となるので合法的に死んで欲しかった。例えば事故とか、誘拐とか。

 そうすれば慰謝料という金が入ってくる。

 そしてテレビのインタビューにて悲しむ演技をする事によって同情を買える。

 葬式代の事はどうやら考えていないようだが、とにかく息子には死んで欲しかったのだった。


「さぁ…自殺してよ…早く!」

「…ごめん…なさい…」

「そう思うんなら早く自殺か誘拐かなんかされろよ…」


 その直後、たまたま父親が帰ってきた。

 父親が帰ってくると母親は性格をまるっと変え、良い奥さんを演じ始めた。

 しかし、父親は弔の顔の痣を見てすぐに息子に駆け寄った。


「だ、大丈夫か弔!?何があったんだ…!?」

「そ…それは…」


 弔は母親の方を見やる。

 母親は敵意丸出しの視線で弔を睨んでいた。


「…友達と遊んでて…転んだの」

「そ…そうか…」


 父親はそんな訳はないと思いながらも、何か言いたくない事でもあるのかと感じ、そこからは何も言わなかった。


 その翌日から友達だった者は皆、弔を避けるようになった。

 “弔と遊ぶと酷い大怪我をする”と誰かが唆したのか、みんなが皆んなそう思っているのかわからないが、弔に近づく者はいなくなってしまった。

 それ以来、弔は外でも家でも孤独となった。



「…まぁ、そういう訳だよ」

「ひどいよ!とむらくんはなにもわるくないのに!」

「君は…オレを避けないのか…?」

「なんで避けるの!?だった弔くんが悪いわけじゃないのに!」


 少女の反応は、弔にとって意外なものだった。

 今まで、何もかも自分が悪いんだと思い込んできたのを、少女はそんなことない、と否定したように思えた。

 気がつくと、弔は泣いていた。


「なんで泣いてんだ、オレ…?」

「泣いていいよ…弔くんは…」

「…あ…あぁ…!」


 その日に初めて出会い、初対面であるはずの少女は、今までずっと内に秘め、我慢してきた物を涙として表に出す弔を優しく抱きしめた。

 日が暮れ始める頃、少女は弔を自身の自宅へと招き入れた。


「…いいのか?」

「あたりまえでしょ!だって弔くん、家に帰ってもひとりなんでしょ?」

「そ、そうだけど…キミの家族に迷惑だよ」

「だいじょうぶ!わたしがなんとか説得する!それに、家っていうのは家族みんながそろって笑い合うところだから!」


 そう言うと少女は家の奥へと走っていく。

 少女が発言した“家っていうのは家族みんながそろって笑い合うところ”というのは、弔には結び付かなかった。

 家に帰っても冷蔵庫にある冷凍食品を温めて独り寂しく…いや、もう慣れたので寂しくはない。

 少女がこちらへと走ってきて、弔の手を握った。


「靴脱いで!」

「え?」

「夏休みだし、1日くらいわたしの家に泊まってってよ!」

「…いいのか?」

「うん!パパもママも良いって言ってた!」


 弔は靴を脱いだ途端に少女に手を引っ張られリビングへと連れて行かれた。


「お、君が弔君か!」

「ど、どうも…お邪魔します…」

「あれぇ?愛ちゃんもしかして彼氏〜?」

「もう!ママさっき話聞いてたでしょ!」

「えー知らなーいー」

「もーママったら!」


 少女の家のリビングは色んな意味でとても明るかった。

 本来の家族とはこういうものなのだろうか?

 弔には、それがわからなかった。


「あ!改めて、私、潤武うるふあいっていうの!」

「ああ、よろしく。」

「じゃあ二人共、早速お風呂に入ってきな!」

「はーい!行こ!弔くん!」

「えっ!?お風呂っ!?ちょ!ちょっと待て!!」


 弔は異性と風呂に入るという事が信じられらなかった。

 そんな弔には見向きもせず、愛は弔の手を引っ張り、風呂場および洗面台へと移動する。


「愛ちゃんったら、結構グイグイ行くタイプだったのねぇ〜うふふ!」

「こりゃあ将来が楽しみだなぁ、ハハハ」

めっちゃ関係のないお話をさせて頂くで候。

実は登場人物の名前は炉級弔と莉里聖刃と莉里音色以外は仮面ライダーから来ているのです。


潤武愛→ファイズ(ウルフオルフェノク)

空我舞→クウガ(マイティフォーム)

響飛香→響鬼アスム

立木未来→龍騎ミラーワールド

衛曲真希→エグゼイド(マキシマムゲーマー)


ちなみに

莉里聖刃→セイバーリリィ

莉里音色→ネロ・クラウディウス

炉級弔→ロビン・フッド


こうしてみると登場キャラ少ねっ…

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