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少女達が銃で戦う世界で男の娘は剣を振るう  作者: 鳥抹茶
第2章 Nightmare -脳喰-
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第11話 parasite -策略-

 真夜中に突然少女達がゾンビとなり、戦いを繰り広げてから数週間。

 聖刃達一行は毎日毎日やってくるこの戦いにより疲労困憊していた。


「いつまで続くんだよこれ!未来が事前にワクチン作っておけば楽なんだけどなぁ!」


 未来は唯一ゾンビにならない研究者であり、彼女に頼るしか方法は無いのだが、毎回毎回ワクチンをその場で作っているので、聖刃達は毎回時間稼ぎをしなくてはならない。


「…なぁ、なんとなくだがよ、あのワクチンって本当に効いてンのかな?」

「どういう事だ、愛?」

「もしかしてだが、あれってワクチンじゃなくて毎晩ゾンビにしてしまうヤツとかだったりしないか?」

 

 愛の推理にうーん、と悩む聖刃。未来を疑っているわけでは無いが、確かにここ数週間ずっと続くのはおかしい。もしそうだとして、何故こんな事を?何故毎回真夜中なのだろうか?


「ここはオレと舞が何とかするからよ、聖刃は一旦あの女の所に行ってこいよ」

「…あぁ、わかった。」


 そう言うと、聖刃はその場を後にし、研究室へ向かった。



 研究室が何処なのかわからず、施設内を走り回り、何とか研究室へと辿り着くことが出来た。


「おーい未来、ワクチンはまだ…ってあれ?」


 研究室の扉を開くと、そこに未来の姿は無かった。何故不在なのかは不明だが、とりあえず中へ入り、未来の帰りを待つ間に、机に置かれているワクチンらしきものを見やる。

 しかしその見た目はワクチンとは到底思えず、例えるなら童話でよく魔女が混ぜてる変な釜の中にある液体だ。


「気持ち悪…何これ?」


 ワクチンの正体に鳥肌が立つ。しかし聖刃にはこれが何なのか、何で出来ているのかが全く不明なので、これが本当は悪い物なのかどうかの判断が出来ない。

 そんな気味の悪い液体から目を逸らし、顔を向けた方向にある物が目に入った。


「…刀?何でこんな物が」


 そこには何故か刀が立てかけられていた。

 聖刃はその刀を持ち、鞘を抜くと、血に濡れた刃が露わになった。


「何で研究室ここには気分の害する物しかねえんだ…あ、いい事思い付いた。」


 ふと、刀を見て閃いた。

 GGG.sの少女達にはジューメツではなく剣で戦わせれば良いのでは?と。ジューメツの弾が残りの寿命の年数で、使い切ると死んでしまうのなら、何も消費する物が無い剣なら良いのでは?と。

 しかし、生憎聖刃にそんな技術は無い。それに刀もこの一本だけなので、量産は不可能だろう。


「仕方ねぇ…未来を探しに行くかねぇ…」


 そう思い、研究室から退室したその直後、後ろに気配を感じた。


「ゾンビかっ!!!」


 聖刃は後ろに振り返ると同時に体が勢い余ったのか、勝手に刀を振り回していた。

 気配の正体が血を吹き出す。聖刃は返り血を浴びる。

 聖刃は自身が切ってしまったモノを改めて見た。

 そこにいたのはゾンビではなく、未来だった。


「あ…あっ…聖刃…さん…」

「み、未来!?」


 未来は首から血を吹き出しながら、その場に倒れた。辺りに未来の血液が広がる。その光景はまるで紅い絨毯のようだった。

 未来は動かなくなり、血液不足により死亡した。


「…え…なんで…?ジューメツ持ってりゃ死なないんじゃないのかよ…!」


 いや、そういう問題では無いということはわかっている。わかってはいるが、自身が未来を殺害したという事実を認めたくはなかった。

 そのタイミングで、リーダーがやってきた。


「…聖刃君。」

「リーダー…どういう事だよ…ジューメツ持ってりゃ死なないんじゃねえのかよ…!」

「あぁ…その筈だが。でも安心しろ。君が未来を殺した訳じゃないからな。」

「…どういう事だ?」

「…見てみろ。」


 そう言うとリーダーは未来の残骸の頭部にあたる部分を指差す。指差す方向を見ると、そこには割と大きめの穴が開いていた。


「…なんだ…これ?」

「…ブレートだ。」

「ブレート?何だそれ?」


 ブレート、という聞き慣れない単語を口にしたリーダーは、聖刃にブレートとは何かを語り始めた直後、舞がやってきた。

 しかし聖刃達には見向きもせずに研究室へと入っていった。


「あ、舞!ワクチンならまだ完成してな…」


 そう言いかけた直後、舞は研究室からワクチンを持って出て行った。

 まさかとは思うが、あの気味の悪い状態が完成だったのだろうか?


「…まぁ、ここじゃあれだ、私の部屋へ来るんだ」

「ちょっと待てよ!未来の死体はどうするんだよ!?」

「あぁ、流石にこれだとマズイな、霊安室へ持っていくぞ。手伝え。」

「持っていくって…」


 そうは言いながらも、未来を担いで霊安室へと向かった。

 しかし謎だ、何故舞は未来の死体に対し何のリアクションも無かったのだろうか。

 何故ワクチンの完成がアレだと知っていたのだろうか?

 さっきの舞は、少々おかしかったような気がした。

 未来を霊安室へ持っていった後、聖刃はリーダーの自室へと連れていかれた。


「…さて、ブレートについてだな。」


 リーダーは自室のベッドに座りながらブレートというものについて話し始めた。


「ブレートというのは、数年前に同僚が開発した死体蘇生生命体の試作型だ。」

「…死体蘇生生命体?」

「まぁ簡単に言うと死体を蘇らせる生命体なんだそうだ。ブレートを死体の身体に寄生させると、ブレートは身体に残った脳を喰い、喰った脳を分析してブレート自身が脳へと化け、脳の役割を果たし、身体が蘇る…と言ったバカなものだよ。」

「…じゃあ未来は」

「あぁ、もう未来はブレートに寄生されていた。もうその時に彼女は死んだも同然なのさ。ちなみにあの頭の風穴はブレートが人体から出ていった証拠だ。恐らく、君が未来を殺す寸前にその身体から脱出したんだろう。」

「…じゃあ、そのブレートってのは今…!」

「あぁ、多分この施設内のどこかに潜んでるか、誰かに寄生したかのどちらかだろうな。」


 聖刃は嫌な予感がした。

 そう。聖刃には心当たりがあったからだ。


「…舞に寄生してる可能性がある…!」

「舞?何故そう思う?」

「さっき俺らと出会した時、明らかに態度が変で、未来の死体にもノーリアクションだったし、何より、未完成であろうはずのワクチンを完成させて持っていってた…!」

「だとすれば危険だな。今すぐに」


 舞の所へ駆けつけよう、としたその時だった。

 突然少女達がリーダーの自室へと入ってきた。

 そして、ジューメツを聖刃に向けてきた。


「な…何だよ急に」

「聖刃さん。未来ちゃんを殺したんでしょう?」

「…舞!」


 そこへ入ってきたのは舞だった。


「その刀で何で未来ちゃんを殺したの?」

「いや、違うんだ!みんな聞いてくれ!」

「私達の数少ない仲間を殺したアンタに誰が耳を貸すと思ってるの?」

「だから俺は殺してなんて…!」

「そんなに血で濡れた刀を持ちながら殺してないって言っても信じられる訳無いでしょ。」


 そう言うと舞はジューメツをスマホ形状へと変形し、とある映像を聖刃達に見せつけた。

 その映像は、聖刃が未来を刀で殺している所の監視カメラの映像だった。


「…これは…!」

「さぁ、決定的な証拠がこっちにはある。どう言い逃れできると言うの?」


 完全に嵌められた、と思ったが、この場に愛がいないことに気付き、聖刃は舞に問うた。


「愛はどうした?いないみたいだが。」

「愛ちゃんならここにいるよ?」


 そう言うと、傷まみれでボロボロになった愛が隊員達によって引き摺られて入ってきた。


「愛!」

「聖刃…すまねえ…舞がオレを庇って…がぁっ!!??」


 舞は愛にジューメツを撃った。

 今のを聞いた所、恐らくブレートは本当は愛に寄生しようとしたのだろう。しかし、それにいち早く気付いた舞が愛を庇って代わりに寄生されてしまった…と言うことなのだろうか。

 その直後、リーダーが小声で聖刃に言った。


「聖刃君。私が煙玉を投げる。その内に愛を連れて逃げるんだ、いいね?」

「でもリーダーは」


 リーダーは聖刃の言葉を無視し、煙玉を地面に投げつけた。

 辺りは煙でよく見えなくなった。


「行け、聖刃君!」


 その声とともに、聖刃は愛を抱き抱え、少女達を退けながらその部屋から退室した。


「聖刃さんを逃さないで!絶対に未来ちゃんの仇を討つのよ!」


 舞がそう言うと少女達は部屋から退室し、聖刃を追いかけていった。

 そして、部屋にはリーダーと舞、二人だけが残された。


「…やってくれたな、ブレート。」

「あぁ…わかってたんだ。にしてもこんなに上手くいくとは思わなかったよ」

「何が目的だ…って、私に対する復讐か」

「そう。お前への復讐…でも、ただ殺すだけじゃ面白くない。だから、周りの人間を苦しめようと思ってさ。」

「…それ、ただお前が楽しみたいだけじゃないか」

「まぁその通りだけどさ。俺はね、ずーっと待ってたんだ、誰かがあの刀を持ち去るまでずっと。」

「それで、持ち去った奴を殺人鬼に仕立て上げる、と。殺すかどうかなんてわからないじゃないか?」

「そう。だから幽霊さんに付き合ってもらったんだ。」


 そう言うと部屋に着物を着た少女…愚神桜智夜が入ってきた。


「私がヒトの身体に憑依して体を動かして人を殺させる。そうすれば殺人鬼の出来上がり、よ」

「…まさか『シュメルツ』の心霊さんがここで登場とはね…」

「まぁ、貴女も共犯って事で、死んでもらうから。…あぁ、ジューメツ所持者は死なないんだっけ」


 そう言いながら、舞に寄生したブレートはリーダー…飛香にジューメツを撃つ。

 同時に飛香もブレートにジューメツを撃った。

 ブレートには当たらなかったが、飛香には被弾し、飛香は膝をついた。


「くっ…卑怯だな、ソレ。」

「まぁ、私には桜智夜の加護があるからね。桜智夜、響飛香の身体を乗っ取れ。」


 そう言うと、桜智夜は膝をついている飛香に近寄り、身体の中へと入り込んだ。


「うっ!?何だ、これは…あっ…ァァァァァァア!!!」


 飛香はその場に倒れ込んだ。

 そして、すぐに目を開き、立ち上がる。


「…久々ね。生きている感覚って。」

「これから桜智夜は響飛香としてこのGGG.sを動かしてくれ。共犯の件は私が何とか少女達に説得しておくから。」

「了解。さて、このGGG.sも乗っ取ろうかしら…ふふふ…!」

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