【第四夜】 ゼーレのともし火(1)
次の夜がやってきます。
ぼくらはたちどまって耳をすませた。
遠くからなにかがやってくる気がして。
星の流れ切った夜、月をなくした空。低い雲だけが鈍くひかっている。
さびしい荒れ地の真ん中で、ひとりぼっちのぼくらは、ふたりぼっちのぼくらは、心細くて泣きそうになった。
せかいに、ぼくとぼくだけしかいないような気がして。
けれど、
しゃあん、と。
遠く鳴るのは鈴かしら。
波のようにくりかえし、風のようにゆき過ぎる。しゃらん、しゃあんとやってくる。
ひかりの列がやってくる。とおくから、とおくまで。
なにかしら、とぼく。
だれかしら、とぼく。
ふたりでひとりのぼくたちは、ひとりでふたりのぼくたちは、だまってそれを待っていた。息をひそめて待っていた。
だってそのひかりが、とてもきれいで。
とてもこわくて。
それはたくさんのひかり。
星を集めたような、たくさんのランプ。
それはたくさんの人たち。
セロファンで貼ったような色とりどりのランプに灯を点し、たくさんの人が歩いてくる。
男のひとも女のひとも、若いひともお年寄りも。ぼくらよりちいさいこどもたちも。
静かに、しずかに。かすかにさざめき、微笑んで。
長くながく列になり。
ゆっくりと歩いてくる。静かに歩いていく。おだやかに過ぎていく。
ぼくらに気づきもしないで、ただ前だけを見つめて。ふりむきもしないで。
どこからきたのかしら。
どこへいくのかしら。
ぼくらも行っていいかしら。
しゃあん、と鈴が響いた。
ぼくらはひどく驚いて、鈴の音を、その源を振り仰いだ。
夜を旅する話なのに、更新が朝なのはなぜ、とか考えちゃダメです。




