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第5話:虚ろな鼓動
アルは、ふらふらと裏道を歩いていた。
周りから人の気配が消えると、足を止めた。
青年の姿、自分が犯してしまったことを思い出す。
「……くそっ、なんで……」
アルは立ち止まり、壁を殴り続けた。
壁に背を預けたまま、ずるずると座り込む。
拳は血で滲んでいた。
「……俺は、また……」
そう呟くと、頭を両手で抱え込む。
正しいことをしたつもりだった……
正しい選択のはずだった……
はず……なのに……
アルは力なく、白い息とともに空を見上げる。
月は、ただ、静かに光っていた。
彼は、ただ、遠くからアルを見つめる。
冷たい風とともに、静かな夜が更けてゆく。




