50 時間かせぎと3世の集中
※『オズの魔法使い』のネタバレを含みます。あらかじめご了承下さい。
「みんな!!聴いてたと思うけど、ライオンさんに飛んでもらって、奴の注意を引きつけてもらう作戦でいくよ!ちょっと怖いかも知れないけど、今回も絶対落っこちないように魔法をかけてあるから、安心して!!ジェットコースターだと思って、楽しんで!!」
ペイズリー3世はラクラミキオアラたちに向かって、そう叫びました。
「た…楽しんでって…今の話、ようするにわたしたちがおとりになるってことでしょ!?そんな状況、楽しめるわけないでしょっ!!」
ドイナが、切れ味鋭いツッコミを入れました。
「さすがドイナっ!!よく言ったっ!!ペイズリーは多分、ものすごく急な下り坂を下っている最中に自転車のブレーキが故障しちゃった人に対しても、"ジェットコースターだと思って、楽しんで!"とか言っちゃうタイプだよ!つまりね、全ての発言がテキトーなの!」
ラクラミキオアラがそう言って爆笑していると、3世は、
「そんなわけあるかいっ!!」
と、ドイナにも引けをとらないツッコミを入れました。その直後です。
「じゃあ、いくぞ!みんな!」
ライオンが叫び、おおきな翼を力強くはばたかせ、飛び立ちました。東の魔女は3世が予想した通り、すぐにライオンの方に視線を向けました。
「ラッ、ライオンかっ!急に出てきて、驚かすんじゃないよっ!逃さないからねっ!!覚悟しなさい!!」
そう言って東の魔女は両腕を、下からライオンの方にすくい上げるように、勢いよく振りました。すると再び、泉の底に沈んでいた数百個の光る石が空中に跳ね上がり、ライオンに向かってものすごい速さで飛んでいきました。
「ふん!あんなの、全部よけてやる!」
ライオンはそう言って、さっきよりも更に強く翼をはばたかせました。3世が魔法でバリアを張ったので当たっても大丈夫なのですが、ライオンはバリアに頼ることもなく、全て見事によけました。そして、すばやく東の魔女の背後に回りこみ、前脚で魔女を蹴飛ばしました。
「うわっ!!ライオンさん、すごっ!!!」
ラクラミキオアラがびっくりして叫びました。ドイナも目を丸くして、
「ペイズリーが攻撃する前に、ライオンさんがやっつけちゃうんじゃないの!?」
と言いました。蹴られた魔女は渦の上から落ちそうになりましたが、渦になっている水は魔女の魔法がかかっている状態なので、まるで水でできた手のように伸びて、落ちそうになった魔女の身体を支え、渦の上に押し戻しました。その様子を見ていたラクラミキオアラは、
「何あれ〜!!ずる〜い!!!」
と言って口を尖らせました。すると東の魔女はぷんぷん怒って、
「わたしなんて、家で押し潰されたんだからねっ!!これくらいでズルいとか言われる筋合は無いよっ!!」
と言いました。するとドロシーが、
「ほんとごめんなさい!!あれ、わざとじゃないんですよ!?竜巻で家が飛んじゃって、わたしにとっても災難だったんですから!」
と言いました。それをきいたラクラミキオアラは、
「でもさ、謝る必要無いんじゃない?あの人、マンチキンの国の人達を奴隷にしてたんだから、めちゃくちゃ悪い人だよ。ドロシー、お手柄だったよ!!ノーベル平和賞もらえるレベル!」
と言って、満面の笑みでドロシーを見ました。
「えっ、本当に?ありがとう、ラクラミキオアラ!」
そう言ってドロシーはラクラミキオアラに抱きつきました。憧れのドロシーに抱きつかれたラクラミキオアラは、夢見心地の表情で、
「はぁ〜…幸せ!」
と言いました。ライオンはその間も、東の魔女の周りを縦横無尽に飛び回っていました。東の魔女は攻撃をしようにもなかなか狙いを定めることができず、イライラしていました。
「もう、頭にきた!!全力の魔法で、半径1キロの範囲を全て吹き飛ばしてやる!!それなら、よけることもできまい!!バリアだって、役に立たないぞ!!」
東の魔女がそう叫ぶと、ラクラミキオアラたちの顔は青ざめました。
「えっ!?そ、そんなことできるのっ!?う、嘘だよね?悪い魔女さん!?」
ラクラミキオアラがそうきくと、東の魔女は、
「悪い魔女じゃないっ!!東の魔女だっ!!」
と怒って言いました。そして人差し指の指先をこめかみに当てて、精神の集中を始めました。
「ヤバいっ!!あの人、本気みたい!!」
ラクラミキオアラがおおきな声でそう言った次の瞬間、ペイズリー3世の叫び声が響きました。
「ライオンさん!!いくよ〜!!魔女から離れて〜〜!!」
ペイズリー3世は攻撃魔法をかけるための集中が十分なレベルに達し、いよいよ攻撃しようとしていたのです。ライオンは慌てて、東の魔女から離れました。




