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28 再会

「あ…あのお城の中に、ガブリエラさんがいるんですね!!」

 ラクラミキオアラはそう言うと、ワンピースのポケットの中を覗いてから、手を入れました。手がポケットから出てきたとき、手の上にはアデラが乗っていました。ラクラミキオアラは慎重に手を下げていき、接地させました。アデラは手から降り、地面の上に立ちました。

「ペイズリー。アデラさんを、元に戻してくれるかな?」

 ラクラミキオアラがそう言うと、ペイズリー3世は、アデラを小さくしたときと同じように、人差し指と中指の指先を揃えてこめかみに当て、目を閉じて精神の集中を始めました。しばらくすると、目を見開き、

「ドゥフ・アル・コパクルイ、レヴィーノ・ラ・ディメンスネア・タ・イニツィアラ!」

 と言って指先を地面の上の小さなアデラに向けました。するとアデラは光でつつまれ、その光はどんどん大きくなっていきました。3世の背丈よりも大きくなった光は、徐々に弱まり、やがて消えました。そこには、元の大きさに戻ったアデラが立っていました。

「エレナさん。アデラさん。まず、お二人が女王さまに会ってきて下さい。わたしは、そのあとで大丈夫ですから」

 ラクラミキオアラの真剣な目を見てエレナとアデラは、黙ったまま静かにうなずきました。そして二人は並んで、お城に向かって歩き始めました。ラクラミキオアラたちは、その背中を見つめていました。


 お城の入り口の前まで来たとき、アデラはエレナに、

「エレナ。まずは、あなたが一人で女王さまのところに行って。わたしは、あなたと女王さまの大切な再会の、邪魔になりたくはないの」

 と言いました。しかしエレナは、

「アデラ。女王さまは、あなたが邪魔だなんて、絶対に思ったりしないわ。さあ、一緒に来て」

 と言いました。それでもアデラは戸惑った表情を浮かべたまま動けずにいたので、エレナは彼女の手首をつかみ、

「行くわよ。女王さまのやさしさを、信じて」

 と言って引っぱりました。ようやくアデラは歩き始めました。


 入り口の両脇に立っていた守衛の精霊が、高さ五メートルほどもある巨大な扉を開けて、二人を中に入れました。中はとても広いエントランスホールになっており、フカフカの真紅の絨毯が敷かれていました。かなり離れたところに、左右対称に造られた階段が見えました。その階段はゆるやかな、うつくしい曲線を描いてエントランスにおりてきていました。階段にも真紅の絨毯が敷かれていて、エントランスの絨毯と繋がっていました。階段の手すりには美しい彫刻が施されており、先端は下向きにくるりと丸まっていました。


 エレナとアデラの目に、横幅のひろいその階段をおりてくる一人の女性が映りました。ベルベットのような光沢をもつ美しい深緑のドレスを身にまとったその女性こそ、森の女王ガブリエラでした。ガブリエラを見たエレナは、我慢できずに駆け出しました。ガブリエラの方も同じでした。二人はエントランスの真ん中で、涙を流しながら抱きしめ合いました。

「会いたかったわ…」

「わたしも…わたしもです…女王さま…」

 それからガブリエラは、少し離れたところでモジモジしていたアデラを見て、

「アデラ!アデラ…!」

 と言って、駆け寄り、つよく抱きしめました。ガブリエラの目からは、とめどなく涙が流れ落ちていました。アデラも泣きながら、

「ごめんなさい…ごめんなさい…女王さま…」

 と謝っていました。

「もう、いいのよ。もう、大丈夫よ、アデラ…。何も心配しなくていいからね。あなたのことは、わたしが絶対に守るから、何も心配しなくていいのよ」

 ガブリエラはそう言って、抱きしめたままアデラの頭を何度もなでました。アデラが長い間、ずっと探し求めていた温もり、やさしさ、愛が、そこにありました。

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