24 旅立ちのとき
「それじゃあ、いってきますね!!ペイズリー1世さん。アレックスさん」
ラクラミキオアラは玄関でそう、出発のあいさつをしました。アレックスは笑顔でラクラミキオアラに向かってうなずいてから、エレナを抱きしめ、
「くれぐれも、気をつけてね。昔は森の中を歩くことに慣れていただろうけど、今のきみは町での生活に慣れているから、転んだりしないように、気をつけて」
と言いました。そして、
「エレナだけじゃなくて、きみたちも、本当に気をつけてね」
と、ラクラミキオアラたちにも言いました。ラクラミキオアラたちは真面目な顔でうなずきました。
「ニャ~」
足元からきこえてきた声に反応してラクラミキオアラたちが視線を下に向けると、いつの間にかバズムがソファの上から移動して、ラクラミキオアラの足首に顔をすりすりしていました。
「バズム君!…人生の大先輩ではあるけど、やっぱり可愛いから、呼び方はバズム君でいいよね!今日は、道案内よろしくねっ!!」
ラクラミキオアラがそう言って頭をなでると、
「ニャ~」
と再び鳴いて玄関のドアの前に歩いていき、後ろ足だけで立って、左右の前足を交互に使って、ドアをペタペタ叩いていました。
「アハハハ!バズム君、道案内する気満々だね〜!」
ドイナがそう言って笑いました。
「コステル。皆が無事に帰ってこられるよう、力を尽くすのじゃぞ」
1世がそう言うと、3世は
「はいっ!」
と元気よくあいさつをして、ドアを開けました。外の眩しい光が、射し込んできました。ラクラミキオアラは、物語の登場人物に会うという、少し変わった夢を叶えるための初めの一歩を、踏み出しました。それは同時に、ラクラミキオアラ自身が物語の主人公になった瞬間でもありました。でも、本当は冒険なんてしなくても、人間も、動物も、昆虫も、植物も…酸素や水素のような元素ですら、一人ひとりが、物語の主人公なのです。一人ひとりが、毎日必死に、悩んだり、喜んだり、悔しがったり、悲しんだり、誰かを愛したりしながら、生きているのです。昆虫や元素が誰かを愛することはできないなんて、誰も証明することはできないのです。もしも人間が、"人間は猫よりも賢い"なんて思ってしまったら、その瞬間にもう、猫に負けているかも知れないのです。猫たちは、人間を見下したりしないのですから…。




