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23 3世の意志

「エレナ、ラクラミキオアラさんたちといっしょに、行きなさい。ガブリエラさんを笑顔にするために。君だって、会いたいだろう?ガブリエラさんに。ぼくは、ここで留守番しているよ。二人の再会の、邪魔になったら悪いからね。アハハハ」

 アレックスはやさしく、エレナに言いました。エレナは黙ってアレックスの顔を見ました。ラクラミキオアラは少し慌てた顔で、

「アレックスさん!ダメですよ!アレックスさんもいっしょに行かないと!!」

 と言いました。

「えっ?どうして?」

 アレックスは、きょとんとした顔でききました。

「だって、アレックスさんも物語が大好きなんですよね!?ガブリエラさんが持っている物語の宝石箱で、アレックスさんの大好きな物語の登場人物を出してもらいましょうよ!」

「ああ、それはね、もう大丈夫ですよ。ぼくは昔、エレナと付き合い始めたころ、ガブリエラさんのところに連れて行ってもらって、いろんな物語の登場人物に会わせてもらったんです」

「あっ…そういえば、そうでしたね…でも、本当にいいんですか?お留守番で。つまらなくないですか?」

「アハハハ。そんなに気をつかってくれて、ありがとう、ラクラミキオアラ。でも、ぼくは大丈夫ですよ。ゲオルゲさんは、どうしますか?行きますか?」

 アレックスにそうきかれた1世は、少し考えてから、

「いや、わしもここに残る。アレックス…おぬし、さっき、なぜケトルの水が一瞬で熱湯になったか、分かっておるじゃろう?」

「え、ええ…。さっき、ラクラミキオアラさんとコーネル君がひそひそ話をしていたのが、聞こえてしまいました。コーネル君…きみは、ペイズリーという名の魔法使いなんだよね?さっきお湯を沸かしてくれたのは、君なんだろう?」

 アレックスはそう言って、ペイズリー3世の顔を見ました。3世は"やばい、バレちゃってた"という顔をして、

「は、はい…すみません、嘘の名前を使ったりして」

 と謝りました。

「この子はわしの孫なんじゃ。ラクラミキオアラとドイナは、実はわしの孫ではない。わしはペイズリー1世という、引退した魔法使いなんじゃよ。今まで嘘をついていて、すまなかったの」

 1世もアレックスに謝りました。そして、

「わしはこの孫にペイズリーの名を継がせたが、まだまだ、この子には修行が必要じゃと思っておる。森の女王ガブリエラに会いにいくということは、ひとつの冒険じゃ。その冒険も、きっと良い修行になる。わしがいっしょにいたら修行にならんから、わしは、おぬしとともに、ここに残ることにする。ここにもバックギャモンのセットはあるじゃろ?」

「あ、はい!ありますよ!バックギャモンをして、みんなの帰りを待ちましょう」

 アレックスがそう答えると、1世は微笑みながらうなずいて、3世の顔を見ました。

「コステル。森の女王に会いにいく途中で、あるいは帰り道で、もしも危険なことが起きたら、お前の魔法の力で、皆を守るのじゃぞ?よいな?」

 ラクラミキオアラたちはそのとき初めて、ペイズリー3世の本名がコステルであることを知りました。3世は微笑みながら、

「分かってるって!まかせてくれよ、じいちゃん!」

 と大きな声で言いました。微笑んではいましたが、その目の輝きからは、必ずみんなを守るという強い意志が感じられました。

「ちょっと、ペイズリー!あなた、コステルって名前だったの?」

 ドイナが驚いた顔でききました。

「え?あ、うん。そうだけど?」

「これから、どっちの名前で呼べばいいの?」

 困った顔できいたドイナに3世は、

「う〜ん…別に、好きな呼び方でいいよ」

 と言いました。するとラクラミキオアラが、

「"3世"でいいんじゃない?」

 と言って笑いました。

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