表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

2 冒険したい!

 ラクラミキオアラはある日おじいちゃんに、

「このおうち、もっと、ふんわり(かる)く、できないかなあ」

 と言いました。おじいちゃんは笑って、

「ほほほ。ラクラミキオアラ、それは、さすがに無理(むり)じゃよ。喜ばせてあげたいけれど、できなくて、すまないね」

 と言いました。ラクラミキオアラは、しょんぼりした顔になりました。おじいちゃんはその顔を見て、(むね)がとても(いた)みました。おじいちゃんはラクラミキオアラのことをとても大切に思っていたので、残念そうな顔を見るのは(つら)いことだったのです。


 なんとかしてラクラミキオアラを喜ばせてあげたいと思ったおじいちゃんは、ラスノフの町にある本屋さんで、一冊(いっさつ)の本を買ってきました。それは、ドイツの作家(さっか)ミヒャエル・エンデが書いた『モモ』という物語の本でした。その物語の主人公は、人の話をきくことで、その人を幸せにする、不思議(ふしぎ)な力をもった女の子、モモです。モモの年齢(ねんれい)は、「まだ八つくらいなのか、それとも十二くらいになるのか、けんとうもつきません」と書いてあるだけなので、読んでも分かりませんでした。(ふく)はボロで、髪はくしゃくしゃと書いてありました。


 ラクラミキオアラは、読んでいくうちに、これまでに読んできた物語の主人公たち、ドロシーやアリスとはまったく(ちが)うモモに、興味(きょうみ)しんしんになりました。どんどん、ひかれていったのです。『オズの魔法使い』のドロシーや『不思議(ふしぎ)の国のアリス』のアリスは、自分に近いような気がして、自分と(かさ)ねながら読むことができたのですが、モモは、自分とは違う、不思議な、(なぞ)めいた女の子だとラクラミキオアラは思いました。そして、ドロシーやアリスとはまったく違うモモのことが、ドロシーやアリスと同じくらい大好きになりました。ラクラミキオアラはおじいちゃんに、「おじいちゃん、この本、とってもとっても面白い!ありがとう!」と、お礼を言いました。おじいちゃんは笑顔になったラクラミキオアラを見て、とても嬉しく思いました。おうちを軽くすることができなかったおじいちゃんは、ラクラミキオアラのしょんぼりした顔をいつも思い出して、ラクラミキオアラよりもしょんぼりした気持ちになっていたのです。だから、おじいちゃんは、『モモ』という物語を書いてくれたミヒャエル・エンデに、心の中で「ありがとう」と何度もお礼を言いました。


 ラクラミキオアラは、モモという新しい友達ができたことで、毎日(まいにち)が前よりも楽しくなりました。自分の部屋の(つくえ)のうえにラクラミキオアラは『モモ』『オズの魔法使い』『不思議の国のアリス』などの本を並べていたのですが、少しさみしい気持ちになったときは、本をひらけば、いつでも、そこにいる友達に会うことができたからです。みんなそれぞれ性格がちがうのですが、ラクラミキオアラは、一人のこらず、みんな大好きでした。


 本の中にいるラクラミキオアラの友達は、みんな、不思議な冒険ぼうけんをしていました。だから、ラクラミキオアラも、冒険がしたくてたまりませんでした。『モモ』を読んでいるあいだは、そのことに夢中(むちゅう)になっているし、自分も冒険している気分になるので、「冒険がしたい」という気持ちは出てこないのですが、読み終わると、「ああ、やっぱり私も、冒険したい!」と思ってしまうのです。でも、あんまりそれを言うと、またおじいちゃんが気にしてしまうので、顔には出さないようにしていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ