13 ペイズリー1世、またの名をゲオルゲ
「ペイズリー。あなた、そんなこと言ってるけど、どうせ女の子に告白なんて、したこと無いんでしょ?」
ラクラミキオアラがそうきくと、ペイズリーは素直に、
「はいっ!ありませんっ!!」
と即答しました。ドイナは冷静な顔でペイズリーを見て、こうききました。
「ちょっと待って。さっきのペイズリーの話が本当なら、ドリュアスなら誰でもガブリエラの居場所を知ってるわけじゃなくて、その村人と話したドリュアスじゃないとダメなんだよね?わたしたちがブランの森に行ったとしても、その"村人をガブリエラのところに案内した"ドリュアスに出会える可能性って、ものすごく低いんじゃない?」
ドイナにきかれて、ペイズリーは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしました。
「ちょっと、ペイズリー!もしかしてあなた、いま、ドイナに言われてはじめて気づいたの!?」
ラクラミキオアラのきびしい突っ込みに、ペイズリーはアタフタして、こう答えました。
「そっ、そんなことありませんっ!ちゃんと気づいてたよっ!ほんと!ほんとに!!あのね、おれ、いい作戦を思いついた!!」
ラクラミキオアラとドイナは、"ほんとかよっ!?ぜったい、ろくでもない作戦でしょ…"と言いたげな表情をして、ペイズリーの顔を見ました。
「その、ガブリエラに会ったという村人に、直接、協力してもらうの!もしかしたら、まだそのドリュアスとお付き合いしているかも知れないしさ。"え?ああ、いいよ。おれの彼女に頼んでおいてあげるよ。アハハハ"みたいな感じで、助けてくれるにちがいないっ!!」
ペイズリーの作戦をきいて、ラクラミキオアラは顔をしかめました。
「えっと…突っ込みどころが多くて、どこから突っ込めばいいのか迷うけど…とりあえず、その村人に連絡がとれるんなら、それをまず先に言いなさいよっ!!」
「いや、連絡をとる必要も無いくらいなんだよ。おれのじいちゃん、ブラン村にあるドゥミトレスク家の邸宅で毎週日曜日に開かれる"タブレのお茶会"によく参加しているんだ。バックギャモン(※ボードゲームの一種)をしながらお茶を飲んで楽しく過ごすっていう、まあ同好会みたいなものだね。そのお茶会に、その村人はいつも来ているらしいから、おれたちも今度、じいちゃんといっしょに行けばいいんだよ。じいちゃんは伝説の魔法使いと呼ばれているんだけど、今は引退して、人間の住む町や村に出かけたりして、普通の人間と同じような生活をしているんだ」
ペイズリーの提案にラクラミキオアラとドイナは同意し、日曜日の午前九時にラスノフの公園で待ち合わせました。
「はじめまして!ラクラミキオアラです!」
ラクラミキオアラは、ペイズリーのおじいちゃんの顔を見て、元気にあいさつしました。ペイズリーのおじいちゃんも、魔法使いなので、本当は人間には見えないはずなのですが、ラクラミキオアラには見えていました。おじいちゃんは白い麻のシャツを着て、黒いスラックスをはいていました。どちらも、アイロンをかけていない感じで、しわくちゃでした。白髪の髪も、ととのえていなくて、ボサボサです。でも、なぜか上品な雰囲気がただよっている人だとラクラミキオアラは思いました。
「ほほほ。おぬしが、ラクラミキオアラかい。ペイズリーから話はきいておる。ほほほ。そっちの子は、ドイナかね」
「あ、はい!はじめまして!わたし、ドイナです!ペイズリー君には、いつもお世話になっておりますっ!」
ドイナも元気にあいさつしました。おじいちゃんは、
「わしはペイズリー1世なのじゃが、いちいちペイズリー1世とか、ペイズリー3世とか呼ぶのは面倒じゃろ?わしは人間のふりをして町で過ごすときはゲオルゲと名乗っておるから、おぬしらも、わしのことはゲオルゲと呼びなされ。それか、"おじいちゃん"でも、かまわんぞ。ほほほ」
とやさしい笑顔で言いました。




