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12 アルバイトする精霊

 ペイズリーの言葉をきいたラクラミキオアラは、ペイズリーの肩を両手でつかみ、前後にはげしく()さぶりながら、大きな声でこう言いました。

「ペイズリー!!わたし…わたし、ガブリエラに会いたいっ!!ぜったい、会いたいっ!!宝石箱から出てくるドロシーにも、アリスにも、モモにも会いたいっ!!!」

 揺さぶられて、頭もがっくんがっくん揺れていたペイズリーは、頭の中で星が飛びまわっているような状態(じょうたい)になりながら、

「わ…わっ…分かった!分かったからっ!ラクラミキオアラ!おっ、落ち着いてくれっ!!」

 と言いました。それをきいてラクラミキオアラはようやく、揺さぶるのをやめました。すると今度はドイナが口を開きました。

「ペイズリー、その、森の女王ガブリエラが森のどのあたりにいるのかは分かってるの?」

 ペイズリーは顎に指を当てて、ドイナとラクラミキオアラの顔を交互に見ながら説明を始めました。

「分かってるわけじゃないんだけど、分かる可能性(かのうせい)はある。じいちゃんが言うには、ブランの森にはドリュアスっていう樹の精霊がたくさんいて、ガブリエラに会った村人は、ドリュアスに案内されて、ガブリエラのところまで行ったらしい」

「え!?なんで、その人、案内してもらえたの?」

 ラクラミキオアラの質問に、ペイズリーは少しこまった顔をしました。

「その理由、説明(せつめい)してもいいんだけど、ぜったい君たち、"ちょっと!テキトーなこと言わないでよ!!"とか言って、(おこ)りそうなんだよなあ…」

「ぜったい怒らないから。おしえてよ」

 ドイナがそう言うと、ラクラミキオアラも、だまってうなずきました。それを見て、ペイズリーは説明をはじめました。

「じゃあ言うけど…ドリュアスって女性なのね。若い女性なの。で、その村人は若い男の人で、ただ単に、ドリュアスの好みのタイプだったから、ドリュアスが人間にも見える姿になって近づいて、話しかけて、仲良くなったらしいんだ」

「え?ドリュアスって、自分の意思で、人間に見える姿になることができるの?」

 ラクラミキオアラがききました。

「うん。そうみたい。ドイナみたいに、人間そっくりの姿になることができるから、人間の彼氏をつくったり、人間のお店でアルバイトしてるドリュアスもいるんだって。森の中をウロチョロしてるだけじゃ、退屈(たいくつ)過ぎるとか言って」

「え!?そんなわけないでしょ!ちょっとペイズリー、テキトーなこと言わないでよっ!!」

 ラクラミキオアラがそう言うと、ペイズリーは慌てた様子で、こう言いました。

「ちょ、ちょっと!さっきうなずいてたくせに、怒らないでくれよっ!!俺じゃなくて、じいちゃんがそう言ってたんだよ。で、じいちゃんは、村人からきいたことを話してくれただけなんだよ!」

「…分かったわよ。で、なんでその村人は、ガブリエラのところに案内されることになったの?」

「それはね、そのドリュアスは、ドイナと同じように、たまに人間の姿になって町の本屋さんに行っていたみたいなんだ。だから、色々な物語について知っていた。で、その村人も本が好きな人で、話が盛り上がったらしいんだよ。それで村人が"ぼくは子供のころに本で読んだ、星座の神話が大好きなんだ。特に好きなのはヘラクレスだね"と言ったら、ドリュアスが"わたし、森の女王ガブリエラに気に入られていて、仲良しだから、ヘラクレスに会わせてあげる。ガブリエラも星座の神話が大好きで、神話を『物語の宝石箱』に入れてるから、きっとヘラクレスを宝石箱から出して、会わせてくれるよ"って言ったらしい。それで、二人は仲良く手をつないで、イチャイチャしながら、森の女王ガブリエラのところまで行ったらしいんだ。ドリュアスたちは、森の奥の方まで行かないとといないわけじゃなくて、実は森に入って少し歩いたあたりにも結構(けっこう)たくさんいるらしい。ただ、ふだんはラクラミキオアラのような人間にも、おれのような魔法使いにも、ドイナのような鳥の妖精にも、ドリュアスたちの姿は見えない。だけど向こうからは俺たちの姿が見えてるから、"お願いだから、姿を見せてくださ〜い!!"って必死に叫べば、姿を見せてくれるんじゃないかな?」

「ええ〜っ!?そんな、バカみたいにシンプルなやり方で姿を見せてくれるものなの!?」

 ラクラミキオアラが半分あきれた顔できくと、ペイズリーは自信まんまんの顔で、こう言いました。

「ラクラミキオアラ、分かってないなあ〜!何事(なにごと)も、シンプルに、直球(ちょっきゅう)で勝負するのが一番なんだよ!!何かお願いするときも、愛の告白をするときもねっ!!」

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