11 物語の宝石箱
「そっ、そんなに思いっきり否定しなくてもいいだろっ!」
ペイズリーが口をとがらせて言うと、ラクラミキオアラは、
「いや、するっ!二度と勘違いしないように、しっかり否定しておかないと!キャハハハ!」
と言って笑いました。
「ところで君、さっき"ファンタジーの物語を読むのがが大好き"って言ってたよね?あれ、ほんとなの?」
ペイズリーがそうきくと、ラクラミキオアラは思わぬ質問にきょとんとして、
「え?うん。大好きだけど、それがどうかしたの?」
と答えました。
「ふ〜ん…そっか…」
ペイズリーは何かを思い浮かべているような様子でしたが、なかなか次の言葉を口にしません。
「ちょっと!何なの?ペイズリー。何か隠してそうな顔してるけど。隠さずに言ってよね!!」
ラクラミキオアラがそう言うと、ペイズリーは、もったいぶるような調子で、
「おれのじいちゃんが昔、あることを教えてくれたんだけどね。それをもし君に教えたら、きっと大興奮すると思う…!"え〜〜!!!"って、笑顔で叫ぶんじゃないかな」
と言いました。
「え!?そこまで言ったのなら、もったいぶらずに最後まで言ってよ!何を教えてくれたの!?ペイズリーのおじいちゃん!」
ラクラミキオアラの勢いに押されて、ペイズリーは口を開きました。
「あのね、ブランって名前の村があるの、知ってる?」
「うん、知ってるよ。わたしが通ってる学校に、ブラン村出身の先生がいるもん」
ラクラミキオアラが答え、ペイズリーは話を続けました。
「ブラン村の近くにはブラン城があるんだ。ドラキュラ城と呼ばれる、まさにファンタジーの世界から飛び出てきたような城さ。じいちゃんの話によると、そのブラン城をかこむ森の奥深くに、ガブリエラという森の女王が住んでいて、ガブリエラは"物語の宝石箱"を持っているらしいんだ」
「物語の宝石箱!?」
ラクラミキオアラとドイナが、同時に大きな声で言った。
「うん。ガブリエラはダイヤやルビーのような宝石には興味が無くて、人間が作り出した物語こそが、この世界で永遠にきらきら輝き続ける本当の宝石だと信じている。だから不思議な力を使って、この世界にあるいろんな物語を、その宝石箱に入れて集めている。それは本を入れているという意味ではなくて、物語そのものを、入れている。じいちゃんは、そう言ってた」
ラクラミキオアラとドイナは、目を輝かせてペイズリーの話をきいていました。ドイナが、
「物語そのものを入れている、って、どういうことなの?」
とききました。
「それは、じいちゃんが言うには、説明するのがすごく難しいらしい。じいちゃんは、ガブリエラに会ったことがある村人から直接、話をきいたらしいんだけど、その村人が言うには、物語そのものを光のかたまりのようなものに変えて、宝石箱に入れているんだって。そして、ガブリエラが不思議な力を使うと、その宝石箱から、物語の登場人物が、光につつまれながら、出てくるらしい」
「え〜〜っ!!!」
再び、ラクラミキオアラとドイナは同時に叫びました。
「そ、それって、たとえば、『オズの魔法使い』のドロシーが、目の前にあらわれるってこと!?」
ラクラミキオアラが大興奮しながらききました。ペイズリーはにやりと微笑みながら、静かに、こう言いました。
「そのとおりだ、ラクラミキオアラ」




