あなたは誰?(後編)
<そのまた翌日・ザラ視点>
今日も昼過ぎに誠一が家にきた。それを2階から見る。
「さ、流石にストーカー..でも蜜瑠が行けって...。」
何かブツブツ言って、チャイムを押そうか迷っていた。『何か投げて追い払おう?どうせ、僕にはできない、魔力操作で身体強化してるんだ。それで見下してるんだ。』
...そうだ、どうせできるんだ。息をするように。僕は一度もできたことがないのに。
「っ!!」
思い切り誠一に向かってスマホを投げる。すると、確かに身体強化をした。スマホは誠一に当たるもダメージは与えていない。
『ほら、言ったでしょ?』
確かに、言った通りだった。やっぱり見下してるんだ。
『そうだよ。僕の事を分かってるのは僕だけ。全部、僕の言う通りにしたらいいんだよ。』
そう...だね!僕の事を分かってくれるのは僕だけなんだ!
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<さらに翌日>
「“早く昼食を出しなさいよ!”」
今日は更に機嫌の悪い母が昼に帰ってきたので、急いで昼食を作る。母は手伝わずにソファでスマホを見ている。サンドイッチ用の野菜を切っていた時、
『やっぱり、要らないよね。あの人。』
...それは、育ててきてくれた母に失礼だと思う。
『ねぇ、やっちゃおうよ。僕は今、武器を持ってるんだ。勝てるよ。』
「“ちょっと、遅いんだけど~!まだぁ~~?”」
『僕が今まで苦しんできたのはこの人のせいだ。勝てるよ。僕が今まで嘘をついたことはあった?』
な、なかった。けど.....
『僕の手で幸せになるんだ。苦しい元凶を断つんだ。』
そうだ。僕が苦しかったのは全部この人のせいだ。
『やれるよ。僕なら。見返してやろう。』
包丁を握りしめたまま母の方へ歩く。
「“ちょ、ちょっと!!冗談じゃすまないわよ!”」
逃げようとするも躓く母。そのまま這いずって逃げようとするが、部屋の隅に追い詰める。
「“い、いやっ...そ、そうよ!わ、私だっていやだったの!で、でもりーきゅんが!”」
母の言うことを無視して、包丁を振りかぶった瞬間。
「ザラ!!!」
怒ってる誠一が入ってきた。あ...僕がトイレで見たのは、こういう顔だ。そう思いだした瞬間、一気に僕は冷静になった。
「“っ...!このバケモノ!!親不孝者!!!”」
「...ぇ、ぁ..な、なんで僕....ヒ..ヒュ...」
息ができない。苦しい。どうして僕はあんなことをしようとしたんだろう。ここ数日の僕は誰だったんだろう。僕は今、誰なんだろう。そんな問いや情報が頭を駆け巡る。
「け....い..ラ..!..つけ....!」
誠一が何かを言っているが、聞こえない。助けて....誠一.....苦しいよ......
「っ..俺を見ろ!!!」
僕の顔を持って無理やり目を合わせる誠一。この目だ。どうして忘れてたんだろう。この真剣な目。そうだ、い、言わなきゃ...
「ぼ、ぼ、僕ね。し、信じてもらえないかもだけど、ほ、本当に、い、今までおかしくて、そ、それでね、ち、違う僕が、心に、い、いたんだ。」
もう僕も何を話しているか分からない。そもそも、ありがとうを、ごめんなさいを言わないといけないのに。僕を守る言葉ばかり出てきてしまう。涙が止まらない。違うんだ..こんなことを言うつもりは...
「...大丈夫。言いたいことは全部わかる。」
「ぇ.......」
なんで?なんでそんなことを僕に言ってくれるの?僕は拒絶したんだ。いっぱい酷いことを言ったんだ。
「大丈夫。」
撫でてくれた。
その時、警察が僕の家に入ってきた。僕を逮捕するのだろうか。
「違う。大丈夫。」
大丈夫。この言葉だけで安心する僕がいた。逮捕されたのは母だった。
「“なんで私なのよ!!逮捕されるのはあっちよ!!”」
「“DVの証拠が挙がっているのはあなただ!娘の方は心神喪失となっている。”」
「“どこがよ!ちょっと!離しなさいよ!!”」
連れていかれる母。
「ほら。」
笑う誠一。目が離せない。眩しい。胸の奥がギューッとなる。涙もいつの間にか止まっていた。
(蜜)「ん。私の作戦勝ち。気配を消して証拠を集めることは簡単。」
蜜瑠の声がする。それなのに、誠一から目を離せない。
『どうせ見下してる。』
ううん。違う。そんな目じゃない。
『どうせ同情してる。』
誠一はそんな人じゃない。君は僕なんだ。もう分かってる。誠一は他の人とは違う。
「ダーリン流石♡」
エイヴァの声がする。やめて...僕から誠一を取らないで.....。無意識に誠一の袖を強く掴んだ。い、言わないと取られちゃう。僕の方を見て笑ってほしい。
「ご、ごめんね。助けてくれてあ、っ...ありがとうダーリン。」
エイヴァにつられた!恥ずかしい...顔が熱い。あ、誠一、驚いてる。可愛い。キュンってする。
(ナ)「...誠一はたらし。」
本当にそうだと思う。...この4人もそうなのかな。
「そうよ。私たちは全員、誠一のそういうところにやられたの。...顔に出てたわよ。」
ハンナがそう言う。..僕も.....
「いいよ♡」
......え?
「ダーリンのことが好きなんでしょ?」




