宜野座刑務所⑦
まさかリュカも共犯だとは思わなかった。それに心配なのは、ナナだ。
(ナ)「...ぇ......先生が..?わ、私がしてきたことは...無駄..?」
「ダーリン、ナナを心配するのはいいけど、そろそろバレるかもだよ。
時計を見ると6時前だった。...もうバレてもいいと思う。
「...だ、ダーリン?」
「俺がリュカと囚人たちの相手をしている間に、全員で所長を」
「話は聞かせてもらったわ!!」
後ろを見ると、仁王立ちしているハンナがいた。
「私がリュカと戦うから安心しなさい!!」
不安の材料が爆弾を背負ってやってきた。
(ナ)「...私も、先生に聞きたいことがあるから、一緒に行く。」
「ダーリンは2人を見てあげて♡私は蜜瑠に、昔のダーリンの事を色々聞くから♡」
(蜜)「ん、嫁同士仲良くする。」
嫁ではないから、ハンナはゴミを見る目で俺を見ないでほしい。その瞬間、起床の鐘が鳴る。
「なら、俺とハンナとナナ、エイヴァと蜜瑠に分かれよう。」
全員が頷く。
「ダーリン♡無事でいてね♡」
(蜜)「ん、私たちは子種をもらうために絶対に死ねない。」
「ングフッ」(唾液が肺に入った時の声)
そう言って、一足先に所長のところへ向かう二人。
「...一人だけじゃ飽き足らず二人も......」
ハンナが言ったことを否定したいが、むせて咳しか出せない。その時だった。
『囚人の脱獄を確認!!!囚人の脱獄を確認!!!』と警報が鳴る。
「丁度いいタイミングね!リュカがバレそうになって逃げたってところかしら!」
そう言って4階から飛び降りるハンナにおくれて俺とナナも着いていくと、
「おらどけぇ!!」
「ヒャッハー!!警備もいない!楽な脱獄だぜー!」
「でたらまず女!女だ!」
囚人が刑務所入り口に向かって走っていたが、その中にリュカはいなかった。
「...ハンナもいない。」
ナナの言う通りハンナはもういなかった。囚人を無視してリュカのところに行ったのだろう。
「女だぁ!!!」
「よこせぇ!!!」
「汚したる!!!」
と、ナナに気づいた囚人が向かってくる。ナナのメンタルを考えると、早く一掃した方がいいと思い、
「大丈夫。俺が手出しさせない。」
とナナに笑顔を見せて、頭を撫でる。
「雷龍(弱)!雷龍(弱)!!」
食堂でも見せた2つの弱い雷龍で発生させた静電気で囚人全員の意識を奪う。腕を消し去ってしまった人もいるけど、速さを重視したため、そこは許してほしい。(軽い)
ナナの方を見ると顔をそらされた。腕を消し去るのはやりすぎだったらしい。ゴメンナサイ。
すると、宜野座ダンジョンの方から轟音がする。ナナをおんぶして、
「強く掴まってほしい!雷龍!!」
雷龍をまとって宜野座ダンジョンへ向かう。
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<少し前・ハンナ視点>
「“はっ!一人でここまで来たのか!”」
既に囚人服から着替えていたリュカを宜野座ダンジョン一階層で見つける。ここまでに囚人がかなりの数いたが、二股の男がどうにかしているだろう。
「“あなたみたいな外道の犯罪者!私一人で十分よ!!”」
<素早さ向上>の付与はもう済ませてあるため、自分が出せる最高速度でリュカを何度も剣で切る。
「“反応できてないじゃない!!もうボロボロよ!!”」
ナナたちに自慢するため、早くとどめの一撃を刺そうと彼に突っ込む。
「“これでっ!終わ...り.......?」
急に体が動かなくなる。
「“俺の固有スキルは毒だ!俺に触れたり、触れられた相手に毒を打ち込める!武器を使おうが、武器が接触すれば打ち込めるんだよ!触れた人に触れている人間には無理だがな!”」
そう言いながら動けない私の首を持って、壁に叩きつけたリュカ。
「“は..はな....しなさ..."」
強く叩きつけられたせいで脳が揺れ上手く話せない。
「“ははは!!打ち込める毒はほかにもあるぜぇ!例えば、媚薬の効果のある毒もなぁ!!やみつきになるぜぇ!”」
そういってズボンのチャックを開けて、何かを出そうとする。
「“は..なして...やめなさっ....!”」
首を押さえつけられ、麻痺毒のせいで身体のどこも動かない。そもそも、足が地面についていない。
「“そもそも、お前の攻撃が弱いせいで不完全燃焼なんだよ!大人しく発散させろ!”」
確かに、ボロボロなのは服だけで血が出ている様子はない。それを確認して、私は目を閉じた。憧れのお姉ちゃんに謝りながら。
「“っ~~~~~~~~~~~~!!!!!”」
リュカの声が聞こえ、突然首にあった手の感覚が無くなったので、恐る恐る目を開けると
「大丈夫か!!」
私をお姫様抱っこしている男の姿が見えた。心配そうな、真剣そうな顔を見ていると顔が熱くなってしまう。これも毒だろうか。
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<誠一視点>
ダンジョンに入るとすぐにハンナたちが見えたが、リュカが何かを取り出そうとしている。武器だと判断して、取り出そうとしていた右手もまとめて蹴り飛ばす。何か骨ではないものが潰れた感触がしたが、今は置いておく。
「大丈夫か!!」
ハンナが着地できそうに見えなかったので、お姫様抱っこをして受け止める。
「...ぇ.....ぁ..なんで...」
全身がしびれていることが一瞬で分かった。
「ナナ!ポーションを.....ナナ?」
「スンスン。ス~~~ハ~~。」
返事がない。雷龍の速さが原因で気絶したのだろうか(違う)。ハンナを片手と片足で支えて自分でポーションを取ってハンナに渡す。
「飲めるか?」
首をぎこちなく横に振るハンナ。ポーションを飲ませる手段がなくなった。
「...口でいい..飲ませて。」
...........え。口移し!!?
★く★ち★う★つ★し★!!?




