解かれていく―××××視点―
少しずつ、自分を繋ぎとめていたものが解かれていく感覚があった。
ただ、どれくらいの時間がたったのか、ここがどこなのか、自分が何者かも分からない。
何故、自分という意識があり、何故、封じられているかも……
気が付いた時には、闇の中に漂う存在だった。
望まれるままに力を奮い。
望まれるままに選び。
望まれるままに、ただ、そこに在る。
それだけの
揺らいだのは何時かだったか。
自分とは真逆の光の存在を知った時だろうか。
酷く遠い昔のようにも、つい先ほどのことにも思う。
これが私の探していたものだと、解った。
それなのに
それは自分とは似ても似つかない存在で
自分はここにいる、ここにいるのだと、どう伝えればいいのか分からなかった。
その存在のように『言葉』を持たない自分には伝える術がなかった。
そうして、また、自分という存在が揺らいでいく。
闇の中に溶け込むように
この世のすべてから切り離されたように
意識を浮上させるたび、光の存在は姿かたちを変えている。
それでも、『そう』だとわかる。
どうして、自分はそれだけが分かるのか。
どうして、自分は自分の何たるかが分からないのか。
分からない
わからない
解からない
ワカラナイ
ただ
もう一度
光の存在に
私だけが分かるそれに
会いたい
静寂だけだったこの場所に、微かな音が聞こえた。
これは、足音?
そして、何かを開ける音
「やっぱり、ここにあったのか」
「あぁ、通りで彼らが私たちを本宮に立ち入らせないようにしていたわけだ」
「母上は、これをどうしろと?」
「いや、具体的には……お伺いする機会がなかった。だが、連れ出せと」
「連れ出す……か」
じゃらりと金属がこすれる音がして、自分が揺らされるのが分かった。
あぁ、自分が闇の中に居たのではない。
視力を持たないのだと、今、気づいた。
だが、聞こえる声に嫌悪のようなものは抱かなかった。
少し前に自分を使役していた者には、吐き気を覚えるほどの嫌悪を抱いたのだが。
むしろ、一人には親さを感じた。
「神殿はどうだろう。女神像の下にでも隠しておこう」
「隠すのか?」
「だって、またどこで狙われているか分からないじゃないか。そういう奴らが探すなら、兄上のところだよ」
「確かにそうだな」
「それに、きっと『女神様』が護ってくれるさ」
「そんな適当な……」
「この鎖が封印かな。鍵は……無さそう」
「時期が来れば解けると、母上は仰っていた。他にも何か言われたのだが、文字に残すことは許されなかったから、多くが記憶から漏れてしまっている気がする」
「でも、兄上が居なかったら、それすらも分からなかった。だからそれでいいんだ」
「あぁ、そうだな」
自分を持ち上げたのは、記憶の中にある光の存在に似た魔力を持つ者だった。
これからどう扱われるのかなど分からないが、不思議と不安はなかった。
ただ、自分が何たるかを思い出すのは、もうすぐなのだという漠然とした思いがあった。
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