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その7 哭く岩の呪い
洞窟に戻る気力も湧かず、最後の望みが絶たれたかのように大きくため息をつき、「呪われている……」と口癖を呟き、目の前にある岩にもたれかかるように手を付いた……。
――その瞬間、岩から悲鳴のような音が鳴り響き、青白く光る表面からどす黒い血が滲み出て、岩ごと千馬は飲み込まれてしまう。
岩に触れる手は溶けて一体化し、引き剥がすこともできず、そこからどす黒い塊が体に流れ込んでくるような感覚に襲われる。視界は消え闇に包まれ、、岩の悲鳴が耳を劈き、体の全ての感覚が狂わされ、破壊されてゆくのがはっきりと分かった。
何万本もの針が体中を駆け巡り、神経を突き刺したような激痛が走ると、悲鳴を上げることすら出来ずに体が激しく痙攣する。死んだと思うと生き返り、それを幾度となく繰り返す……何万回も……何億回も。そのたびに死にたいと願い続ける……。
血液が沸騰し、頭の中でぐつぐつと煮立つ振動が伝わってきたかと思うと、やがてそれが怨嗟の声に変わってゆく……。
痛い、辛い、忌まわしい、苦しい、憎いと、繰り返し、繰り返し、誰かを呪うかのように、頭の中に響き渡る。そしてその声が小さくなり消えると、千馬の意識は完全に途絶え、その場に崩れ落ちるように倒れてしまう――。




