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このパーティには呪われた者が一人いる  作者: おおま えいき
第三章 怨獣のティサリー
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その8 廃村に一人

 崖の上では、千馬が手を振って二人のことを待っていた。


 泥嘴は着地できそうな岩場を見つけ降下し、二人を降ろすため片翼を広げる。二人が降りると、ダモの指令により泥嘴は崩れ、ただの土になった。その土を不思議そうに、千馬とティサリーは眺める。


「聞こうと思ってたんだけど、何で泥人形をすぐ元に戻すの? 乗って移動した方が楽だと思うけど?」

 千馬は土に手を当てる。それを見て、ティサリーも土に触る。


「ん。泥人形たちは土の意識の塊でな。姿を留めておくには憑代を必要とする。そして動くためには、土の栄養を吸収し続けないといけない。だが栄養を全て失った土は死んでしまう。死んだ土には草も木も生えず、もう生き返ることはない……。そうならないために、早めに土に戻す必要がある」


「……そうだったのか」


 「ん」と、ダモは満足そうに頷き、垂れていたヒゲを指で摘まんで、ピンと伸ばした。


 ――道案内をするため、ティサリーが先頭に立ち、岩場を歩いてゆく。段差のある岩を飛び跳ねて登っては、二人が追いつくのを見守る。ダモが高い段差を登れず立ち止まると、千馬が抱え上げ、放り投げる。


 楽しそうにしている二人の姿を見て、ティサリーはクスクスと笑い、そして声を出して笑っている自分に驚いた表情をする。


 強大な力を持つ擬獣を一瞬にして倒した千馬と、不思議な力を使い、人間とは違う姿をしているダモを見ていると、自分がずっと苦しみ続けてきたことが何だかちっぽけな物に思え、嬉しくて、楽しくて、涙が頬を伝っていた。


 陽が落ちかけ、既に周辺は薄暗い。ダモは鞄から杖を抜き出し、短い呪文を唱える。すると杖の琥珀が光り出し、周囲を照らした。


 ティサリーは立ち止まり、その光を不思議そうに見つめていたが、ダモに先を急ごうと促され、慌てて歩き出す。


 取り付けられている鳴子を跨ぎ、ティサリーは家が近いことを告げる。千馬が鳴子の存在に気が付き、ダモに教えようとしたがすでに間に合わず、カラカラと乾いた音が響く。


 琥珀の光に照らされ、木々の間からいくつもの崩れた家が見えてくる。千馬とダモは擬獣の襲撃を警戒して臨戦態勢をとるが、何事もなく進むティサリーに、顔を見合わせ頷き、警戒を解いた。


「ティサリーは、両親とここで暮らしているの?」


「……ううん。お父さんも、お母さんも……もういない……」

 ティサリーは下を向きながら話す。


「……そっか。村の、他の人はどうしたの?」


「……ずっと昔に、上流に移っていった。だから、ここには私しか住んでない……」


 千馬は何か事情があることを察し、どうして良いのか分からず、ダモの方を見た。


「ん。向こうが明るいな。川の音もする。アカリ苔があるのか?」

 ダモは唐突に琥珀の明かりを消し、川の音がする方に杖を向ける。ティサリーは杖の指す先を見て、小さく頷く。


「ここじゃ暗いからな。向こうの明るい方に行って話をするか。喉も乾いたし、腹も減ったしな」

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