その22 幸運の呪い
「だが、その原因を突き止めるための手がかりすらないのが現状だ……」
「それでも、樹海から抜け出すための条件が存在しているってだけで、俺にとっては凄い前進だよ! 例えるなら、丸く繋がった道を周回しているだけだったのが、これからは、先は見えないけど真っすぐな道になったことで、前に進むことができるようになった感じかな。こんなうれしい気分は何百年ぶりだろ……それもこれも全部ダモに出会えたおかげだ……ありがとう」
「ん。見失った道を見つけられたようだな。だが俺と巡り合えたのは、千馬がこの樹海で生き延びる力を手に入れたから、そしてその呪念の力を手に入れることができたのは、封呪石に引き寄せられるほどの呪念を、千馬自身が体に宿していたからに他ならない……」
「俺が呪念を……? 封呪石に触れたからではなく、元から呪念を宿していたってこと……?」
「ん。身に覚えはないか? こちらに来る前、向こうの世界で、災いに苛まれる事がよくあったのではないか?」
「……言われてみればそうかもしれない……。少ししか覚えていないけど、その少しの思い出の中ですら、悪いことばかり思い出す……」
千馬は強く目をつむり、昔の記憶を掘り起こしてゆく。
「……うん、そうだった……俺は他の人よりも災難に遭うことが多くて、何で俺ばっかりって……俺は呪われているって思っていたことがあったよ……」
「ん。やはりな……。俺はこの樹海で多くの人間を見てきたが、こんなに禍々しいまでの呪念を宿している人間など誰一人としていなかった……。それ故に時空の歪みに引きずり込まれ、こちらの世界に来てしまったのだろうが、今度は逆にその体質のおかげで、封呪石の近くに飛ばされ、引き寄せられ、力を得ることが出来たのだろうな」
「ふっ……呪われ過ぎてたおかげで、逆に幸運になったのか……何か、凄く複雑な気分だ……」
「ん。向こうの世界では災いを呼び込む体質だったかもしれないが、千馬はこちらの世界では、幸運を呼び込む体質なのかもしれないな。フフッ」
「そうだといいけどね……」
千馬は頭をかきながら苦笑し、下げていた顔を上げ、あの――と言って言葉を詰まらせた。
後に続かぬ言葉に、よく聞き取れなかったのではないかと、ダモは耳をくるりと正面に向け、千馬を見つめる。
「――今日会ったばかりで、こんなことを言うのは厚かましいと思うけど、俺も樹海の調査に着いて行っていいかな?」
「ん。本当か? それなら凄く助かるな。むしろ俺からお願いしようと思っていたとこだ」
ダモは鼻をヒクヒクと動かす。




