その21 呪塊への変貌
「えっ!? この世界そのものが神大樹ってこと?」
千馬は驚きの表情を見せ、腕を広げて周囲を見渡す。
「ん。だから木ではあるが、その幹や葉は地中の遥か奥底にあり、誰も見ることはできない」
そう言ってダモは軽く地面を叩く。
「そしてその神大樹を、俺たち幻四獣はただ見守り続けた……何年も、何千年も、何十億年も……ずっとな……。俺はこの世界が大好きだった。だが肉体を持たない神ゆえに、大地の鼓動も伝わらず、火の暖かさも感じず、水の味も分からず、風の音を聞くこともできなかった……。だから俺はな、それら全てを知るために、この体を手に入れ、この世界で生きてゆくことを決めたんだ」
「……話の規模が大き過ぎるけど、要はダモの好奇心が旺盛だったってことだよね?」
「ん。半分正解だな」
「残りの半分は?」
「責任感と、正義心が少しだな」
「……どういうこと?」
「ん。さっき言った全てを知りたいという言葉の中にはな……この樹海に起こった異変も含まれる」
「……異変?」
千馬は一瞬眉を顰める。
「ん。これは千馬にも大きく関わる話だな。千馬はこの樹海が異常だということは分かっているな?」
「この世界ではそれが普通なんじゃないの? 違ったの!?」
「……ん。元は普通の樹海だったが、ある日を境に、ここは呪われた大地……呪塊へと変わってしまった。その時からだな、岩哭が起こり、擬獣と封呪石が出現し、時空の歪みにより、樹海から抜け出せなくなってしまったのは……。だから俺は、正常だった頃の樹海に戻そうと立ち上がった」
「そうか、だから樹海の異変を調べるために、俺が何者か知りたくて会いに来たって言ってたのか……」
「ん。千馬がこの世界に迷い込んだことも、体に起きた異変や、樹海から抜け出せずにいるのも、そして俺がここに来たことも、すべては樹海の異変に繋がっているな」
「……それなら、その原因を突き止めて正せば、全てが丸く収まるわけだ……。ここにきて、やっと先が見えた気がする」




