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その17 呪われた転移

「……岩哭や封呪石のことは分かったけど、それと俺がこの樹海に居たことに、何か関係があるの?」


「ん。岩哭が起こるとな、樹海から強大な力が放出されて、時空に歪みができる。その歪みはここではない別の世界と繋がることがあるらしく、向こうから色々な物がこっちに流れてくるんだ……」


「もしかして……人も?」


「ん。……だからな、千馬は時空の歪みに吸い込まれ、こちらの世界に来てしまったんだと思う……」


「それなら時空の歪みに入れば、また元の世界に戻れるんじゃないの?」


「や。無理だろうな……。岩哭がいつ起こるかは分からないし、起こったとしても、この広大な樹海のどこに時空の歪みが出現するかなんて、俺ですら分からない……」


「そっか……」


「元の世界に戻りたいのか?」

 ダモは千馬の顔を見つめる


 千馬は下を向き、少し間をおいて首を左右に振った。


「……最初の頃は戻りたいって気持ちが強くあったと思うけど、今はもう、ここでの生活に慣れてしまったし、戻ることは殆ど諦めていたから……逆に戻れないことがはっきりと分かって良かったよ。凄くすっきりしてる……かな。それに元の世界の事は、もうほとんど覚えてなくて……何で思い出せないんだろうかって、考えることがあったけど、さっきダモに千年も経っているって言われて納得したよ。そりゃあ、ずっと同じような景色ばかりで、疲労や歳を取る感覚もなければ、千年の歳月が流れていても分からないよね……」

 千馬は苦笑する。


「ん。気持ちに整理が付いたのは良いことだ。だが惜しいな……」


「えっ、何が?」


「向こうの世界の話を聞かせてもらおうと思っっていたが、覚えていないのなら諦めるしかない……。俺の琥珀にはこちらの世界の記憶しか残されていないからな、あちらの世界のことまでは読み解くことが出来ない」

 ダモは片目をつむり、琥珀越しに千馬の顔を覗く。


「あ、いや……。全く覚えていないってわけじゃないよ。少しくらいは覚えているから、後で話してあげるよ」


「ん。そうか!それは楽しみだな。それならば、向こうの世界のことをもっとよく思い出せそうな物がある」

 ダモはそう言って、背負っていた鞄を降ろし、中をまさぐり始める。


「ん。あった。これは向こうの物ではないか? 金属で作られた人形だ。フフッ」

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