スタート
15歳の春。
高校生活が始まった。
当初別の高校進学を考えていたが、親友のたかしがサッカーの名門と有名なこの高校に進学すると聞いて路線を変更した。
理由は一つ。
(たかしとサッカーがしたい。)
中学校でも同じサッカー部に所属したが、思う様な結果は残せなかった。二人で‘全国大会’と常々言っていたが、結局県大会にも進めなかった。
そんな後悔を晴らすべく、高校でもう一度二人で全国大会を目指したかったのだ。
ただ、道のりは険しかった。進学校でも有名な高校。ひろゆきの成績では到底無理な状態だったのだ。途中諦めかけたが、そんな時にいつもたかしが助けてくれた。
思えば、施設でも、小学校でもいつもたかしに助けられてきた。そんなたかしに恩返しが出来るとしたら、全国大会への手助けとなる事だと勝手に思っていた。
「クラス別々だな。」
「そうだな…。」
「ひろ、俺居なくて大丈夫か?」
いたずらっぽく言うたかしに
「むしろ助かる。お前が居るとまたいじられキャラにされるからな。」
たかしが笑う。ひろゆきも合わせるように笑った。
心細さはあったが、それよりも楽しみでいっぱいだった。
部活は4月の半ばから本格的に始まった。
名門校ということもあり、新入生も上級生も体つきが違った。あれほど楽しみだったにも拘わらず、不安で押し潰されそうだった。
新入生の役割はと言うと。主に球拾いと先輩たちの飲み物の用意。練習が終わればグラウンドのトンボがけだ。練習らしい練習と言えば、毎日先輩達が練習の準備中に行う10km走だった。
「俺たちこんなんで大丈夫か?」
ある日の帰り道たかしに問いかけた。
「先輩達だって一年の時はこんなだったんだって。」
「そうだけどさ…」
「あと2年ある。」
そう言ったたかしの表情は。中学最後の試合で負けた時、もしかするとそれ以上に悔しそうだった。
(やっぱりこいつは凄いな。)
と改めて思った。




