表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏(仮)  作者: ふゆか
過去
27/38

未定

山田がバイトを休み始めて2週間程が経った。体調を崩したとは言えあまりにも長い。一人の夜は退屈だ。


あれ以来ファミレスには行きづらくなってしまい、最近はカラオケボックスで朝を迎えていた。漫画喫茶へ行こうとしたが、あそこは身分証明が必要で二十二時以降は入店が出来なかった。


始めは一人でカラオケボックスに入ることに抵抗もあったが、二週間も続けているとすっかり慣れていた。


閉店は午前五時。いつも決まって閉店15分前にかかってくる内線で起こされる。


店を出るとまだ真っ暗。冬に差し掛かっている外では息が白くなる。


帰り道、コンビニで立ち読みをし時間を調整し施設へ帰る。すっかり日課になっていた。



この日も山田は欠勤。


出勤し更衣室に入るとタバコを燻らせる山田の姿が懐かしくさえ感じてきた。いつもの様に制服に着替えタバコを咥えながらマンガを開いていると後輩の高橋がやって来た。高橋は山田が休み始める少し前からここで働いている。ひろゆきと同い年の女子高生。黒髪のショートヘアーに薄い化粧で地味な印象だ。人見知りなのか、単に愛想が悪いのか会話が弾まない。当初は山田が教育係であったが直ぐに休み始めたためひろゆきが教育係となった。


「おはようございます。」


「おはよう。」


タバコが苦手なのかいつも更衣室に入ると眉間に皺を寄せ、そそくさと着替え厨房に向かっていく。


「あれ?」


いつもとは雰囲気が違う高橋の姿に気付いた。はっきりと何処が違うのかは分からないが、明らかに違和感を感じる。


「どうかしました。」


相変わらず愛想のない棒読みの言葉が返ってきた。


「いや。なんかいつもと雰囲気違うなって思って。」


高橋の耳が赤くなるのが分かった。何かいけない事を言ってしまった様な気分になり「ごめん」と言って再びマンガに目を向ける。そうしている間に高橋はいつも通りそそくさと出ていった。


(変なやつ…)


バイトを始めて三ヶ月程だが山田と一緒に居たせいか随分と出来る事も、任される事も増えてきた。ただ、高橋の指導ということで仕事内容が働き始めたころの内容と半々位になっていた。


この日も野菜焼や、スープに使う玉ねぎの皮剥きを二人で黙々としていた。そうしている間も何とも言えない高橋の違和感が気になって仕方ない。耳を赤くした高橋を見た手前聞くことも出来ずもやもやしていた。


「高橋さん部活何かやってるの?」


何かしら違和感の手がかりを掴もうと当たり障りのない質問を投げかける。


「特にしてないです。」


玉ねぎを剥きなが高橋が答える。会話が終わってしまった。その後また黙々と作業をしていると


「竹田さんは?」


「ん?」


随分と長い間を開け会話は続いていたと気づく。


「学校自体行ってないんだよね。」


そう言うと驚いた高橋がこちらを向いた。


(やっぱり何か違う。)


何とか違和感の正体を見つけたいという思いから高橋の顔を凝視する。怪訝そうに目を反らした高橋の反応を見て見つめていた事に気づいた。


(もう我慢の限界だ。)


一瞬悩んだが、口が反射的に動いていた。


「やっぱり何か違うよね?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ